コーラン86章をアラビア語原典から逐語訳してみました
アラビア語は右から左に日本語は左から右に読みます
アラビア語の音読みはウェブ上で公開されているコーランの朗唱によりました
アラビア語の文法はウェブ上で公開されている逐語訳文法をもとにして日本語に纏め直したものです
逐語訳の語順を変えたり言葉を添えたりして和文として意味の通じるような私訳を各節にリンクして最後に付けてみました
逐語訳に「コーラン経」を加えて同一頁で読めるようにしました(章によっては節数が違います) →「コーラン経」第八十六
الطارق アッ・ターリクィ 夜訪れるもの コーラン86章1節〜17節の逐語訳です
☞86;1-3 天と星によって(誓う
☞86;4-10 その日人間は力なく助ける者もない
☞86;11-14 それは疑いの余地のない言葉
☞86;15-17 不信仰者に猶予を与えなさい
86章1節(1) وَالسَّمَاء ワ・ッ・サマーイ あの天によって(誓う) 前置詞+定冠詞+名詞・属格・女性
86章1節(2) وَالطَّارِقِ ワ・ッ・ターリクィ そしてこの夜訪れる[もの](によって誓う) 接続詞+定冠詞+分詞・能動・属格・男性
86章2節(1) وَمَا ワ・マー そして何が〜か? 接続詞+名詞・疑問
86章2節(2) أَدْرَاكَ アドラー・カ [それが]知らせる、あなたに 動詞・完了・三人称・男性・単数+代名詞・目的・二人称・男性・単数
86章2節(3) مَا マー 何が〜か? 名詞・疑問
86章2節(4) الطَّارِقُ ッ・ターリク この夜訪れる[もの] 定冠詞+分詞・能動・主格・男性
86章3節(1) النَّجْمُ ン・ナジュム (それは)あの星 定冠詞+名詞・主格・男性
86章3節(2) الثَّاقِبُ ッ・タㇵ−クィブ あの突き刺す[もの(光輝く)] 定冠詞+分詞・能動・主格・男性
86章4節(1) إِن イン 〜ものはない 助詞・否定
86章4節(2) كُلُّ クッル ことごとくは 名詞・主格・男性
86章4節(3) نَفْسٍ ナフシン 魂(人)の 名詞・不定・属格・女性・単数
86章4節(4) لَّمَّا ラムマー 〜いない 助詞・例外
86章4節(5) عَلَيْهَا アライ・ハー それの上に 前置詞+代名詞・目的・三人称・女性・単数
86章4節(6) حَافِظٌ ハーフィ[ズン] 守護する[者が] 分詞・不定・能動・主格・男性
86章5節(1) فَلْيَنظُرِ ファ・ル・ヤンズリ だから[彼(人間)が]考えるようにさせなさい 接続詞+助詞・命令+動詞・意図・未完了・三人称・男性・単数
86章5節(2) الْإِنسَانُ ル・インサーヌ 人間が 定冠詞+名詞・主格・男性
86章5節(3) مِمَّ ミム・マ 何から〜か 前置詞+代名詞・関係
86章5節(4) خُلِقَ クㇷリクァ [彼が]創られた 動詞・受動・完了・三人称・男性・単数
86章6節(1) خُلِقَ クㇷリクァ [彼は]創られました 動詞・受動・完了・三人称・男性・単数
86章6節(2) مِن ミン 〜[の]中から 前置詞
86章6節(3) مَّاء マーイン 水の 名詞・不定・属格・男性
86章6節(4) دَافِقٍ ダーフィク[ィン] 噴き出す[ものの] 分詞・不定・能動・属格・男性
86章7節(1) يَخْرُجُ ヤクㇷルジュ [それは]出て来ます 動詞・未完了・三人称・男性・単数
86章7節(2) مِن ミン 所から 前置詞
86章7節(3) بَيْنِ バイニ 間の 名詞・属格
86章7節(4) الصُّلْبِ ッ・スルビ その背骨の 定冠詞+名詞・属格・男性
86章7節(5) وَالتَّرَائِبِ ワ・ッ・タラーイブ[ィ] そしてその諸々の肋骨の 接続詞+定冠詞+名詞・属格・男性・複数
86章8節(1) إِنَّهُ インナ・フ 真に、彼(主) 助詞・対格+代名詞・目的・三人称・男性・単数
86章8節(2) عَلَى アラー 〜上で 前置詞
86章8節(3) رَجْعِهِ ラジイ・ヒ 彼(人間)の引き戻し(甦り)の 名詞・属格・男性+代名詞・所有・三人称・男性・単数
86章8節(4) لَقَادِرٌ ラ・クァーディル[ン] 実に能力がある[者] 接頭辞・強調+分詞・不定・能動・主格・男性
86章9節(1) يَوْمَ ヤウマ (その)日に 副詞・時間・対格・男性
86章9節(2) تُبْلَى トゥブラー [それは]調べられます 動詞・受動・未完了・三人称・女性・単数
86章9節(3) السَّرَائِرُ ッ・サラーイル その(隠された)諸々の秘密は 定冠詞+名詞・主格・女性・複数
86章10節(1) فَمَا ファ・マー そして〜ない 接続詞+助詞・否定
86章10節(2) لَهُ ラ・フ 彼(人間)に対して 前置詞+代名詞・人称・三人称・男性・単数
86章10節(3) مِن ミン 〜[の](何も) 前置詞
86章10節(4) قُوَّةٍ クウワティン 力の 名詞・不定・属格・女性
86章10節(5) وَلَا ワ・ラー そして〜ない 接続詞+助詞・否定
86章10節(6) نَاصِرٍ ナーシル[ィン] 助ける[者の] 分詞・不定・能動・属格・男性
86章11節(1) وَالسَّمَاء ワ・ッ・サマーイ あの天によって[誓う] 前置詞+定冠詞+名詞・属格・女性
86章11節(2) ذَاتِ ダㇵーティ 所有者の 名詞・属格・女性・単数
86章11節(3) الرَّجْعِ ッ・ラジュ[イ] あの繰り返し起こること(雨)の 定冠詞+名詞・属格・男性
86章12節(1) وَالْأَرْضِ ワ・ル・アルディ そしてこの地(によって誓う) 接続詞+定冠詞+名詞・属格・女性
86章12節(2) ذَاتِ ダㇵーティ 所有者の 名詞・属格・女性・単数
86章12節(3) الصَّدْعِ ッ・サド[イ] その割れ裂けること(植物の出芽)の 定冠詞+名詞・属格・男性
86章13節(1) إِنَّهُ インナ・フ 真に、それ 助詞・対格+代名詞・目的・三人称・男性・単数
86章13節(2) لَقَوْلٌ ラ・クァウルン 確かに言葉(である) 接頭辞・強調+名詞・不定・動詞的・主格・男性
86章13節(3) فَصْلٌ ファスル[ン] 疑いの余地のない[もの] 形容詞・不定・主格・男性
86章14節(1) وَمَا ワ・マー そして〜ことはない 接続詞+助詞・否定
86章14節(2) هُوَ フワ それは 代名詞・人称・三人称・男性・単数
86章14節(3) بِالْهَزْلِ ビ・ル・ハズ[リ] その戯れごとの中に(ある) 前置詞+定冠詞+名詞・属格・男性
86章15節(1) إِنَّهُمْ インナ・フム 真に彼等 助詞・対格+代名詞・目的・三人称・男性・複数
86章15節(2) يَكِيدُونَ ヤキードゥー・ナ 彼等は企てている 動詞・未完了・三人称・男性・複数+代名詞・主語
86章15節(3) كَيْدًا カイダ[ン] 企みを 名詞・不定・対格・男性
86章16節(1) وَأَكِيدُ ワ・アキードゥ しかし[私も]企んでいる 接続詞+動詞・未完了・一人称・単数
86章16節(2) كَيْدًا カイダ[ン] 企みを 名詞・不定・対格・男性
86章17節(1) فَمَهِّلِ ファ・マッヒリ だから[あなたは]猶予を与えなさい 助詞・再開+動詞・命令・二人称・男性・単数
86章17節(2) الْكَافِرِينَ ル・カーフィリーナ その不信仰である[者たちに] 定冠詞+分詞・能動・対格・男性・複数
86章17節(3) أَمْهِلْهُمْ アムヒル・フム [あなたは]猶予を与えなさい、彼等に 動詞・命令・二人称・男性・単数+代名詞・目的・三人称・男性・複数
86章17節(4) رُوَيْدًا ルワイダ[ン] ほんの僅かな時を 名詞・不定・対格・男性
コーラン(私訳) 第八六章 アッ・ターリクィ 夜訪れるもの メッカ啓示
☞1節 一 あの天によって(誓う) そしてこの夜訪れる[もの](によって誓う)
☞2節 二 そして何があなたに知らせるか?何がこの夜訪れる[もの]か?
☞3節 三 (それは)突き刺す(光輝く)あの星
☞4節 四 魂(人)のことごとくは それの上に守護する[者が]いないものはない
☞5節 五 だから[彼(人間)が]考えるようにさせなさい 人間が何から創られたか
☞6節 六 [彼は]創られました 噴き出す水の中から
☞7節 七 [それは]出て来ます 背骨と肋骨の間から
☞8節 八 真に彼(主)は 彼(人間)の引き戻し(甦り)の上で 実に能力がある[者]
☞9節 九 (その)日に(隠された)秘密は調べられます
☞10節 一〇 そして彼(人間)に (何も)力のない そして(何も)助ける[者の]ない
☞11節 一一 繰り返し起こること(雨)の所有者の天によって[誓う]
☞12節 一二 割れ裂けること(植物の出芽)の所有者のこの地(によって誓う)
☞13節 一三 真にそれは 確かに疑いの余地のない言葉(である)
☞14節 一四 そしてそれは 戯れごとの中に(ある)ことではない
☞15節 一五 真に彼等は 企みを企てている
☞16節 一六 しかし[私も]企んでいる 企みを
☞17節 一七 だから[あなたは]猶予を与えなさい 不信仰である[者たちに] [あなたは]彼等に猶予を与えなさい ほんの僅かな時を
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「コーラン經」 太白品 第八十六 [アル・タリク] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
太白品[アル・タリク](1-17節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 天と夜顯はるゝ所とによりて、
二 夜顯はるゝ所の何たるかを爾曹に知らしむるは何ぞ。
三 そは光輝ける星なり。
四 各の心靈には守護者あり。
五 されば人をしてその何より創造られしかを考へしめよ。
六 渠は迸る精より創造られき、
七 腰る胸骨とより射出する。
八 洵に~は復活を能くす、
九 あらゆる秘密の思想と行動の驗せらるる日、
一〇 人は自衞りまた他を衞る力なき日。
一一 雨を降す天によりて、
一二 裂け(て物を生ず)る地によりて、
一三 洵に是(善惡)識別の談義、
一四 輕浮の氣なし。
一五 洵に(不信者はわが企圖を破らんと)謀れり。
一六 されどわれ亦(渠等の滅亡を)謀れり。
一七 されば(噫、豫言者)不信者に忍べ、渠等を暫く放任せよ。
太白品[アル・タリク](1-17節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
に、アブ・タリブ Abu Talib 流星を見て恐れしとき此默示あり、始の三句はそれをいふ、故に流晶品と名づくとのあり。
されど他にはアル・タリクは流星に非ずといふ。
此一卷は恐らく小品二篇を撮合せしものならむ。
前段は宣傳初期のもの、一一節以下は宣傳第四年頃のもの歟。
  星の誓、各人には守護の天使あり、~は復活を善くし、審判の日は祕密悉く暴露す(一−一〇)。
    天地をかけて可蘭は~誥たる誓(一一−四)。
    麻訶末不信者の謀を忍ぶべき勸(一五−一七)。
太白品[アル・タリク](1-17節)の註釋(文字の解釈)
三 星はアル・タリクal Tariq夜光星、則、太白金星、或はアル・ターキブal Thakib(土星)と爲し、或は狼星と爲すあり。
七 男の腰、女の胸骨。
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