「コーラン經」 豐澤品 第百八 [アル・カウタール] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
豐澤品[アル・カウタール](1-3節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 洵にわれ爾にアルカウタルを授けき。
二 されば爾の上帝にりて(ほふ)れ(犧牲(にえ)を)。
三 洵に爾を憎は子なけん。
豐澤品[アル・カウタール](1-3節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
此三はアスイブンワイル As Ibn Wail が麻訶末を罵りて無尾の人(子孫なきの意)といひしにぞ麻訶末を慰むる默示なり。
或は之を以て麻訶末の子イブラヒムの死せし時の事とし、從って默コ那書の一と爲す者あれど、そは當らず。早出の默伽書の一ならむ。
 内容 麻訶末物資の澤を以て慰めらる。
豐澤品[アル・カウタール](1-3節)の註釋(文字の解釈)
一 アル・カウタールal Kautharは潤澤、殊に物の潤澤、知識豫言可蘭勸解の識責より子孫從者その他の饒多に及ぶ。
   されど一般には天堂に此名の河あり、河水蜜よりも甘く乳よりも白く雪よりも冷に脂よりも滑に、その岸は水晶、その船は白銀、之を飮む者は決して渴せず、麻訶末之を得といふ。
   但しこの天堂の靈河の義は近世の註者多くは採らず。
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