「コーラン經」 靈地品 第九十 [アル・バラド] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
靈地品[アル・バラド](1-20節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 われこの地によりて誓ふ、
二 この地に住める爾によりて(噫、麻訶末(マホメツト))、
三 生めると生まれしとによりて誓ふ、
四 洵にわれ人を憐れむべく創造(つく)れり。
五 渠、何ものもそを壓伏せずと思ふや。
六 渠、われ多く富賢を費せりといふ。
七 渠、何人もそを見ずと思ふや。
八 われ渠に兩眼と
九 一舌と兩唇とを授け
 渠に(善惡)兩路を示さずや。
一一 而も渠險阻(けんそ)を冒さず。
一二 險阻の何たるかを爾曹に理解せしむるは何ぞ。
一三 捕虜の放釋なり、
一四 饑饉の日に
一五 親族の孤兒を養ふなり、
一六 さては地上にはれる貧を養ふなり。
一七 (此を行ふ)そは信じて互に能く忍び相憐れみ
一八 正しきの侶伴たり。
一九 されどわが表徵を否むは右手の群たらん、
 弓形の猛火その上にあらん。
靈地品[アル・バラド](1-20節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
宣傳最初の年のもの。
ムイアはその麻訶末傳に、此等短篤十八品は他人に對せる說ヘに非ずして麻訶末の獨語なりといへり。
その十八品とは百三、百、九十九、九十一、百六、一、百一、九五、百二、百四、八十二、九十二、百五、八十九、九十、九十三、九十四、百八なり。
 內容 憐れむべく創造られながら富資を誇る人(一−七)。
            捕囚を釋るし貧孤兒を憐れめ(八−二)。
靈地品[アル・バラド](1-20節)の註釋(文字の解釈)
一 地は伽の靈地。
三 一般の人類となす說と、アダム、アブラハム、麻訶末の子孫一族となす說とあり。
四 憐れむべきは一般の人類を指せども、孤列種の爲に迫害さる豫言を慰むる意にていふと。
五 渠は麻訶末の勁敵ワリドイブンアルムガイラなり、否、アブルアシァドイブンカルダなりとの說あり。
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