「コーラン經」 天徵品 第八十五 [アル・ブルジ] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
天徵品[アル・ブルジ](1-22節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 表徵(しるし)ある天によりて、
二 約されし(審判の)日にょりて、
三 證と夜證とによりて、
四 呪咀(のろひ)は深坑の
五 薪火の公にありき、
六 渠等その(ほとり)に坐し
七 眞の信に對して爲せるところを、
八 唯偉大なる光榮ある~を信ぜりとの理由にて渠等を苦しめしを(あか)されし時に。
九 その~には天と地との王國屬し、その~は萬有の證たり。
 洵に兩性の眞の信を處刑せるには地獄の苦惱(くるしみ)あり、焦熱の苦痛あり。
一一 されど信じて正しきを行ふには下にC流ある樂園待てり、そは大利なり。
一二 洵に爾曹の上帝の報復は(きび)し。
一三 ~は創造し、~は復活す。
一四 ~は赦すを好みて大度なり。
一五 光榮(はえ)ある座の主、
一六 その欲する所を能くす。
一七 衆軍の(ものがたり)
一八 ファラオとタムドとの衆軍の(ものがたり)爾曹に至らずや。
一九 不信は虛妄を以て(~の默示を)責むるを()めず、
 されど~はその(しりへ)を圍めり(渠等遁る能はず)。
二一 洵に(渠等の拒みし)そは光榮ある可蘭(コーラン)なり
二二 (天上に)原本存す。
天徵品[アル・ブルジ](1-22節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
冒頭の七句の呪咀は、甲說には、ナヅラン Nazran にて基督ヘ徒を處刑せる虐主ヅナワス Dhu Nawas のこととし、乙說にては舊約但以理書第三章の火刑の事と爲す。
八−一一の數は後に加へしものならんも、他は默伽默示と認めらる。
  ~を信ぜしために信徒を處刑せしの呪咀、不信は地獄へ、信は天堂へ(一−一二)。
     ~は造物主にして宇宙の主宰(一三−一六)。
    ファラオ、タムドは可蘭を否定するへの往例、可蘭は天上の籍(一七−二二)。
天徵品[アル・ブルジ](1-22節)の註釋(文字の解釈)
一 天を飾る表徵は、天使の監せる望樓、主なる星辰、十二宮等種の解あり。最廣く行はるは十二宮說なり。
三 證被證に就きても異?百出す。最多く行はる說にては、證は麻訶末、證せらるものはそのヘとす。
四 深坑の公は坑中に火を燃きて信徒を處刑せる
二二 可蘭は天上の籍の義。
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