「コーラン經」 摺疊品 第八十一 [アル・タクヰル] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
摺疊品[アル・タクヰル](1-29節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 太陽()の((きぬ)の如く)()(たた)まる時、
二 星の落つる時、
三 山の消ゆる時、
四 十(つき)(はら)める駱駝の等閑(なほざり)にさる時、
五 野獸の集めらる時、
六 海の湧き立つ時、
七 心の(からだ)に歸る時、
八 生きながら埋められし女兒の
九 何が爲に死に處せられしかを問はる時、
 聖典の開かる時、
一一 天の()ぎとらる時、
一二 地獄の烈しく燃ゆる時、
一三 天堂の近づく時、
一四 各の心はその所業を知らん。
一五 洵にわれ後退(しさ)りて
一六 速に動き隱る星によりて、
一七 暗K(やみ)(ちかづ)く夜によりて、
一八 始めて()くる朝によりて、
一九 これ名譽(ほまれ)ある使言語(ことば)
 寶座の主の見る所にて力を授けられ威を立て
二一 また柔順にして忠誠なる使の言語なること、
二二 爾曹の侶伴(つれ)(麻訶末)は狂妄(きやうまう)ならぬことを誓ふ。
二三 渠に渠を明なる天際に見たり。
二四 渠((おのれ)に默示されし)密を疑はざりき。
二五 またこれ呪はれたる惡魔の言語ならず。
二六 されば何處に爾曹行かんとにや。
二七 これ萬有に對するヘ戒に外ならず。
二八 爾曹の中の欲するには正しく行かしむべく、
二九 されど欲せざるには萬有の主たる~欲するに非ざれば。
摺疊品[アル・タクヰル](1-29節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
摺疊の名は冒頭の句より來ること例の如し。
第五十三(星辰)品と同事實に連關すれば年代も亦同時ならん。
內容
審判の日の恐る可き表徵(一−一四)。
可蘭は~語、有衆へのヘ戒(一五−二九)。
摺疊品[アル・タクヰル](1-29節)の註釋(文字の解釈)
八 女兒を生めば生きながら埋むるは古の亞刺伯族の俗。
九 名譽ある使はガブリエル。
二五 呪はれたる惡魔は天上の天使の語をみ聽ける惡魔の義。
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