「コーラン經」 新聞品 第七十八 [アル・ナバ] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
新聞品[アル・ナバ](1-41節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 何に就きて渠等(不信)は相問ふや。
二 (復活の)大新聞に就きて
三 渠等は合はず。
四 必ずや渠等は今後(その眞理を)知らむ。
五 再びいふ、必ずや渠等は今後知らむ。
六 われ床として大地を()
七 (その)柱として山を創造(つく)らずや。
八 爾曹に性を創造(つく)らずや、
九 爾曹を安息の爲に眠らしめずや、
 夜を(爾曹を掩ふ)衣とせずや、
一一 晝を(爾曹の)生業(なりはひ)の爲に定めや、
一二 上に七天を立てずや、
一三 (其處に)(かくかく)たる燈光(ともしび)を置かずや。
一四 われ澤に(雲中より)雨水を降さずや、
一五 それによりて穀草を生じ、
一六 園樹を繁茂せしめずや。
一七 洵に差別の日は所定の期なり。
一八 その日角鳴(かくな)り、爾曹は(むれ)をなして(審判に)至らん。
一九 天は開かれん、天門は(天使の通過の爲に)(ひら)かれん、
 山嶽は消滅して大氣と化せん。
二一 洵に地獄は埋伏(まいふく)の場、
二二 侵犯の去處、
二三 渠等は久しく其處に在らん、
二四 渠等は何等の補食(ほしよく)を味ひ得ずまた飮み得ず、
二五 熱水と汚穢との外は、
二六 そは(その行爲に對する)適當の報酬。
二七 渠等はC算に致されざらんを望み
二八 わが表徵(しるし)を信ぜず虛妄を以てそを(そし)りたれば。
二九 されど萬事は(かぞ)へられ(しる)されたり。
 故に、味へ。われ爾曹には苦惱の外何ものをも與へんと欲せず。
三一 然れども敬虔にはの場あり、
三二 樹木の園あり葡萄の園あり、
三三 年齒相若(あひし)く胸張れる處女(おとめ)あり、
三四 酒滿てる(さかづき)あり。
三五 其處に空談を聞かず虛妄なし。
三六 これ爾曹の上帝の報償、充分の賚賜(たまもの)
三七 天と地とその閧フ萬物の主宰たる慈悲~よりの。渠等は~謁見(えつけん)を要求するを得ず。
三八 芽ヒ(せいれい)(ガブリエル)と(他の)天使と列を正して立つその日、慈悲~免許(ゆるし)を受け正しき事を語らんの外は(相互の爲に)語るを得ず。
三九 これ不誤必來の日なり。欲するをしてその上帝に歸せしめよ。
 洵にわれ近き責罰を以て爾曹を威せり、
四一 その日人は手から爲せる所業を見ん、不信いはん、われ塵埃(ちり)たらましかばと。
新聞品[アル・ナバ](1-41節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
に復活の新聞(報知)とあるより名づく。
默伽書中の比較的早出のものならんも三七以下は稍後出と見ゆ。
內容
不信すら復活の眞理を知らん(一−五)。
~は萬物の創造にして保持(六−一六)。
審判の日の光景(一七−二)。
地獄に於ける不信の應報(二一−三)。
天堂に於ける信の歡喜(三一−三八)。
審判の日より遁れんとする罪障(三九−四一)。
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