「コーラン經」 包套品 第七十三 [アル・ムッザㇺミル] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
包套品[アル・ムッザㇺミル](1-20節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 噫、爾、包套し
二 起てよ(禱に、續けよ)夜閨A少しの閧除きて、
三 (則)半夜、さらずば少しくそを減じ、
四 さらずば少しく揩オて。明に朗なる聲にて可蘭を誦せよ。
五 洵にわれ爾に重き言を授けんに。
六 洵に夜閧ノ起るは(熱誠なる)固持に驗多く端正の語を攝iすべし、
七 晝閧ヘ用繁ければ。
八 爾の上帝の名を記憶せよ、世闢I虛榮を抛ちて身を~に棒げよ。
九 東方の上帝なり西方の上帝なり、その外に~なし。されば渠を爾の恩主と仰げ。
 忍びて不信の輕侮に耐へよ。禮讓ある分袂を以て渠等と絶て。
一一 われをして獨り現世のをスびて虛妄を以て(可蘭を)責むるとあらしめよ。一時渠等に忍べ。
一二 洵にわれに重き鎖と燃ゆる烈火と
一三 (呑むの)ぶ食物と痛ましき苦楚とあり。
一四 その日大地は震ふべし、山嶽は烈けん砂塵と化せん。
一五 洵にわれ爾曹に證跡を齎らせる使徒を送れり、ファラオに使徒を送りしが如く。
一六 されどファラオは使徒に從はざりしかばわれ重き譴責を下せり。
一七 故に爾曹若し兒童の頭(畏怖の爲に)白からん日を信せずば如何にその日を免がれんや。
一八 その時天は裂けなん、その約は必ず行はれん。
一九 洵にこれヘ戒なり、そを願ふは何人にもあれその上帝に赴くべし。
 爾曹の上帝は、爾曹が(禱冥想の爲に)夜の三分の二に近く、また(時としては)半夜、また(時としては)三分の一を續け、爾と與にあるも亦然るを知れり。~は夜と晝とを測れば。~は爾曹の(確に)そを量り能はざるを知れば、爾曹に眷遇を垂る。故に(爾曹に)容易きだけ可蘭を讀誦せよ。~は知る、爾曹の中に薄溺なるあり、或は~の慈惠を(相應に)得んが爲に行旅にあり、或は~の信仰擁護の爲に戰ふあるを。故に容易きだけ可蘭を讀誦せよ。定時の禱を行ひ定法の施與を爲せ、~に資を貸せ、爾曹の心靈に先ちて送りし所を爾曹は~と與に發見さん。これ更に可からん更に大なる報償に値せん。~に赦をれ、~は赦を好みて仁慈なれば。
包套品[アル・ムッザㇺミル](1-20節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
冒頭に包套の字あり、麻訶末その衣類を以て身を包みガブリエルの默示を受くといふ。よりて之を以て可蘭中の最先出の一と爲す說あれども、必ずしも然らず。
ムイアは宣傳第六年の始に之を置けり。
內容
夜禱の命(一−九)。
麻訶末に不信の凌辱を忍ばしむ(一−一四)。
ファラオの責罰を默伽の衆に例とす(一五−一九)。
夜禱に就きての緩恕(二)。
包套品[アル・ムッザㇺミル](1-20節)の註釋(文字の解釈)
一 包套はガブリエルの出現に驚怖して衣を以て自包みしとも、また身を裏みて夜禱せる時または眠れる時この默示ありしともいふ。
 戰、禱、施與等をいふ。此一は恐らく默コ那の 默示ならむとの說あり。
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