「コーラン經」 不誤必來品 第六十九 [アル・ハッカト] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
不誤必來品[アル・ハッカト](1-52節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 不誤必來。
二 何ぞや不誤必來とは。
三 爾をして不誤必來の何たるかを理解せしむるは何ぞ。
四 タムド、アド(族)は(人心畏怖する)打擊の日を虛妄として拒めり。
五 されどタムドは恐るべき響音に滅び、
六 アドは吼え荒む風に滅びぬ、
七 ~が七夜八日續きて渠等を攻め擊ちし。その闔「曹はその民の洞なる椰子の根の如く打伏したるを見たらむ、
八 さてその何の殘れるを見得るぞ。
九 ファラオもその前のも、覆滅せる(城市)もみな罪を懷きたりき、
 渠等は(種に)その上帝の使徒に不柔順なりき、故に~は大なる譴責をそれに下しき。
一一 洪水起りし時われ爾曹を浮べる方舟に乘せ、
一二 そを記憶せしめそを留心せしめき。
一三 角一び鳴るや、
一四 大地は震動せん、山嶽も亦、みな一擊の下に粉されん、
一五 その日抗(の審判の)時は不時に至らん、
一六 その日天は決裂して紛として墮ちん。
一七 天使は傍にあり、その八人はその日上帝の寶座を支へん。
一八 その日爾曹は(~の審判廷に)徵さるべし、爾曹の密は毫も藏くされず。
一九 右手に書を受けしはいはん、此處に、取りてわが書を讀め、
 洵にわれはこのC算を期したりと。
二一 渠快き生を送らん
二二 高き園にて
二三 果實多く。
二四 快く食ひ且飮め、過去に行ひし善行の爲に。
二五 されど左手に書を受けしはいはん、噫、われこの書を受けざらんには、
二六 われわがC算の何たるかを知らざりき。
二七 噫(死)そをわが最後と爲さまほし。
二八 わが富はわれをuせず、
二九 わが力は去れりと。
 (~は地獄の關尹にいふべし)渠を執へ渠を縛れ、
三一 渠を焦熱地獄に投ぜよ、
三二 渠を長七十キュビトのに繫げ、
三三 渠は大~を信ぜず、
三四 貧を養ふに意なかりしかば。
三五 よりて今日渠は此處に一友なし
三六 一食なし、唯(殘軀より流る)穢膿あるのみ、
三七 罪障の外何人も口にせざる。
三八 われ爾曹の見る所によりて誓ふ、
三九 爾曹の見ざる所によりて誓ふ、
 これ名譽ある使徒の論義にして
四一 詩人の空言にあらざるを。何ぞき爾曹の信ずることや。
四二 そは左道の言論にあらず、如何にき爾曹の戒しむることや。
四三 萬物の主宰よりの默示なり。
四四 若し渠(麻訶末)われに就きての此論義の何れの部分たりとも僞作せんか、
四五 洵にわれ右手に渠を執へて
四六 その心脈を斷たん、
四七 また爾曹の何人にも渠を責むるを止めざらんに。
四八 洵にこの聖典は敬虔へのヘ戒なり。
四九 爾曹の中僞瞞を以てそを謗るあるはわれ能く知れり、
 されどそは確に不信には悲しむべき息なり、
五一 そは實に眞理なり。
五二 されば爾曹の主たる大~の名を頌めよ。
不誤必來品[アル・ハッカト](1-52節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
冒頭にある未來審判のヘの眞理決して誤らざるより名づく。
時代
ネルデケは宣傳第六年とし、ムイアは稍後とす。
內容
審判の來るは誤らず(一−三)。
豫言を拒みて滅びしアド、タムド、ファラオ(四−一)。
審判は洪水の如く至る(一一−一七)。
善惡各簿を受けその行爲によりて列せらる(一八−二九)。
不借は七十キュビトの鎖に繫がれて地獄に投ぜらる(三−三七)。
麻訶末の豫言的權利の宣誓(三八−五二)。
不誤必來品[アル・ハッカト](1-52節)の註釋(文字の解釈)
一 アルハクカトal haqqatは審判の日の別名なり。必ず來りて其眞實を證するの意なり。
四 アルカリアトal qariatは打擊の義にて、亦最後の日の別名なり。
一七 平常は四天使守護し、最後の日は揩オて八人となる。
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