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「コーラン經」 光筆品 第六十八 [アル・カラム] 默伽 |
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「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です |
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました |
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。 |
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します |
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました |
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光筆品[アル・カラム](1-52節)の本文 |
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大慈悲~の名に於て |
一 ヌン。筆によりて、渠等の錄せる所によりて、 |
二 (噫、麻訶末)、爾は上帝の慈恩によりて狂人ならず。 |
三 洵に爾には常住の報償あり、 |
四 爾の性尊ければ。 |
五 爾は見るべし、渠等(不信者)も見ん |
六 爾曹の孰か心を失へるを。 |
七 洵に爾曹の上帝はその道に迷へる者を能く知れり、正しく導かれし者を能く知れり、 |
八 故に欺瞞を以て爾を謗る者に勿從ひそ |
九 渠等は爾が(渠等に)溫厚ならんことを欲す、渠等は(爾に)溫和ならん。 |
一〇 されど賤しき誓盟者に勿從ひそ、卑賤の奴に、 |
一一 惡言を放つ讒謗者に、 |
一二 善を排する者また侵犯する者に、 |
一三 殘虐なる惡人に、その外庶出の者に、 |
一四 假令そは富資を擁し家門昌なりとも。 |
一五 わが表徵を之に說かば、渠いふ、古昔の小說のみと。 |
一六 われその鼻に烙印せん。 |
−七 洵にわれ渠等(默伽の衆)を試むること、(嘗て)明朝その果實を集むべしと誓ひし園圃の所有者を試みしが如し。 |
一八 されど渠等は(若し~にして欲せばその)除外を加へざりき。 |
一九 よりて爾曹の上帝よりの困厄はその眠れる閧ノそを圍繞めり、 |
二〇 朝に於てそは果實の取り去られし如くなりき。 |
二一 明朝渠等起きて互に相呼びていへり、 |
二二 若し果實を集めんと欲せば早く行くべしと。 |
二三 かくて渠等はゆけり、私語きながら、 |
二四 今日こそ貪人園に入らざるべしと、 |
二五 定まりし目的をもて渠等は早く出で行けり。 |
二六 渠等(園圃の荒れたるを)見て、洵に吾曹は道を誤れり、 |
二七 洵に吾曹は(收果を)禁ぜられきと(叫べり)。 |
二八 渠等の優れし者いへり、われ爾曹にいはずや、爾曹~を頌めずやと。 |
二九 渠等答へき、吾曹の上帝を頌めよ、洵に吾曹は不正なりきと。 |
三〇 渠等互に相耻しめき、 |
三一 渠等いへり、吾曹は不幸、吾曹洵に侵犯者なりき、 |
三二 恐らく吾曹の上帝は之よりも善きものを代りに與へん、吾曹は熱心に(赦免を)上帝に請ふと。 |
三三 これ(現世の)譴責なり、されど來世の譴責は更に甚しからん、渠等若しそを知らば。 |
三四 洵に敬虔者にはその上帝と與にス樂の園あり。 |
三五 われムスリムを惡人と等しく遇せんや。 |
三六 何を苦んで爾曹斯く判ぜる。 |
三七 爾曹に(天の)聖典ありてそを讀まば |
三八 中に爾曹の欲する所約せられずや。 |
三九 さては爾曹にその思ふ所を享樂すべき復活の日を約せる誓盟(を受くる)なかりしや。 |
四〇 渠等の孰かこの證者たるかを渠等に問へ。 |
四一 さては渠等(爲に證する)夥伴ありや。渠等の言眞ならば其夥伴を出さしめよ。 |
四二 其日跣足にて禮拜に徵さるべし、されど渠等は能はざらん。 |
四三 渠等面を伏せん、耻辱は渠等に在らん、渠等尚安き閧ノ(~の)禮拜に徵さるれば。 |
四四 さればわれをして獨り欺瞞を以てこの新しき默示を謗る渠と與に在らしめよ。われ渠等の知らざる方にて漸次に渠等を(破滅に)導かん。 |
四五 われ久しく渠等に耐へん、わが謀略は有效なれば。 |
四六 爾渠等に(爾の說ヘに對して)何等の報酬を求めしか。渠等は負債を負へるに。 |
四七 未來の祕密渠等に在りや。渠等そを(~命の書典より)抹錄せりや。 |
四八 故に忍んで爾の上帝の審判を待て、魚腹に入りて心悶へて(~に)祈りし者の如く勿ありそ。 |
四九 其上帝の仁惠なかりせば渠必ずや耻辱に掩はれて不毛の海岸に着きけん、 |
五〇 されど其上帝は渠を擇びて正しき者(の一人)と爲せり。 |
五一 不信者は(可蘭の)ヘ戒を聞きて、渠實に狂へりといひし時殆んど其(恐る可き)面色を以て爾を壓倒せり、 |
五二 されど是あらゆる人類に對するヘ戒に外ならず。 |
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光筆品[アル・カラム](1-52節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説) |
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冒頭の一字によりてまたヌンと名づく。或はいふ、ヌンは墨池また魚なりと。墨池とせば、直に次の筆字と連るべし、魚とする者はヨナを呑みし魚と解す。 |
時代 |
古は之を以て可蘭中の最先、少くとも第二品と爲せり。されど爾來ゥ家の研究推定を經て大抵宣傳第四年頃のものとせらる。 |
內容 |
麻訶末は狂人ならず、また僞瞞者ならず(一−八)。 |
ヘ敵に對する讒謗(九−一六)。 |
默伽の衆を戒しむる園主の例(一七−三四)。 |
不信者に審判來を戒しむ(三五−四七)。 |
ヨナを例として麻訶末に竪忍を勸む(四八−五二)。 |
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光筆品[アル・カラム](1-52節)の註釋(文字の解釈) |
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一 錄せる所は一般の書錄といふ說と、上の筆字をうけて特に~命の所録?となす說とあり。 |
一〇 一〇節の賤しき誓盟者は麻訶末の勁敵ワリド・イブン・アル・ムガーイラWalid lbn al Mughairaを指すといひ、またアクーナス・イブン・シュライクAkhnas lbn Shuraikなりともいふ。 |
一六 鼻の烙印は、バドルの戰にワリドが鼻上に劍瘡を蒙りしよりu顯著となれりとぞ。 |
一七 サナアSanaaを距る二パラサングに椰子樹園を有せる者常に貧者を憐れみて果實を與へしに、その死後二子つぎて之を與へざりきといふ談。 |
四八 魚腹に入りしものはヨナ。 |
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Office Murakami |