「コーラン經」 崇敬品 第三十二 [ウス・シジァ] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
崇敬品[ウス・シジァ](1-30節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 エリフ ラム ミム。この經の默示は萬物の主宰より出でしこと疑なし。
二 麻訶末之を僞作せりと渠等はいふか。否とよ、こは爾の上帝より下れる眞理なり、爾の前に一人の說ヘなかりし民に爾のヘを說き得るために。恐らく渠等は導かれん。
三 天と地とその間にありとしあるものを六日に創造りて然る後に寶座に上りしは~なり。爾曹、~の外に一人の恩主も勸解もなし。されば爾曹思はざるか。
四 ~は天より地に至る萬物を司配す。今後渠等は~に歸るべし、爾曹の算する所にて一千年にるその日に。
五 未來と現在とを知るは~、偉大なる~仁慈なる~なり。
六 その創造れるあらゆるものを非常に善くし始めて泥土より人を創造り
七 後に穢水のよりその子孫を創造り、
八 更にそを形作り、その氣を之に吹き、爾曹に聽(の感)と(理解の)心とを與へしは~なり。何ぞ爾曹の感謝のきや。
九 渠等いふ、吾曹地中に埋れて後新に復活すべきやと。
 否、渠等は(復活の日に)其上帝の會合を拒む。
一一 いへ、爾曹に臨む死の天使は爾曹を死せしめて爾曹を其上帝に歸へすべしと。
一二 惡人の頭をその上帝の前に垂れて、噫、上帝、吾曹は見たり且聞きたり、故に吾曹を(世界へ)歸せ、吾曹正を行ふべし、今吾曹は(吾曹に說かれしところの眞なるを)悟れりといふを爾曹見得たらんには、(爾曹驚く可きなり。)
一三 われ欲せばわれ必ず各人に示ヘを垂れん。されど、わが言は必す果されざるべからず、(曰く)、洵にわれ妖と人とを以て地獄を滿たすべし。
一四 故に(爾曹の爲に設けし苦痛を)喫せるよ、爾曹この爾曹の日の來るを忘れたれば、われまた爾曹を忘れたり、故に爾曹の所業に對して永劫に責罰を喫せよと。
一五 洵にわが表徵を以て戒しめらる時伏してその上帝を拜し頌め自誇らざるのみわが表徵を信ず。
一六 渠等身を床より起こし思怖と希望とを以てその上帝にり、わが渠等に與へし所より施與を爲す。
一七 渠等の所業の報償として渠等の爲に私に備へられし完全なる滿足を知るは一人もなし。
一八 されば眞の信は不敬なる侵犯の如くなるべきか。渠等は等しからざるべし。
一九 信じて正を行ふには常任の樂園、その所業の澤なる果報としてあるべし。
 されど不敬に犯せるもの居所は(地獄の)火なり。渠等それより遁れんとする每に其處に引きかへされていはるべし、爾曹が虛妄として否みし(地獄の)火を味へと。
二一 われ渠等をして(現世の)近き責罰を喫せしめん、(來世の)更に痛ましき責罰の外に。恐らく渠等はひ改めん。
二二 その~の表徵によりて戒しめられてなほ之を顧みざるよりも不正なるありや。われ必ず惡人に報復せん。
二三 われ嘗てモセに法典を授けたり、されば爾曹その默示を勿疑ひそ。われそをイスラエルの子孫のヘ戒とせり。
二四 われ渠等の中よりヘ師を命じわが命によりて、その民を導かしむ、その時渠等は堅忍にして固くわが表徵を信じたり。
二五 洵に爾曹の上帝は復活の日に渠等の相爭ふところを裁決すべし。
二六 われ渠等以前に如何に多くの代を滅却せしかを渠等見ざるにや、その地を渠等過ぎながら。洵に此處に表徵あり。されば渠等聞かざるにや。
二七 渠等見ずや、わが不毛の焦土に膏雨を降してその家畜と渠等との食ふ物を生ぜるを。さるに渠等は顧みざるや。
二八 渠等(不信は眞の信に)いふべし、その決定は何時ぞ、爾の言眞ならばと。
二九 答へよ、その決定の日に信ぜざりしの信仰は渠等をuせず、また渠等は猶豫されざらむと。
 されば渠等を避けて待てよ、洵に渠等も亦待てり。
崇敬品[ウス・シジァ](1-30節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
時代
默伽宣傳の第三期の中頃。
內容
可蘭は天啓、僞作に非ず(一-二)。
天地六日に成る(三)。
一千年の審判(四)。
人間の創造と復活(五-一一)。
不信の改悛遲し(一二)。
地獄は妖と人とを以て充つ可し(一三-一四)。
眞の信の果報、不信の責罰(一五-二一)。
~の表徵を拒む大罪(二二)。
セの往蹟を以て默伽の民を戒しむ(二三-二六)。
麻訶末に審判の日を逼る異教者(二七-三)。
崇敬品[ウス・シジァ](1-30節)の註釋(文字の解釈)
七 水よリ人を創造ることは處に見ゆ。水は人體の要素なればと說くと、水とは精なリといふ說とあリ。玆に穢水の精といふにて精汁とすべきに似たり。
一七 滿足、原文の辭にはス目とあり。
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