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「コーラン經」 故事品 第二十八 [アル・カサス] 默伽 |
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「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です |
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました |
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。 |
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します |
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました |
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故事品[アル・カサス](1-88節)の本文 |
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大慈悲~の名に於て |
一 タ シン ミム。これ明典の表徵なり。 |
二 われ信ずる者の爲に、(噫、麻訶末)、モーセとファラオとの實事(の或部分)を爾に說かむ。 |
三 ファラオ埃及に起れり、その臣民をゥ部に分ち、その一部の男子を殺し女子を遺して之を弱めたり、渠は虐主なれば。 |
四 われその地に弱められし者の爲に悲みそをヘの型典と爲さんとせり、渠等を(ファラオと其氏の富資の)繼嗣となし |
五 地上にその地位を確立し、ファラオとハマンとその軍とに渠等が避けんとせし所(によりてその王國と國民とを滅ぼす)を示さんとせり。 |
六 われ默示を以てモーセの母を導きたり(斯くいひて)、渠を哺育せよ、爾若し渠を畏れなば之を河に投ぜよ、勿畏れそ、勿惱みそ、われ渠を爾に復し(わが)使徒(の一人)となすべければと。 |
七 (母そを河に投ずるや)ファラオの族之を拾ひたり、その敵となり憂となるべきに。洵にファラオとハマンとその軍とは罪あり。 |
八 ファラオの妃いへり、(此兒は)われと爾の目をスばしむ、勿殺しそ、恐らく吾爾の用を爲さん、さては吾曹子となさんと。而して渠等知らざるなり(その所業の後果をば。) |
九 モーセの母の心(畏れ)痛めり。殆んど渠を顯さんとせり、われ其心を固めて(~の約を信ずる者(の一人)たらしめざりせば。 |
一〇 母は妹に渠に從へといへり。渠は離れてそを監視れり、渠等はそを見ざりき。 |
一一 われ渠を乳母に眤しめず。妹(來りて)いへり、われ爾の爲に渠を哺乳すべきその民の或ものを爾に薦めんと。(渠等の請によりて其母を薦めたり)。 |
一二 斯くしてわれ渠をその母に復し、母の心は安んじ惱は除き、~の約の眞なるを知らしめき、さるに多くは(その實を)知らず。 |
一三 モーセ旣に長じて人となるやわれ之に智と識とを授け、斯くしてわれ正しき者に酬ひき。 |
一四 その民意を注めざる時、渠城市にゆきしに、渠は二人の鬪ふを見たり、一人はその派にて他はその敵なりき。その派なりし者救助を求めしかば、モーセ拳を揮ひてその敵を擊ち殺せり。渠いへり、これ惡魔の業なり、渠は人を惑はす公敵なればと。 |
一五 渠いへり、噫、上帝よ、約にわれわが心を害ふ、さればわれを赦せと。~渠を赦しき、~は赦を好みて仁慈なれば。 |
一六 渠いへり、噫、上帝、爾のわれに與へし眷遇の爲にわれ(將來)惡人を授けざるべしと。 |
一七 翌朝渠城市に於て恐れ(危難を慮るが如く)四邊を顧眄せり、見よ前日その助けし者(再び)援助を呼べり。(されど)モーセはいへり、爾は實に爭を好む奴かなと。 |
一八 渠、渠等兩人の敵たる者を執へんとするやいへり、噫、モーセ、爾は前日人を殺せしが如く復われを殺さんとにや、爾は唯地上に於ける虐主たるを希ひて(爭鬪の)和解者たるを欲せずと。 |
一九 時に彼方より急ぎ來る者ありていへり、噫、モーセ、洵に吏僚は爾を死に處せんと諮り居れり、故に去れ、われ實に爾に忠告すと。 |
二〇 よりてモーセは大に恐れ、彼方此方を顧みながら城市を遁れていへり、噫、上帝よ、われを不正の民より救へと。 |
二一 渠マヂアンに向ふ途上にていへり、恐らくわが上帝はわれを正しき道に導かんと。 |
二二 渠マヂアンの井に達せし時その畜群に水かへる一群の衆を見たり。 |
二三 その外に(隔りて)羊を監れる二婦人を見たり。渠(渠等に)いへり、何事ぞと。渠等答へき、牧者その畜を逐ひ去るまで吾曹はわが畜を水かひ得ず、吾曹の父は高齡の老人なればと。 |
二四 よりてモーセは渠等の爲に羊を水かひて後傍に退き、噫、上帝よ、われ爾のわれに妻を下さんを要すといへり。 |
二五 婦人の一人恥ぢながら來りて渠にいへり、わが父爾を請ひて吾曹の爲に水かひし勞を謝せんとすと。渠その父(シュアイブ)に至りてその來歷を語るや、渠いへり、勿畏れそ、爾は不正の民より遁れたりと。 |
二六 (婦人の)一人いへり、わが父よ、渠を貸して雇へ、爾の雇ひ得るは强き信ずべき人なりと。 |
二七 渠(モーセに)いへり、洵にわれ爾にわが二女の一を婚せしめん、爾八年の閧れに雇はれんを條件として。若し十年に至らばそは爾の心にあらん、われ難きを爾に責めざれば、爾はわが正直なるを知らん、~にして欲せばと。 |
二八 (モーセ)答へき、こはわれと爾との約たらしめよ、兩期の孰にても滿たさば(われ去るも)わが罪と勿なしそ、~は吾曹の證人なりと。 |
二九 モーセ期滿ちてその宗族と(埃及に向ひて)行くや(シナイの)山側に火を見たり。渠宗族はいへり、爾曹(此處に)留まれ、われ火を見る、恐らくわれ爾曹に(道の)報道を得來らん、少くも爾曹溫まり得ん爲に燃木を得來らんと。 |
三〇 渠至るや、聖き谷の右側なる樹より聲ありていふ、噫、モーセ、洵にわれは萬物の主宰たる~なり、 |
三一 今爾の杖は投げよと。渠その蛇の如く動くを見るや退き遁れて歸らず。~いへり、噫、モーセ、近づきて勿畏れそ、爾安ければ、 |
三二 爾の手を胸に置け、少しも害はれずに白からん、爾の手を引け。これファラオとそのゥ公とに對する爾の上帝よりの二個の顯著なる表徵たるべし、渠等は惡き者なればと。 |
三三 (モーセ)いへり、噫、上帝、洵にわれは渠等の一人を殺せり、渠等のわれを死に處せんを恐る、 |
三四 たゞわが弟アアロンは辯舌われに優る、故に輔佐としてわれと與に送れ。われ渠等の虛妄を以てわれを責めんを怒るれば、渠われを信用せしめ得んにと。 |
三五 (~)いへり、われ爾の弟を以て爾に一臂の力を添へしめん、われ爾曹の各にわが表徵を以て力を與へ渠等をして爾曹に迫らざらしめん。爾曹二人と爾曹とともにある者は捷利者たるべしと。 |
三六 モーセわが明白なる表徵を以て至りし時、渠等いへり、是幻術の欺瞞に外ならず、吾曹は吾曹の祖先の中に此の如きを聞かずと。 |
三七 モーセいへり、わが上帝は誰かその示ヘを以て來り(來世に於けるが如く)現世に成功するかを能く知れり、たゞ不正なる者は昌へざるべしと。 |
三八 ファラオいへり、噫、ゥ公、爾曹わが外に何等の~を有するやわれ知らず。されば、噫、ハマン、わが爲に泥土を燒け、わが爲に高塔を築け、われ恐らくモーセの~に上り得ん、洵にわれ渠を虛欺者と信ずればと。 |
三九 渠とその軍とは理由なくして地上に誇り、(審判の爲に)わが前に徵されじと思へり。 |
四〇 よりてわれ渠とその軍とをとりて之を海に投じたり。されば見よ、不正者の末路の如何を。 |
四一 われ渠等を(地獄の)火に投じて模範となせり。復活の日に渠等は(責罰より)救はれざるべし。 |
四二 われ現世に於て呪咀を以て渠等を追ひ、復活の日に渠等は恥辱を以て拒まるべし。 |
四三 われ前代を滅ぼせしのち、人心を明にし、示ヘと慈惠との爲めにモーセに法典を授けたり、恐らく渠等は省察せん。 |
四四 (噫、豫言者)われモーセにその命を授けし時、爾は(シナイ山の)西麓にあらざりき、爾はその時現存せざりき、 |
四五 されどわれ(モーセの後に)數代を起し渠等の生を長くせり。わが表徵をマヂアンの民に說くとき、實は其處にあらざりき、されどわれわが使徒を送れり。 |
四六 われ(モーセを)呼びし時、爾は山側に在らざりき、されど爾が從來未曾て一人の說ヘ者を有せざりし民に說ヘし得るは爾の上帝の慈惠なり、恐らく渠等は戒しめられん。 |
四七 若し渠等の所業のために災厄渠等に至らば渠等いふべし、噫、上帝、爾は吾曹に一人の使徒をも送らず、吾曹爾の表徵に從ひて眞の信者となり得ざればと。 |
四八 而も眞理われより渠等に至れば渠等いふ、渠モーセが受けしと同じ力を得ざれば(吾曹信ぜざるべし)と。渠等は嘗てモーセに與へし默示をも拒まざりしか。渠等はいふ、二個の奸智ある虛妄者は互に相助けたりと。渠等はいふ、洵に吾曹は兩者を併せ拒むと。 |
四九 いへ、さらば此二書よりも更に正しき~の聖典を示せ、われ之に從はん、爾曹の言果して眞ならばと。 |
五〇 然れども渠等何の答をも爲さずば、渠等は唯その私欲に從ふを知れ。~の示ヘなくして唯その私欲に任す者よりも誰か(眞理を距る)更に甚しき者ぞ。洵に~は不正の民を導かず。 |
五一 今われわが言を渠等に下すはそのヘ戒のためなり。 |
五二 わが前に聖典を授けし者はそを信ぜよ。 |
五三 そを渠等に讀誦する時にいへ、吾曹そを信ず、そは確に吾曹の上帝よりの眞理なり、洵に吾曹は之より前にムスリムたりきと。 |
五四 此等は二重の報償を得べし、渠等は堅忍にして善を以て惡を攘ひ、わが渠等に與へし所より施與を爲せばなり。 |
五五 渠等虛談空言を聞くやそを避けていふ、吾曹に吾曹の業あり爾曹に爾曹の業あり、爾曹に平和あれ、吾曹は無智の相識を求めずと。 |
五六 洵に爾曹はその欲する者を導く能はず、唯~はその欲する者を導く。~は示導に應ずべき者を最よく知れり。 |
五七 渠等(默伽の衆)はいふ、吾曹、爾曹と(同じ)ヘに從はゞわがク國を放逐されんと。われ渠等の爲に、わが恩惠の食物として各種の果實を齎らせる安全なる避難處を作らざりしか。然るに渠等多くは理解せず。 |
五八 平和に潤澤なりし如何に多くの城市をわれ破却せしか。その民の住家は少時にあらざればその後住はれず。吾曹はその(富資の)繼嗣者なり。 |
五九 されど爾曹の上帝は、渠等にわが表徵を傳ふべき使徒をその首都に派せずして城市を破却せざりき、また其氏その使徒を迫害せざればわれそを破却せざりき。 |
六〇 爾曹に授けしは現世の物資とその虛飾なり、されど~と與に在るところは更に善く更に久し。されば爾曹理解せずや。 |
六一 (未來の幸の)わが優れたる約束を受けてそを得べき者はこの現世の物資を得て復活の日に(永久の責罰に)附與せらるゝ者の如くなるべきや。 |
六二 その日~は渠等を徵していふべし、爾曹がわが共同者なりとせしもの今何處にかあると。 |
六三 (苦難の)宣言の當然宣せらるべき者は答ふべし、噫上帝、此等はわが誘惑せし所なり、吾曹は吾曹が誘惑されしが如く渠等を誘惑せり、されど今吾曹は明に渠等を捨てゝ爾に歸す。渠等は吾曹を禮拜せず(たゞその私欲に任せしのみ)と。 |
六四 而して(偶像信者に)いはるべし、今爾曹が~と同列に推せし者に祈れと。渠等はそれに祈るべし、されど渠等は應ぜざるべし。渠等は責苦を見るべく、渠等が導かれたらんを願はむ。 |
六五 その日~は渠等を徵していふべし、如何なる答をか爾曹わが使者にこなせると。 |
六六 されど渠等はその日計算を爲す能はずまた互に(報告を)求むる能はず。 |
六七 されど悔ひて信じ正しきを爲す者は幸を期し得。 |
六八 爾曹の上帝はその欲する所を創造り自由に擇む。されど渠等には選擇の自由なし。~を頌めよ、渠等がそれと同列に推せる所よりも遙に高く。 |
六九 爾曹の上帝は渠等の胸に祕する所とその公にせる所とを併せ知る。 |
七〇 渠は~なり、渠の外に一も~なし。渠に現當二世の頌揚は歸す。渠に審判は屬す。故に渠に(復活の日に)爾曹は集まらざるを得ず。 |
七一 いへ、何とか思ふ爾曹は。若し~常住の夜を以て復活の日まで爾曹を掩はゞ~の外の何の~祇か爾曹に光明を與へん。されば爾曹聞かざるか。 |
七二 いへ、何とか思ふ爾曹は。若し~長久の畫を復活の日まで爾曹に續けなば~の外の何の~祇か爾曹に休むべき夜を與へん。さるに爾曹思はずや。 |
七三 ~はその慈惠によりて爾曹の爲に畫夜を作り爾曹をしてその一に休息せしめ他に~の豐澤(の物資)を求めしむ、爾曹はそを感謝すべし。 |
七四 その日に~は渠等を徵していふべし、爾曹がわが共同者なりとせし者今何處にか在ると。 |
七五 われ各の民より證者を會していふべし、此處に爾曹の證蹟を齎らせと。渠等は正理のたゞ~に在るを知らん。渠等が禮拜せし~祇は渠等を捨つべし。 |
七六 カルンはモーセの民なり。されど渠は渠等に對して暴慢なりき、われ渠に巨額の富を與へその鍵は幾多の强者に負擔せしめき。その民渠にいへり、太く勿スびそ、~は(その富を太く)スぶ者を好まざれば、 |
七七 ~の爾に授けし所(の富)を用ひて唯(天堂なる)未來の宅地を求めよ。現世に於ける爾の股分を勿忘れそ。~が爾に寛大なるが如く爾は(他の者に)寛大なれ。地上に醜惡を勿行ひそ、~は惡を爲す者を憎めばと。 |
七八 渠はわが此富を得たるは唯われに智あるに因れりと答へき。渠は以前に力と富とともに渠に超えし幾代を~の旣に破滅せしを渠知らざりしか。されど惡人はその罪惡を問はるべくあらざりき。 |
七九 カルンは驕華を以て其民に往けり。この現世をスぶ者はいへり、カルンの得し如き富を吾曹も得ばや。洵に渠は運の主なりと。 |
八〇 されど知識ある者は答へき、鳴呼爾曹、(來世の)~の報償は信じて善行を修むる者に多かるべし、善く耐ゆる者の外そを得ざるべしと。 |
八一 われ大地を裂きて渠とその宮殿とを呑ましめき。渠は~に逆ひてそを救ふの力なく、また(責罰より)救はれぎりき。 |
八二 前日渠を羨みし者翌日いへり、鳴呼、洵に~はその欲する奴僕に潤澤なる物資を授け、また(欲する者に)之を愛しむ。~吾曹に仁慈ならずば必ずや大地はまた吾曹を呑まん。鳴呼、不信者は昌へざるべしと。 |
八三 この未來の宅地はわれそを、地上に於て自誇らず不正を爲さゞる者に與ふべし、(幸なる)果報は敬虔者にあれば。 |
八四 善行者はその功コに過ぐる報償を受くべし。されど惡行者は唯その爲せる所業に應じて酬はるべし。 |
八五 洵に(信仰と實踐との)科條として爾に可蘭を授けし者は爾を郷國(默伽)に歸さむ。いへ、わが上帝は誰か眞の示ヘを持し誰か明なる迷妄に在るかを最能く知れりと。 |
八六 爾は(可蘭)の聖典の爾に下さるべきを豫期せず、たゞ爾の上帝の慈惠により(てそを受け)たり。されば不信者を勿助けそ、 |
八七 渠等をして~の表徵より爾を勿迷はしそ、表徵の爾に下され人を爾の~に招けるのも。爾は偶像信者と勿なりそ、 |
八八 (眞の)~と與に他の~祇は勿拜しそ。~の外には~なし。~の外の萬物は滅ぶべし。~に審判は屬し、~の前に(最後の日に)爾は集まるべし。 |
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故事品[アル・カサス](1-88節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説) |
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モーセ、ファラオの故事往史を說きて信者にヘゆれば、以て名づく。モーセの事は既に前のゥ經に見へたるも、そのファラオと會する前の事は此に出づるを最詳しと爲す。但モーセの排斥ファラオの滅亡の事は僅に數句に略し、且ハマンのことを混同せり。但し麻訶末はモーセと連りて孤列種を兩者の敵、則、五部書と可蘭經とを併せ拒むものとせり。後半に至りては通例の默伽說法にして特色少し。 |
時代 |
五二、五三を默コ那默示と爲す說あれども、猶太基督ヘ徒が可蘭の~誥なるを信ずるは其非を證せり。七六以下のカルンの譚を錯簡の竄入となす說あるも、その前節の說明なり。ゥ節の事情を綜合して學者は之を宣ヘ第五年、則、ヘジラ前九年の默示と推定せり。 |
內容 |
モーセの故事。その出身と埃及にての殺人(二-二〇)。 |
同。マヂアンに於けるモーセ(二一-二八)。 |
同。ファラオとモーセ(二九-四二)。 |
麻訶末に亞剌比亞宣ヘの天啓(四三-四七)。 |
五部書可蘭を併せ拒む孤列種(四八-四九)。 |
一部猶太人の信仰を以て默伽の衆を戒しむ(五〇-五四)。 |
眞改宗者(五五)。 |
默伽放逐を恐れて改宗を拒む(五六-五七)。 |
不信の爲に城市の破滅(五八-五九)。 |
現世の昌榮は~眷の表徵ならず(六〇-六一)。 |
審判の日にその徒を捨つる僞~(六二-六四)。 |
偶像信者の屈伏と~の力(六五-六九)。 |
畫夜の交替は~業なり(七〇-七三)。 |
~は審判に各民の證者を徵す、その例たるカルンの故事(七四-八二)。 |
謙遜柔順者の赦(八三-八五)。 |
麻訶末に對する可蘭授賜堅忍持ヘの訓戒(八六-八八)。 |
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故事品[アル・カサス](1-88節)の註釋(文字の解釈) |
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二 二節以下のモーセの譚最詳細なれば、これ可蘭中にてモーセ、ファラオの故事を說きし先出の一卷ならむとの說あり。 |
三 ゥ部に分ちしは、或は埃及イスラエルのニ派に分つとの說あり。 |
五 ハマンHamanは波斯王アハスエルスAhasuerusの寵臣なり。麻訶末はその名を借りてファラオの宰臣に命じたり。 |
一四 その民不注意の時とは、午睡の時たる午時なり。惡魔の業なリとは、素殺意なくして殺せし辯解。 |
二三 二人の女は出埃及記第二章には七人の女とあり。恐らく創世記第三十九章なるヤコブとレバンの二女との事と混同せしならむ。 |
三八 ハマン命を承けて夫五萬を役して高塔を築きファラオその頂に上リ天に向ひて飛槍を抛げしに槍下リて鋒に血あり、以てモーセの~を殺し得たりと爲せしに、その夜天使ガブリエル下リ翅を1揮すれば塔崩れ多くファラオの軍士を壓殺せりといふ。 |
四八 二個の虛妄はまた二人の虛妄者ともあリ、孰にするも義は同じく、モーセと麻訶末とか、五部書と可蘭となり。 |
五三 之より前にムスリムたりとは可蘭の默示以前に同じヘを信ぜるをいふ。 |
五四 二重の報償を得るは、歸侬する猶太基督ヘ徒は聖書と可蘭と併せ信ずるためにいふ。 |
七五 證者は豫言者なり。或は「渠等は正理の唯~に在るを知らん」の句をも~誥に入るべしと爲す。 |
七六 カルンQarunは、モーセの叔父イザールIzhar(ヤシァルYashar)の子にて基督經典のコラーKorahなり。此人イスラエル第一の美男にて富豪、カルンの富は當世の俚諺となれる程なり。蓋し麻訶末は此を假りて富資ある有力のヘ敵アブ•ラハブAbu Lahabに當てしといふ。 |
七九 豪華は、カルン紫袍を着金飾の白馬に跨リ盛装の扈從四千を從へしとあり。 |
八一 八一節を以て答辭の一部となす者あり。 |
八五 八五節の「いへ、わが上帝云々」の語は本節のみなりや、以下のゥ節もその言中なリや、曖昧なり。 |
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Office Murakami |