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「コーラン經」 眞信者品 第二十三 [ウル・ムミヌン] 默伽 |
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「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です |
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました |
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。 |
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します |
本文の漢字・ルビ・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました |
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眞信者品[ウル・ムミヌン](1-119節)の本文 |
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大慈悲~の名に於て |
一 今や眞の信者は幸なり、 |
二 祈禱に身を委する者、 |
三 虛妄の語を排する者、 |
四 施與を行ふ者、 |
五 淫慾を愼む者、 |
六 その妻とその權下の捕囚との外、--渠等は汚染にあらず、 |
七 されど此以外の婦人を愛するは侵犯者なり-- |
八 自信を守りて約を遂ぐる者、 |
九 祈禱の時刻を違へざる者、 |
一〇 此等の者は繼承者として、 |
一一 天堂を繼承すべし、永久に其處に在るべし。 |
一二 われ嘗て泥土の良種より人を創作り、 |
一三 のちそを安全なる胎中に種となし、 |
一四 更にのち種を凝血となし凝血を肉片となし、肉片を骨となし、骨に衣するに肉を以てし、かくてわれ他の造物によりて同じ者を生ぜり。されば最優れたる造物主たる~を頌めよ。 |
一五 この後爾曹は死せざるを得ず |
一六 更にのち復活の日に甦生すべし。 |
一七 われ爾曹の上に七天を創れり、われわが創りし者を等閑にせず。 |
一八 われ天より雨水を降してそを地上に留めしむ、われまた爾曹よりそを奪ふを得。 |
一九 われそれによりて椰子園葡萄園を爾曹の爲に繁茂せしめ |
二〇 其處に果實を生じて爾曹に食はしむ。 |
二一 (われまた爾曹の爲に生ぜし)シナイ山の一樹あり、そは油を出し食ふ者に液汁を生ず。 |
二二 爾曹はまた家畜にヘ戒を有てり、われ爾曹にその肚腹なる乳汁を呑ましめ、其他幾多の利uを渠等より得しめ、渠等を食はしめ、 |
二三 渠等と船舶とにて爾曹を運ばしむ。 |
二四 われ昔ノアをその民に送れり、渠いへり、噫わが民、~に仕へよ、爾曹~の外に~を有たず、されば爾曹畏れざるにや(他の~祇を禮拜するを)。 |
二五 信ぜざるその民の長いへり、これ爾曹と同じき人に外ならず、渠は自爾曹の上に立たんとす。若し~(爾曹に使者を送らんと)欲しなば必ずや天使を送りけむ、われ祖宗より未此事を聞かず。 |
二六 洵に渠は發狂せるのみ。故に暫く待てと。 |
二七 ノアいへり、噫、上帝、われを保護せよ、渠等は虛妄を以てわれを責むればと。 |
二八 われ渠に默示していへり、わが眼前にわが默示に從ひて方舟を造れ。わが命行はれて爐沸(きて水湧)くとき、 |
二九 各種の動物一對づゝをそれに載せよ。既に破滅の宣言下れる者を除きて爾の家族をも。不正なりし者の爲にわれに勿祈りそ、渠等は溺るべければなり。 |
三〇 而して爾と爾に伴ふ渠等方舟に乘るやいへ、吾曹を不敬~の民より救ひし~を頌めよと。 |
三一 而していへ、噫、上帝、吾曹をして祝されし下乘を以て(方舟より)下らしめよ、爾は吾曹を(安全に)下すに最適せるものなればと。 |
三二 洵に此處に(わが全智の)表徵ありき、われそを(之によりて人閧ノ)證したり。 |
三三 その後われ他の代を生ぜり、 |
三四 われ渠等の中より渠等に使徒を下せり、~を禮拜せよ、爾曹はこの外に~を有せず、故に爾曹(その報復を)畏れざるか、(といはしめき)。 |
三五 ヘを信ぜず來世の會合を拒みこの現世の昌榮を受くる其民の長いへり、これ爾曹の如き人に外ならず、渠は爾曹の食ふところを食ひ爾曹の飲むところを飮む、 |
三六 爾曹若し爾曹と同じき一人に從はゞ必ず虐げられむ。 |
三七 爾曹死すべし死灰枯骨となるべし、其後(墓穴の中より生きながら復起つべしと渠は爾曹を嚇すか。 |
三八 去れよ、爾曹の嚇さるゝ所を去れ。 |
三九 吾曹現世の外に他生あらんや、吾曹は生死するも復活することなけむ。 |
四〇 これ~に就きて虛妄を說く者のみ、吾曹は渠を信ぜざるべしと。 |
四一 (その使徒)いへり、噫、上帝、われを保護せよ、渠等は虛妄を以てわれを責むればと。 |
四二 (~)答へき、暫時にして渠等必ず(その頑迷を)悔ひんと。 |
四三 さて峻罰は正しく渠等に下されり、われ渠等を滓渣の如くなせり。されば不敬の民を去れ。 |
四四 その後われ渠等の後に他の代を生ぜり。 |
四五 何の民も定まれる時より前に罰せられず、それより後に猶豫されず。 |
四六 後われ漸次に使徒を送れり。使徒至る每に何の民も虛妄を以て之を責めき、われ渠等を相踵ぎて破滅せしめ、われ渠等を唯口碑的史譚たらしめき。されば不敬の民を去れ。 |
四七 その後われモーセとその弟アアロンとにわが表徵と顯著なる力とを齎らして |
四八 ファラオとそのゥ公とに派せり。然るに渠等は傲然之を(信ずるを)拒めり、渠等は傲慢の民なれば。 |
四九 渠等はいへり、その民吾曹の奴僕なるにわれ爾に等しきこの二人を信ずべきかと。 |
五〇 渠等は虛妄を以て渠等を責めしかば、亦破滅を招く者の數に入れり。 |
五一 われ嚮にモーセに法典を授けたり、(それを以てイスラエルの子孫を)導き得るために。 |
五二 われマリアの子とその母とを表徵と定めき。われ渠等の爲に安全にしてC流ある地上の高處を居所としたり。 |
五三 噫、ゥ使徒、善き物を食ひ正しき事を行へ、われ爾曹の所業を熟知すれば。 |
五四 爾曹のこのヘは唯一なり、われ爾曹の上帝なり、故にわれを畏れよ。 |
五五 然るに人はそのヘの事に流派を分てり、各派はその從ふ所をスべり。 |
五六 時到るまで渠等をその混亂に委せよ。 |
五七 渠等はわれ渠等に富資と子孫とを急ぐを思ふや、 |
五八 わが潤澤に渠等に與へしものを渠等の善事として。否、渠等は理解せず。 |
五九 洵に渠等の上帝を畏れ怖く者、 |
六〇 その上帝の表徵を信ずる者、 |
六一 その上帝に夥伴を配せざる者、施與を與へその上帝に復歸するを心に畏るゝ者、 |
六二 此等は善事に急ぎ最先にそを得べし。 |
六三 われ其能力に應ぜず難きを人に責むることなし。われに眞理を語る聖典あり。渠等は犯されざるべし。 |
六四 然るに渠等の心は此につきて迷誤に陷り、渠等の所業はその爲すべき所と違へり、 |
六五 われ運命の昌榮をスべる者に峻罰を下し、見よ、渠等の高く救を求むるまで。 |
六六 (されど渠等に答ふべし)、今にして救を勿呼びそ、爾曹はわれに救はれざれば。 |
六七 わが表徵は爾曹に讀まれき、さるに爾曹は踵を囘したり、 |
六八 爾曹(聖廟を有するを)傲然自誇りて、夜虛妄の語を逞くして。 |
六九 渠等は(渠等に)語られし所に注意せざるか、前人に下らざりし默示の渠等に下りしに留心せざるか。 |
七〇 其使徒を知らざるか、故にそを拒むか。 |
七一 渠は狂人なりといひ得るか。否、渠は眞理を以て渠等に來れり、さるに渠等多くは眞理を拒めり。 |
七二 若し眞理にして渠等の嗜慾に同ぜば洵に天も地も其閧フものも腐敗すべし。われ渠等に其ヘ戒を下せり、渠等はそを排せり。 |
七三 爾は(其說ヘの爲に)何等かの寄與を渠等に求むるか。爾の上帝の寄與は更によし渠は最寛大なる供給者なれば。 |
七四 爾は確に渠等を正道に招けり、 |
七五 來世を信ぜざる渠等は實に其道より去れり。 |
七六 われ渠等を憐れむも、其上に下れる不幸を除去せば渠等は必u惑ひて其迷妄を頑守せん。 |
七七 われ嘗て責罰を以て渠等を責めしも、渠等は上帝の前に身を屈せずそれに懇禱せず、 |
七八 われ渠等に向ひて峻罰の出づる戸を開きて、見よ、渠等の失望の威嚇に逐はるゝまで。 |
七九 爾曹に聽視(の感)を授け(て爾曹をしてわが審判を見聞せしめ)心情を與へ(て眞摯にそを考察せしむ)るは~なり、而も爾曹の感謝する者如何に尠きよ。 |
八〇 爾曹を地上に生ぜしは~なり、~の前に爾曹は集まるべきなり。 |
八一 生を授け死を與ふるは~なり、晝夜を別つは~なり、さるに爾曹悟らざるや。 |
八二 然るに渠等(不信の默伽の民)は其祖宗のいひしが如くいふ、 |
八三 吾曹死して死灰枯骨となりし後復活さるべきや。 |
八四 吾曹之を以て威嚇されたり、吾曹の祖宗も亦嘗て然り、これ古人の寓言に外ならずと。 |
八五 いへ誰に地と地上のものとは屬するか、爾曹知れりやと。 |
八六 渠等~にと答ふべし。いへ、さらば爾曹思はずやと。 |
八七 いへ、誰か七天の上帝にして莊嚴寶座の主ぞと。 |
八八 渠等~と答ふべし。いへ、さらば爾曹(渠を)畏れずやと。 |
八九 いへ、萬物の王國はその欲する所を保護するも自他の保護を受けざる何人の手に在りや、爾曹知れりやと。 |
九〇 渠等~の手にと答ふべし。いへ、さらば如何に爾曹迷へるぞと。 |
九一 さなり、われ眞理を渠等に齎らせり、渠等は虛妄者なり、(そを拒めり)。 |
九二 ~は子女を生まず、~に配すべき他の~祇なし、さらずば各の~祇はその創作りし所を以て去るべく、その或者は他に凌駕すべし。~を渠等がそれに配せる者の上に崇めよ。 |
九三 ~は隱れしをも顯はれしをも知る、渠等が渠に歸せる者の上にそを尊べ。 |
九四 いへ、噫、上帝、爾若しわれをして渠等の威嚇する報復を見せしめば、 |
九五 噫、上帝、われをして不敬の民に勿雜へしめそ。 |
九六 われ爾をしてわが渠等を威嚇せる所を見せしめ得んに。 |
九七 より善きものを以て惡しきものを拂へ、渠等の爾に對する讒謗はわれ能く知れり。 |
九八 いへ、噫、上帝、われ惡魔の誘惑に對して爾に奔投す、噫、上帝、われ渠等のわれに顯はれざらんを爾に請ふと。 |
九九 |
一〇〇 (不信者は)死に至るまで(反口を止めずして)いへり、噫、上帝、われを生に歸せ、 |
一〇一 われ等閑にせし眞の信仰に歸して正しきを行ひ得んと。決して然らず。洵にこは爾曹のいふべき語なり、されど復活の日に至るまでその蔭には障碍あり。 |
一〇二 されば角鳴るとき、その日渠等の閧ノ何等の緣故なく、また渠等互に何等の救援なし。 |
一〇三 (善行を以て)その秤衡の重き者は幸なるべし、 |
一〇四 その秤衡の輕き者は其心を滅ぼし永久に地獄に在る者なり。 |
一〇五 火はその面を焦し、渠等は(病苦の爲に)口を歪むべし。 |
一〇六 (渠等にいはるべし)、わが表徵は爾曹に誦せられざりしか、爾曹は虛妄を以てそを誹らざりしかと。 |
一〇七 渠等答ふべし、噫、上帝よ、吾曹の不幸は吾曹に及べり、吾曹は迷誤の民なり、 |
一〇八 噫、上帝、吾曹を此(火)より救へ、若し吾曹(吾曹の前の惡行に)歸らば吾曹實に不正たらむと。 |
一〇九 (~渠等にいふべし)爾曹恥辱を以て去るべし、われに(爾曹を救はんことを)勿いひそと。 |
一一〇 洵にわが奴僕の中に斯くいふ者あり、噫、上帝よ、吾曹は信ず、故に吾曹を赦せ、吾曹に仁慈なれ、爾は最能く慈惠を垂るゝ者なればと。 |
一一一 されど爾曹はそを蔑視してわがヘ戒を忘れそを嘲笑したりき。 |
一一二 われ今日(爾曹が渠等に對する迫害を)能く耐へ忍びて渠等に報う、洵に渠等は大なる幸を享くべし。 |
一一三 ~はいふべし、幾年か爾曹地上にありたると。 |
一一四 渠等答ふべし、吾曹は一日若しくは一日の一部其處に在りき、されど算官に問へと。 |
一一五 ~いふべし、爾曹唯暫時なりしよ、爾曹そを知らば。 |
一一六 爾曹はわれ娯樂の爲に爾曹を創作りしとや思ふ、またわが前に徵されずとや思ふと。 |
一一七 されば~を崇めよ、王たり眞理たらしめよ。~の外に~なし、榮譽ある寶座の上帝。 |
一一八 ~が毫も證據を與へざる他の~を(眞の)~と與に崇拜する者は何人たりともその爲にその上帝の前にC算に徵さるべし。洵に異端は昌えざるべし。 |
一一九 いへ、噫、上帝、赦せよ、慈悲を垂れよ、爾は最よく慈悲を垂るゝ者なればと。 |
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眞信者品[ウル・ムミヌン](1-119節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説) |
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此品は第七品と頗相類せるにて、畧同時のものたるを知るべし。 乃、麻訶末が既に孤列種ヘ化の望なきを知りて、唯最後の破滅を以て之を責むるを見る。末に眞の信者の果報を詳說したれば此品名あり。 |
時代 |
或說には此卷を以て默伽默示の壓卷と爲せども必ずしも然らず。部分的には他の時代のものあるも、大體には恐らくヘジラ前六七年のものならんといふ。 |
內容 |
眞の信者と其報償(一-一一)。 |
人の創造と生死復活(一二-一六)。 |
七天と人類祝の造物主(一七-二三)。 |
狂人と罵られしノアの方舟(二四-三二)。 |
ノア以後不信の爲に滅びし民(三三-四六)。 |
虛妄者と目されしモーセとアアロン(四七-五一)。 |
~の表徵たる耶蘇とマリア(五二)。 |
宗ヘの分派(五三-五六)。 |
眞の信者の必然の報償(五七-六二)。 |
可蘭を信ぜざる孤列種と不信者の求解の無効(六三-六八)。 |
豫言者を狂人と目せる孤列種は默伽の不幸(六九-七六)。 |
上帝の責罰の排斥(七七-七八)。 |
復活を否定せる孤列種の審斷(七九-九一)。 |
天使は~の出にあらず(九二-九三)。 |
豫言者は惡魔に對して~に據る(九四-九九)。 |
死後の改悔は無効(一〇〇-一〇一)。 |
不信者の畏るべき運命(一〇二-一〇九)。 |
信者の逼害に對する不信者の處罰(一一〇-一一二)。 |
地獄の歲月の悠久(一一三-一一六)。 |
信仰の勝利(一一七-一一九)。 |
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眞信者品[ウル・ムミヌン](1-119節)の註釋(文字の解釈) |
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ニ一 シナイ山の油を生ずる樹とは檻欖なり。 |
ニ四 ノアのことは第七品の六〇-六五、第十一品の二六-四九と其註とを參照すべし。 |
三三 他の代はアド若しくはタームド族にて、その使徒とはフド若しくはサリー-なり。 |
四四 次の代はソドム、ミヂアンその他を指す。 |
一一四 地獄の苦痛の久しきに比して生前の短きをいふなり。 |
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Office Murakami |