「コーラン經」 他哈品 第二十 [タ・ハ] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文・解題・註釋の漢字・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
他哈品[タ・ハ](1-135節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 タハ。われ可蘭を爾に下せしは爾を不幸ならしむる爲ならず、
二 (神を)畏るゝ者のヘ戒たらしめんとて、
三 天地の創造より下せるなり。
四 慈悲~は寶座に在り、
五 天にあるものと地にあるものとはその間に在るもの地下に在るものとみな~に屬す。
六 爾曹高聲にるとも(そは~に要なきを知れ)、~密のものをも隱くされたるものをも知る。
七 ~よ、~の外に~なし、~は最優れたる名を有す。
八 爾モセの往史を知るや。
九 渠火を見しときその家族にいへり、爾曹(此處に)留まれ、われ火を見れば、
 恐らく爾曹に燃木を齎し得ん火によりて方向を發見し得んと。
一一 渠それに近よりし時(聲ありて)渠を呼べり、(曰く)モセ、
一二 洵にわれは爾の上帝なり、故に爾の履を脫げ、爾はツワの聖き谷に在れば。
一三 われ爾を擇べり、故に(爾に)默示する所を注意して聽け。
一四 洵にわれは~なり、わが外に~なし、さればわれを拜せよ、われを思ひて祈れ。
一五 洵に時は來れり、われ必ずそを明にすべし。
一六 各の心はその所業の應報を受くべきを。
一七 信ぜずして私心に任かすをして爾(の信仰)を勿妨げしめそ、爾は滅ぶべきに。
一八 何ぞや爾の右手にあるものは、噫モセよと。
一九 渠答へき、わが倚れるこは杖なり、われ之にて家畜の爲に木葉を拂ひその他の用は爲すと。
 (~渠に)いへり、そを捨てよ、噫、モセと。
二一 渠そを捨てぬ、見よそは蛇に(化し)て爬ひまはれり。
二二 (~)いへり、そを執れよ、勿恐れそ、われそを原の形になすべし。
二三 爾の右手を左の腕の下に置け、そは害なれずして白からん。
二四 こは他の表徵なり、われわが最大なる表徵(の或もの)を示し得ん。
二五 ファラオに行け、渠は異常に不敬なればと。
二六 モセ答へき、主よ、わが胸を開け。
二七 爾が命する所を易からしめよ、
二八 わが舌を滑にせよ、
二九 渠等わが言を解し得るために。
 わが顧問をわれに與へよ、
三一 わが弟たるアアロンを。
三二 わが腰を渠に推さしめよ、
三三 渠をしてわが事に共力せしめよ、
三四 大に爾を頌め屢爾を思ひ得る爲に。
三五 爾は吾曹を重んずればと。
三六 (~は)答へき、今爾は請ふ所を得たり、噫、モセ、
三七 われ他日爾に仁慈なりき、
三八 われ爾の母に(かくいひて)默示せし所を默示せし時に、
三九 渠を方舟に置け、渠を河中に投ぜよ、河水は渠を岸に運ばん、わが敵と渠の敵とは渠を取らんと。われ爾に愛を與へたれば、
 わが眼下に保育され得るために。
四一 爾の妹ゆきて、われ爾を(兒を)保育するに致すべきかといひしとき、われ爾を母に歸せり、その心を安からしめ悲しまざらしめんために。爾人を殺せり、而してわれ爾を煩累より救へり、われ(屢)爾を試みたり、
四二 (その後)爾は數年マヂアンの民の中に住めり。而して爾はわが命に應じて(此處に)來れり、噫、モセよ、
四三 われわが爲に爾を擇べり。
四四 (されば)爾の弟と與にわが表徵を齎して行け、われを思ふことを勿怠りそ。
四五 爾ファラオに行け、渠は異常に不敬なれば。
四六 穩に渠に語れ、恐らく渠は省察すべし、さなくも(わが威を)畏れなむと。
四七 渠等二人答へき、噫、上帝よ、洵に吾曹は渠の性急に暴戾ならんを恐る、さては吾曹を侵凌せんことを畏ると。
四八 (~)答へき、勿畏れそ、われ爾曹と與に在れば、われは聞き且見るべし。
四九 故に爾曹渠にゆきていへ、洵に吾曹は爾の上帝の使なり、よりて吾曹とともにイスラエルの子孫を送れ、渠等を勿虐げそ。今吾曹は爾の上帝より表徵を齎して來れり、(眞の)ヘに從ふに平和あれ。
 虛妄を以て吾曹を誹り乖くには責罰あるべしとは洵に吾曹への默示なりきと。
五一 (渠等その使命を齎すやファラオ)いへり、誰そ爾曹の上帝とは、噫、モセと。
五二 渠答へき、吾曹の上帝は萬物を授くる、そを創作りし、そを導くなりと。
五三 (ファラオ)いへり、さらば前代は何の狀ぞと。
五四 (モセ)答へき、その知識はわが上帝に在り、その聖典にあり、上帝は誤らずまた忘れず。
五五 爾の爲に大地を牀の如く展べ爾をして其處を行かしむるは渠なり、天より雨水を降して吾曹に各種の草木を生ぜしむるは渠なり、
五六 その一部を食へ一部を以て爾曹の家畜を養へといひて。洵に此處に理解あるへの表徵あり。
五七 土よりわれ爾を創作れり、土にわれ爾を還へすべし、而してわれ他日爾を其處より起すべしと。
五八 われ(モセに行ふ力を與へし)あらゆるわが表徵を(ファラオに)示せり、されど渠虛妄を以て渠を責めて(信ずるを)拒めり。
五九 渠いへり、爾曹は幻術を以てわが國土を奪はんとて來りしか、噫、モセ。
 洵にわれ爾と相似たる幻術を比べん、故にわれと爾との間に日を定めよ、われ背かじ、爾も亦勿破りそと。
六一 (モセ)答へき、爾の嚴肅なる祭日と定めて衆をして白に集まらしめよと。
六二 ファラオ退きてその術策(を行ふべく最を老熟せる魔術)を集へき、(約によりて)渠來れり。
六三 モセ渠等にいへり、爾曹不幸なる哉、~に對して虛僞を勿用ひそ、
六四 ~は審判によりて爾曹を全滅すべきに、~は虛僞のを昌へしめざるにと。
六五 渠等(魔術)は相議して私に相語れり、
六六 此二人は必ず魔術なり、幻術を以て爾の國土を奪ひ爾の帥と最も有力なる衆とを伴ひ去らんとす、
六七 さればあらゆる謀議を凝らし列を正して進め、勝つ則昌へんと。
六八 渠等いへり、噫、モセ、爾まづ(杖を)投ぜんか、さらずば吾曹まづ投ぜんかと。
六九 渠答へき、爾曹(まづ)投ぜよと。而して見よ、その繩と杖とは幻術によりて(蛇の如く)走りまはると渠に見えき、
 爲にモセは心に畏怖を懷きぬ。
七一 されどわれ(渠に)いへり、勿畏れそ、爾勝つべければ。
七二 爾の右手にある杖を投げよ、そは渠等の作りし所を呑まん、渠等の作りし所はた幻術に過ぎず、魔術は何處より來るも昌へずと。
七三 魔術は(モセの行ひし奇蹟を見るや)身を伏して拜し、吾曹アアロンとモセとの上帝を信ずといへり。
七四 (ファラオ渠等に向ひて)いへり、爾曹わが免許を待たずして渠を信ずるや。爾曹に魔術をヘへしは洵に爾曹の主なり。われ必ず爾曹の手と足とを斬り、爾曹を椰子樹に礫せむ。吾曹の孰か責罰をよくし爾曹の痛苦を加へ得んかを爾曹將に知らんと。
七五 渠等答へき、吾曹は決して吾曹に下りし此顯なる奇蹟と吾曹を創作りし者とよりも爾を重んぜざるべし。されば爾が宣せんとする(吾曹に對する)宣告を宣せよ、爾はたこの現世に於て宣告し得るなれば。洵に吾曹は吾曹の罪と爾が吾曹を强ひて行はしめし幻術とを赦されん爲に吾曹の上帝を信ず、~は(爾よりも)報償に善く責罰に久しければと。
七六 洵に(最後の日に)その上帝の前に罪惡を負ひて出づるは(その報償として)地獄を得べく、渠は其處に死するを得ずまた生くるを得ず。
七七 されど眞の信にて善行を修して~の前に來るの爲には最高の幸あらん、
七八 永久の居處として河水の流る樂園あらん、渠等は長しへに其處に在るべし、是潔白なるの果報たるべし。
七九 われ默示によりて(斯く)モセにいへり、爾の奴僕を率ゐて夜中(埃及を出で)去れ、(爾の杖を以て水を)打てよ、中に乾きたる道を作れ、
 (ファラオの)追及を心に勿掛けそ、爾曹が畏れそと。
八一 (その時)ファラオは衆を將て渠等を追ひしには渠等を掩へり。ファラオはその民を迷はせ渠等を正しく導かざりき。
八二 噫、イスラエルの子孫、斯くしてわれ爾曹を敵より救へり、爾を(シナイの)山の右側に置き、滿那ととを下したり、
八三 わが食物として爾曹に與ふるよき物を食へ、わが譴怒の下らざるために勿犯しそ、わが譴怒の下りしは急に破滅に陷らん。
八四 されどひ改めて信じ正しきを行ふ正しく導かるゝ者にはわれ仁なるべし。
八五 爾何ぞ(ヘ法を受けんと)爾の民より急ぐや、噫、モセといへり。
八六 渠答へき、此等わが踵に退けり、されど噫上帝、わが爾に急ぐは爾のスばんを思ひてなりと。
八七 (~)いへり、われ(爾の去りてより)旣に爾の民を試みたり、アルサミリは渠等を偶像ヘに誘惑せりと。
八八 よりてモセは怒り且悲しみてその民に歸れり。
八九 渠いへり、噫、わが民、爾曹の上帝は爾曹に最も優れたる約を結ばざりしか。(わが不在の)時期は爾曹に長く覺えしか。さては爾曹上帝の譴怒の爾曹に下るを欲してわれと結びし約をや背けると。
 渠等答へき、吾曹は吾曹の事に就きて爾に約せるところに背かず、た吾曹は民の裝飾たる(金銀の)載貨を運びてそを火中に投ぜしに、アルサミリも亦その集めしところを投じ、吼ゆる實體の犢を民の爲に供せり。アルサミリとその徒とはいへり、これ爾曹の~にしてモセの~なり、唯渠これを忘れたりと。
九一 故に渠等はその偶像の渠等に答へず渠等に利害を生ぜざるを見ざるか。
九二 アアロンは前に渠等にいへり、噫、わが民、洵に爾曹はこの犢を以て證せらる、爾曹の上帝は慈悲なれば、故にわれに從ひわが命に從へと。
九三 渠等答へき、吾曹はモセの歸るまで決して熱誠に禮拜せざらんと。
九四 (モセ歸りて)いへり、噫、アアロン、爾は渠等の迷ふを見て何とてわれに從はざる。さらば爾はわが命に從はざるにやと。
九五 アアロン答へき、噫、わが母の子よ、わが鬚を勿引きそ、わが髮を勿握みそ。洵にわれは恐る、爾イスラエルの子孫を裂きわが言を用ひずと爾のいはんことをと。
九六 モセ、アルサミリにいへり、爾何をか計れる、噫、サミリと。渠答へき、われ渠等の見ざるところを見き、故にわれ(~の)使の足跡より一握の砂をとりて熔けたる犢に投ぜり、わが心然命じたればと。
九七 (モセ)いへり、爾行け、現世に於ける爾の罰はわれをヘへずと爾がいひし所なり、(來世に於ける)爾の威は決して免る能はずと。見よ爾が崇敬せし爾の~を、洵にわれそれを燒くべし、それを粉末にして中に散すべし。
九八 爾曹の~は(眞の)~なり、その外に他の~なし、~はその智を以て萬物を知ると。
九九 (噫、麻訶末)斯くわれ爾に過去の事蹟を說き爾にわがヘ戒を與へたり。
〇〇 そを背きしは復活の日に罪を負ふべし、
一 渠等は永久に其下に在るべし、復活の日に悲しむべき重負擔たらむ。
二 その日角鳴りてわれ灰色の眼をもてる惡人を會すべし。
三 渠等は低聲に相語らん、(かくいひて)爾唯十日を猶豫せんと。
四 爾は唯一日猶豫せんといはざるを得ざるとき、われ能くその欲する所を知る。
五 渠等は山嶽に就きて爾に問はんに答へよ、わが上帝は山嶽を塵芥となして四方に散ずべし、
六 ~はそを坦なる平野となすべし、爾曹はまたその高低を見ざるべしと。
七 その日人は(そを審判に)徵すべき天使に從はざるを得ず、そを遁れ去るの力なけむ、慈悲~の前にその聲は低かるべし、弱しき音の外聞くところなからん。
八 その日何等の勸解もuなからん、慈悲~の允許せるもの、そのいふ所の~に享けらるゝ者の外は。
九 ~は渠等の前に在り後に在るところを知るも、渠等の知識にてはそを知らず。
一一 渠等の面は自存の生現~の前に伏すべし、不正のは永久に失はるべし。
一一一 されど善行を修せるは眞の信にて(~の報償に就きて)何等の不公平何等の減少とも畏れざるべし。
一一二 斯くしてわれ亞利比亞語の可蘭を下せり、その中にわれ各種の威と誓約とを說き、人をして~を畏れしめ省察の念を發さしむ、
一一三 されば~をして崇高ならしめよ、王ならしめよ、眞理ならしめよ。默示の爾に對して完からぬ前に可蘭(を受けまたは讀誦する)を勿急ぎそ、たいへ、噫、上帝、わが知識を加へよと。
一一四 われ嘗てアダムに命を下せり、然るに渠そを忘れ(て禁制の果實を食ひ)たり、われ確信を渠に見ざりき。
一一五 われ天使にアダムを禮拜せるといへり、渠等は禮拜せり、唯イブリスは拒めり。われいへり、噫、アダム、洵に之は爾と爾の妻との敵なり、渠をして爾曹を樂園より逐はしめそ、そは爾曹の不幸たれば。
一一六 洵に爾曹は饑えざるべく、裸たらず、
一一七 爾曹渴を知らず熱を知らじと。
一一八 然るに惡魔は渠に私語きいへも、噫、アダム、われ爾を永久の樹常住の國に伴ふべきかと。
一一九 渠等二人はそを食へり、其裸形は渠等に見はれたり、渠等は身を掩はん爲に樂園の樹葉を綴り始めき。斯くしてアダムは其上帝に背きて誘惑されたり。
一二 其後上帝は(其悟を見て)渠を受け、渠に向ひ渠を導きぬ。
一二一 (~は)いへり、其處を下れ爾曹總べて。爾曹の一は他の敵たるべし。
一二二 されど後にわが示ヘ爾曹に下るべし、わが示ヘに從ふは誤らずして幸なるべし、
一二三 されどわがヘ戒に背くは洵に不幸の生涯なるべし、
一二四 そをわれ復活の日に盲ひて(わが前に)徵すべしと。
一二五 渠いふべし、噫、上帝よ、われ前に明に見るに何とて盲ひて(爾の前に)われを徵すやと。
一二六 ~はいふべし、わが表徵爾に至れるに爾そを忘れたり、爾また同じく此日を忘るべしと。
一二七 われ斯く等閑にしてその上帝の表徵を信ぜざるに酬ふべし、來世の責罰は(現世のそれよりも更に)峻しく更に久しからん。
一二八 されば(メッカの衆は)われ如何に多くの世を渠等の前に滅却せしかを知らざるにや、渠等は實にその住居の地を行したりき。洵に此處に理解あるに對する表徵あり。
一二九 (その猶豫につき)爾曹の上帝の宣明先至らざりせば、洵に(その滅却は)必然に從はむ、されど其處に(その責罰につきて~の)定めたる時期あり。
一三 故に(噫、麻訶末)、爾は渠等のいふ所を忍べ、太陽の昇る前その沈む前爾の上帝を頌め稱へよ、夜の時にの極に頌めよ、爾~をスばせ得るために。
一三一 わが不信に享樂を許るせし現世の豪華はそれによりて渠等を試すなれば、それに眼勿かけそ、爾の上帝の給與は更によく更に久なれば。
一三二 爾の家人に禱を命ぜよ、爾そを固持せよ。われ爾に資糧を(得んと力めんこと)を要求せず、われそを爾の爲に給すべし、敬虔の爲に果報を授くべし。
一三三 渠等(不信)はいふべし、渠その上帝より表徵を以て來るにあらざれば(吾曹渠を信ぜざるべし)。從前の聖典には平明なる宣明渠等に來らざりしかと。
一三四 されど(その默示さる)前にわれ審判によりて渠等を破滅せんか、(復活の日に)渠等はいふべし、噫、上帝よ、爾は吾曹に使徒を送りて吾曹が屈伏し恥辱を以て掩はる前に吾曹をして爾の表に從はしめざれば(如何にして吾曹信ずべき)と。
一三五 いへ、各人は(その果報を)待つ、故に待て、後來爾曹は必ず誰か平坦の道を進み誰か正しく導かれしかを知らんと。
他哈品[タ・ハ](1-135節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
開端にタ(T)ハ(H)の二字あるより名づく。但此二字に何の意義ありや、はた何語の省略字なりやは不明なり。或はタは踏むの義にて麻訶末が隻脚を擧げて立てる時この默示ありて擧げし脚を下し自を安んずして聽く可しとの意なりとし、或はタはチュバの略にて幸、ハはハヰヤトにて奈落地獄、則の義とし、さてはタに叱聲にて他を默せしむる間投詞なりとの說あり。
時代
默示の時代はヘジラ前六七年前ならんといふ。
內容
可蘭は信に對する~のヘ戒(一-三)。
~は唯一主宰にして全智(四-七)。
セの事蹟--ツワの聖谷に於ける~命(五-五)。
同--埃及に於けるモセ(五一-七八)。
同--出埃及とアルサミリ(七九-九八)。
默示を拒むの罪(九九-一一)。
復活の日の惡と善人(一二-一一一)。
可蘭を麻訶末に解し易からしむる所以(一一二-一一三)。
アダムのこと(一一四-一二四)。
復活の日に盲なる不信(一二五-一二七)。
默伽の民への警戒(一二八-一二九)。
麻訶末に對する奬勵(一三-一三二)
表徵を要する猶太人と不信の孤列種(一三三-一三四)。
~麻訶末をして果報を待たしむ(一三五)。
他哈品[タ・ハ](1-135節)の註釋(文字の解釈)
 モセ舅シュアイブを辭してその母を訪はんとミヂアンより埃及に向ひ、シナイ山下のツワTuwaの谷に抵るや、雪夜その妻一子をみ、一行路に迷ひ畜類四散せしが、山側に火光を認めて之に近づけば国pの裡に火の燃ゆるを見たりとの一段。
 飾はイスラエル族の埃及より奪ひ來れる首飾胸飾の類なり。サミリSamiri之を不可としアアロンに說きて集めて火中に投ぜしに、その渣滓期せずして自~像を爲せりとぞ。サミリを以てサマリア族となす說とサミュエルと爲す說とあり、またアアロンと爲すあり。或は此一段を解して猶太サマリア兩族の反目をいふと爲す。
二 灰色の眼は亞剌比亞人が希臘族を敵せるより此色を借れるなり。此恐らく正しく導かれれし(の數)なるべし。
Office Murakami