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「コーラン經」 以色列品 第十七 【アル・バニ・イスラエル】 默伽 |
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「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です |
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました |
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。 |
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します |
本文・解題・註釋の漢字・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました |
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以色列品【アル・バニ・イスラエル】(1-111節)の本文 |
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大慈悲~の名に於て |
一 其奴僕を夜(メッカの)聖廟より(ヱルサレムの)遠き~廟へ行かしめし~を頌め稱へよ。わが表徵(の或もの)を示すためにわが祝せり~廟へ。~は聞き且見ればなり。 |
二 われモーセに法典を授け、そをイスラエルの子孫の科條たらしめていへり、爾曹わが外に何等他の保護者を勿仰ぎそと。 |
三 噫、ノアと與に(方舟にて)去りし者の後裔よ、洵に渠は恩を知れる奴僕なりき。 |
四 われ明白に法典の中にイスラエルの子孫に宣せり、爾曹必地上に於て再び惡を行ふべし、爾曹大なる傲慢を以て自尊せん。 |
五 而して侵犯の前者に對して(責罰の)威嚇至るとき、われ(戰に)勇猛なるわが奴僕を爾曹に向はしめ爾曹の家中の內室を搜らしめき。豫言は完せられたり。 |
六 其後われ爾曹をして渠等に克たしめ、爾曹の富を加へ子孫を殖やし、爾曹を更に衆き民たらしめき、 |
七 (斯くいひて)爾曹若し善を爲さば自己の心に爲せ、爾曹若し惡を爲さばまた然せよと。侵犯の後者に對して(責罰の)威嚇至るとき、われ爾曹に敵を送りて始めて入りしが如く~廟に入らせ、其征服せる所を悉く破却せしめき。 |
八 恐らく爾曹の上帝は(今後)爾曹に慈惠を下さむ、されど爾曹若し(三び侵し)背かばわれ復(爾曹を攻むる爲に)歸らん。われ地獄を不信者の囚獄と定めたり。 |
九 洵に此可蘭は最正しき道を示す、 |
一〇 善行を修する信者には其大なる報償を受くべきを宣し、 |
一一 來世を信ぜざる者には痛ましき責罰あるをヘふ。 |
一二 人は善事の爲に祈るが如く惡事の爲にも祈る、人は常に性急なれば。 |
一三 われ夜陰と白晝とを(わが力の)二箇の表徵となせり、其後われ夜陰の表徵を消し白晝の表徴を輝かし爾曹をして(その業を務めて)上帝より惠を得るに力めしめ、爾曹として年を數へ時を算せしむ、われ(必要なる)ゥ事物を明に說明せり。 |
一四 各人の運命はその頸邊に纒綿れり。われ復活の日に(その行業の記されたる)一書を渠に授くべし、そを渠に公にすべし、 |
一五 (天使いふべし)、爾の書を讀め、爾の心は今日自C算すべしと。 |
一六 (正しく)導かるゝ者は唯其心を(利uに)導かるべし、迷ふ者も亦唯其心を迷はすべし、負擔は心にありて他に非ず。われ(まづ警しめん爲に)使徒を送らざれば(何の民をも)罰せず。 |
一七 われ一城市を破滅せんと決するや、潤澤の生を送れる其民に(わが使徒に從はんことを)令す、さるに渠等は醜惡を行ふ、よりて(その城市に對して)宣告は公然宣明さる。われ全破却を以てそれを破却す。 |
一八 ノア以來われ如何に多くの世を滅却せしか、上帝は其奴僕の罪惡を善く聞き且見ればなり。 |
一九 (この)塵世をスぶ者にはわれ先其處にわが欲する所を與ふべしわが欲する者に。のもわれ渠に(其捿所として)地獄を與ふべし、其處に渠は墮ちて焦さるべし、耻辱を以て掩はれて、全く(慈惠を)拒まれて。 |
二〇 されど來世を擇び其ため力行して其の信者たる者は何人にても其努力は(~に)享けらるべし。 |
二一 彼此ともに總てにわれ爾曹の上帝の賚賜(たる現世の祝)を授くべし、上帝の賜與は何人にも拒まれざれば。 |
二二 見よ、如何にわれ渠等の或ものをして(富資榮譽兩ながら)他に超えしめしを、されど來世は更に(榮譽の)度を加へu優れん。 |
二三 爾曹耻辱を受けんを恐れば、(眞の)~の外に他の~を勿崇めそ。 |
二四 爾曹の上帝は爾曹に~の外に何者をも禮拜せざるを命ぜり。その一或は兩者爾と與に老年に達せば(爾曹は)兩親に孝ならんことを命ぜり。鳴呼と勿いひそ、勿謗りそ、 |
二五 渠等に恭しく語り謙遜に懇切なれ、いへ、上帝よ兩親に慈惠を垂れよ、渠等は幼少の(時)われを哺育したればと。 |
二六 爾曹正しき者なりとも爾曹の心中にある所は~能く知れり。 |
二七 ~は眞摯に(~に)歸依するものに仁慈なるべし。 |
二八 親族貧入行旅の者に其義理を盡せ。而も(爾曹の物資を)浪費する勿れ、 |
二九 浪費は惡魔の同胞なり、惡魔は上帝に背く者なれば。 |
三〇 爾曹若し上帝より望み得る慈恩の爲に渠等に背くとも尙(少くとも)渠等と語るに懇切なれ。 |
三一 爾曹の手を頸上に勿閉ぢそ、さりとてはまた罰を恐れて無法に掌を開きて貧困に勿陷りそ。 |
三二 洵に爾曹の上帝はその欲する者の蓄積を揩キべく(その欲する者に)節約すべし、~は其奴僕を知り且重んずれば。 |
三三 貧窮を恐れて爾曹の子女を勿殺しそ。われ渠等の爲にまた爾曹の爲に給與すべし。洵にそを殺すは一大罪なり。 |
三四 近親の姦淫を勿犯しそ、そは憎惡なり惡道なり。 |
三五 正しき理由なくして~の(殺すを)禁ぜる者を勿殺しそ。何人にても不正に殺されし者にはわれ其繼嗣に(滿足を要する)力を與ふ、されど渠をして(殺人者を)死に處するに度を超えしめず、渠は(この法によりて)助けらるればなり。 |
三六 孤兒の物資はそを利するに非ざれば其成年に達するまで之に干與する勿れ。(爾曹の)約を遂げよ、約束(の實行)は要求せらるべし。 |
三七 爾曹何物を量るにも充分に量れ、正しき衡秤を用ひよ。是各人の義理を正すためにより善く且より容易からむ。 |
三八 爾曹知らざる所に勿從ひそ、聽と視と心とは(最後の日に)驗せらるれば。 |
三九 爾曹傲然を歩む勿れ、爾曹は大地を劈く能はず、また山岳と高さを競ふ能はざれば。 |
四〇 こは總べて爾曹の上帝の見て厭ふ所なり惡事なり。 |
四一 此等(のヘ訓)は爾曹の上帝が爾曹に默示せし知識(の一部)なり。他の~を~と同じく勿尊びそ、爾曹地獄に墮ち恥しめられ拒まる、を恐れなば。 |
四二 爾曹の上帝は爾曹に男子を許して自天使を女子とすべきか。洵に斯る事を信ずる爾曹の言は悲しむべし。 |
四三 われ此可蘭にゥ種の論議と屢次の重復とを用ひしは爾曹の肝銘せんが爲なり、然るに唯渠等をしてu(眞理より)避遁せしめき。 |
四四 いへ(偶像信者に)、爾曹の言の如く其處に他の~祇あらば渠等は必ずや寶座の主に逆ひて(ある企圖を行ふの)機會を求めたりけむ。 |
四五 ~はそを禁ず、~をして遙に渠等のいふ所の上に在らしめよ。 |
四六 七天は~を頌む、地と地上のあらゆるものも亦然り、~を頌めざるもの一もある莫し、然るに爾曹はそを悟らず。~は大度にして仁慈なり。 |
四七 爾曹可蘭を誦する時、われ爾曹と來世を信ぜざる者との閧ノK幕を張る、 |
四八 渠等をしてそを解し得ず渠等の耳をして聽き得ざらしむる爲に其心を蔽ふ。 |
四九 爾曹可蘭に於て唯上帝を擧ぐるとき渠等は(唯一~ヘより)遁れて背を向くべし。 |
五〇 渠等爾曹に聽くとき何の企圖を以て聽くか、われ能く之を知る、渠等私に相語るとき不敬にもいへり、爾曹の從ふ所は犯人に外ならずと。 |
五一 見よ、如何なる形容を渠等の爾曹に與ふるかを。されど渠等は欺かる。渠等は(何等)爾曹を謗るべき(正しき)機會を得る能はず。 |
五二 渠等またいふ、吾曹死灰枯骨となりしのち必ず新生に擧げらるべきかと。答へよ、爾曹石ともあれ鐡ともあれ、爾曹の說にて(復活に)更に難き何等のものともあれと。然るに渠等いふべし、誰か吾曹を復活すべきと、答へよ、始めて爾曹を創造りしものと。渠等頭を搖りて、そは何時といはんに、答へよ、恐らく近かるべしと。 |
五三 |
五四 其日~は爾曹を(其冢穴より)徵すべし、爾曹は~を頌へて應ずべし、而して爾曹は暫時遲延せりとのみ思ふべし。 |
五五 わが奴僕に、渠等(不信者)に對して穩に語らんことを命ず。惡魔は渠等の閧ノ爭因を蒔く、惡魔は人類の公敵なればなり。 |
五六 爾曹の上帝は能く爾曹を知る。若し渠欲せば爾曹に慈惠を垂るべく、若し渠欲せば爾曹を罰すべし、われ渠等を看理するために爾曹を送らず。 |
五七 爾曹の上帝は天と地とに於けるあらゆる者を能く知れり。われ豫言者の或ものを他の者よりも特遇せり、われダヰテに讚美の頌詞を與へたり。 |
五八 いへ、爾曹が~の外に~たるべしと想ふ者に禱れ、而も渠等は爾曹を禍害より救ふ能はず、またそを(他に)轉ずる能はず。 |
五九 爾曹の禱る者をして(自)渠等の上帝に近づかしめよ、其孰か最~に近き得るかを競はしめよ、渠等も亦~の仁慈を希ひ~の責罰を恐る、上帝の責罰は恐るべければなり。 |
六〇 われ復活の前に破却せんと欲し、さては峻罰を加へんと欲せざる一城市なし。こは(わが永劫宣旨の)聖典に錄せり。 |
六一 わが爾に奇蹟を許さゞるは前代のゥ民欺瞞を以てそを誹りしが故に外ならず。われタームド(族)に(其要請によりて其見得る)牝駱駝を與へたり、されど渠等はそを虐遇せり、われ威嚇の爲の外奇蹟を齎らして一豫言者を送らず。 |
六二 われ爾に向ひ、洵に上帝は(其智と力とを以て)人類を圍繞すといひき。われ爾に示せし幻想と可蘭に於て呪はれし樹とを唯人との爭の爲にそを畏怖せしめん爲に示せり。そは唯却りて渠等をしてu迷誤侵犯に奔らしむべし。 |
六三 われゥの天使にアダムを禮拜せよといひし時、渠等は總べて禮拜せしに、イブリス獨り、われ爾が粘土より創りし者を拜すべきやといへり。 |
六四 渠いへり、爾はわれより重しと爲す此者に就きて何をか思ふや。洵にわれに復活の日までの猶豫を與へなばわれ其子孫を殲して殆んど遺類なからしめんと。 |
六五 ~答へき、行け(われ爾に猶豫を與へん)、されど誰にもあれ爾に從ふ者は必ず地獄を以て酬はるべし、恰好の報酬よ、 |
六六 爾の聲を以て能ふ限渠等のさる者を虛榮に誘へ、爾の歩騎を持て四面より渠等を攻めよ、渠等と與に其富資其子孫を分て、渠等をして約を爲さしめよ、(されど惡魔は僞約の外結ぶ能はず) |
六七 わが奴僕には爾は何等の力なし、爾曹の上帝は信ずる者の充分なる保護者なればなりと。 |
六八 爾曹の船舶を海に浮べ爾曹をして商業の利を求め得せしむるは爾曹の上帝なり、上帝は爾曹に仁慈なれば。 |
六九 海上にて危難起るとき~の外爾曹の祈れる僞~は忘れらる、然るに~の爾曹を陸地に安着せしむるや爾曹は復(~を)離れ畔く、人は忘恩の徒なれば。 |
七〇 ~は陸地をして爾曹を呑ましめず(颷風砂を捲きて爾曹を掩はしめざるを爾曹確信せりや。其時爾曹を保護する者なからむ。 |
七一 ~は他日爾曹を海上に出し颶風を起して爾曹を溺れしめずと確信するや、其時われに逆ひて爾曹を(此危難)に救ふ者なけむ。 |
七二 われ(ゥ種の特殊の利權を以て)アダムの子孫を表彰せり、われ渠等に陸と海とに於ける利便を與へ善き物を食物として授けたり、われ渠等に特權を許してわが創造りし多數の者よりも之を重んぜり。 |
七三 其日至らばわれ總べての人を其宗師と與に(審判に)徵すべし、與へたる聖典を右手に持つ者は(ス樂を以て)其を讀誦すべし、毫髪も虐げられじ。 |
七四 現世に於て盲なりし者は來世にも亦盲なるべし、(濟度の)道より更に遠く彷徨ふべし。 |
七五 渠等はわが爾に默示せる所より殆んど爾を誘惑し、爾をして異りしことをわれに對して構へしめんとし、爾を以て其友と爲さんとしき、 |
七六 われ爾を確立せずば爾は必ずや渠等に甚だ近く傾きたりけむ。 |
七七 さらばわれ爾に生の苦死の罰を嘗めしめけむ、爾はわれに對して爾を保護する何者をも得ざりしならむ。 |
七八 不信者はまた殆んど爾を其地より逐ひ其地を離れしめんとせり、其時渠等は殆んど爾の後に躊躇せざりしならむ。 |
七九 此待遇は嘗て爾の前に送りしわがゥの使徒に關(してわが自規定)せる所、爾またわが(旣定の)方法に何等の變化をも發見し得ず。 |
八〇 太陽の傾くとき、初夜、曉天に(爾曹の)祈禱を正しく行へ、曉天の祈禱はゥ天使の監る所なり。 |
八一 分外の勤行として夜(の若干時)も亦之を行へ、恐らく爾曹の上帝は爾曹を榮譽の地位に昇さん。 |
八二 いへ、噫、上帝、吾曹をして好入門をして入らしめ好出門をして出でしめよ、吾曹に援助の力を與へよと。 |
八三 いへ、眞理は來れり虛僞は消えたり、虛僞は久しからざればと。 |
八四 われ可蘭にて其の信者の醫藥たる慈惠たるものを下せり、されどそは不信者には唯缺損を加ふべし。 |
八五 われ人に眷遇を與ふるに渠(そを感ぜずしてわれより)自離れ去る、されど不幸に遭へば渠(わが慈惠に)望を失ふ。 |
八六 いへ、各人は各その樣に從ひて行へ、されば爾曹の~は誰が最その道に忠實なるかを能く知れりと。 |
八七 渠等は心魂に就きて爾に問ふべし。答へよ、心魂はわが~の命によりて來る、されど爾曹はそれに就きて知る所少しと。 |
八八 若しわれ欲せば必ずわが爾に默示せる所を奪ふべし、斯る時爾はわれに逆ひて爾を保護する何人をも得ざるべし、 |
八九 爾の上帝の慈惠によらざれば、其爾に對する慈恵大なれば。 |
九〇 いへ、洵に人と妖と相會して此可蘭の如き經典を作らんとするも、互に相助くとも之に類せるものを作り得ざらむ。 |
九一 われ此可蘭に於て各種の譬諭の論議を種々に人に說けり、されど人多くは唯不信の爲に之を(受くるを)拒めり。 |
九二 渠等はいふ、爾吾曹の爲に地より泉を湧かすまで吾曹決して爾を信ぜざるべし、 |
九三 爾椰子葡萄の苑中に多く河水を出すまで、 |
九四 爾天をして靜に吾曹の上に墮ちしむるまで爾(爾の爲に)立證すべく~とゥ天使とを下すまで、 |
九五 爾黃金の屋を有する迄、爾梯子によりて天に昇るまで、否其時も爾の其處に昇るを信ぜざるべし、吾曹の讀み得る聖典を(爾の證として)吾曹に下すまでと。答へよ、わが~は頌むべし、われは使徒(として遣され)たる人に外ならずと。 |
九六 ヘ戒の人に來りしとき其信仰を妨ぐるは、~はその使徒として人を下せりといふが爲に外ならざるや。 |
九七 答へよ、若しゥ天使其處に見馴れし人の如く地上に歩行せば、われ必天使をわが使徒として渠等に下したりけむ。 |
九八 いへ、~はわれと爾曹との閧フ充分なる證人なり、~は其奴僕を知り且重んずればと。 |
九九 ~の導く者は(正しく)導かるべく、~の誤る者は~の外そを救ふ者なかるべし。われ復活の日に渠等の面に盲に啞に聾なる渠等を會すべし、渠等の居所は地獄にて、其消ゆる每にわれ渠等の爲に其炎熖を再び燃すべし。 |
一〇〇 是渠等の報償たるべし、渠等はわが表徵を信ぜずして、吾曹枯骨死灰となりしとき復新に創らるべきかといへばなり。 |
一〇一 天と地とを創造りし~は渠等(の現身)の如き他の身體を創作り得ると思はざるや。~は渠等に一定の期を定めたり、そは疑なし、さるを不敬の徒は唯不信の爲に(眞理を)拒む。 |
一〇二 いへ、爾曹はわが上帝の慈惠の寶財を有して尙(そを)費すを恐れて(そを用ふるに)吝なるべし、人は貪婪なればなり。 |
一〇三 われ嘗てモーセに九箇の明白なる表徵(を作る力)を授けき。爾曹イスラエルの子孫にモーセ(の事蹟)を問へ、渠渠等に來りファラオ渠に向ひて、噫、モーセ、われ爾の幻術に秀でしを貴ぶといひしを。 |
一〇四 モーセ答へき、爾知れかし、斯る明白なる表徵は天と地との主の外何人も下し能はざるを、噫、ファラオ、われ確に爾の亡はるゝ人たるを見ると。 |
一〇五 よりてファラオは渠等を其地より逐はんとしき、されどわれ渠と與に在りし總べての者を溺らせたり。 |
一〇六 (其滅びし)のちわれイスラエルの子孫にいへり、爾曹其地に居れ、來世の約(滿つるに)到らばわれ爾曹を混淆して(ともに審判)に徵さん。われ眞理を以て可蘭を下せり、そは眞理を齎らして下れり、われ爾を下せしは吉報の持者威嚇の宣者たらしむるに外ならず。 |
一〇七 われ可蘭を部分に分ちしは人をして容易く讀誦せしめんが爲なり、われそを下すに時機に應じて下せり。 |
一〇八 いへ、爾曹そを信ずるか信ぜざるか、洵に嘗て(默示されし聖典の)知識の眷遇を得し者は其再び渠等に復誦さるゝやその面を伏せて禮拜す、渠等はいふ、吾曹の上帝を頌めよ、吾爾の上帝の約は確に果さると、 |
一〇九 渠等は泣きながら面を伏せ(そを聞きながら)謙讓を揩キ。 |
一一〇 いへ、~に祈れ、さては慈悲に祈れ、(二箇の稱呼の)孰によりても祈れ(そは同じ)、~は最優れたる名を有てば。爾曹の祈禱を高くな唱へそ、さりとてまた餘りに低く勿唱へそ、たゞ中音に唱へよ。 |
一一一 いへ、~を頌めよ、何等の子を有たざる、王國に於て何等の夥伴を有たざる、輕侮より己を保護すべき何等の恩主を有たざる~をと。~の偉大を唱へて~を大にせよ。 |
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以色列品【アル・バニ・イスラエル】(1-111節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説) |
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ヘ祖が~行夜遊天路巡歷の事あるより、亦夜行經の題目あるも普通にイスラヱルの子孫(則、イスライル族)Bomi lsrailと題せる方更に內容に適切なるが如し。主として孤列種が否ヘの罪を論じ、イスラエル族の不信ヘよりヱルサレムの聖城の破壞せし故事を援引して、以て默伽の民に逼れるなり。麻訶末が行ふ能はずと爲せる奇蹟を强要し、自女兒を生むを耻ぢて之を殺しながら~に女兒ありとなし、復活の得難きを論ぜる等は弧列種の罪惡を證するものとす。全篇の調穩和なるもなは熱誠の氣を帶ぶと稱せらる。 |
時代 |
一と六二との夜行のことはヘジラ前一年に定むべし。其他にては、五五はヘ祖がなほヘ化の希望を默伽に有せる頃にて、一〇八、一〇九はヘジラを距る稍遠き頃と見ゆれば大抵麻訶末孤列種の最後の決裂の前、則、ヘジラ前六年頃と推定すべしといはる。たゞ二四乃至四一は後の默示にてその時代はヘジラ三年頃かといへり。 |
內容 |
夜行(一)。 |
イスラエル族のヘ戒たるモーセの法(二)。 |
ノアの報恩をその子孫に示す(三)。 |
イスラエル族の二重の罪惡とその罰(四-八)。 |
信者不信者の並に則る可き可蘭(九-一一)。 |
人は祈禱に不用意なり(一二)。 |
畫夜は人に對する表徵(一三)。 |
審判の日の宿命簿(一四-一六)。 |
各民皆使徒あり使徒を拒む城市の破却(一七-一八)。 |
信者不信者の來世の賞罰(一九-二二)。 |
唯一~を禮拜せよ(二三)。 |
兩親への奉仕(二四-二七)。 |
施與と浪費の戒と(二八-三二)。 |
殺子血族姦淫殺人、の戒(三三-三五)。 |
孤兒の物資の保護(三六)。 |
正直謙抑の生(三七-四○)。 |
~を辱しめ得ざる偶像信者、天使は~女に非ず(四一-四二)。 |
孤列種に對する重復のヘ戒(四三)。 |
多~は天に於ける叛亂の因、萬物皆~を尊ぶ(四四-四六)。 |
可蘭に盲なる孤列種(四七-四九)。 |
麻訶末を狂とし復活を否認す(五〇-五四)。 |
偶像信者不信者の寛待(五五-五七)。 |
僞~は~護を要せず(五八-五九)。 |
各城市は復活の前に滅ぶ(六〇)。 |
ヘ祖に奇蹟なき所以とその奇蹟の例(六一-六二)。 |
イブリス(六三-六七)。 |
海洋の信者と不信者(六八-七一)。 |
人間の特權(七二)。 |
公正なる審判(七三-七四)。 |
殆んど誘惑されんとせし麻訶末(七五-七九)。 |
祈禱の勸(八〇-八三)。 |
可蘭の眞理を宣す(八四)。 |
人の乖戻(八五)。 |
各人各樣の行爲(八六)。 |
~の創作りし心魂、麻訶末に對する特惠の默示(八七-八九)。 |
人と妖とは可蘭を作り得ず(九〇)。 |
麻訶末の奇蹟なき辯(九一-九五)。 |
人には人の使、天使には天使の使(九六-九八)。 |
復活の日の偶像信者(九九-一〇〇)。 |
~は復活を能くす(一〇一)。 |
~の慈惠に就きてすら貪婪なる人(一〇二)。 |
モーセの九表徵とファラオ(一〇三-一〇七)。 |
可蘭の部分的默示と猶太基督ヘ徒中の可蘭信仰(一〇七-一〇九)。 |
~と慈悲とは同じ(一一〇)。 |
~に子なく夥伴なし(一一一)。 |
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以色列品【アル・バニ・イスラエル】(1-111節)の註釋(文字の解釈) |
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一 麻訶末が一夜メッカの方廟よりヱルサレムの聖廟に至り七天を巡歷し~に謁して歸るとの傳說を指す。 |
四 「地上に於て再び惡を爲す」とは、麻訶末ヘの註釋者に據れば第ー次はゴリアト、センナキりブ、ネブ力ドネッザーの孰か、第ニ次は波斯征伐となせり。されど猶太人の兩侵犯とは、第一はイサイアーを殺しジェレミアーを幽せること、第二はザカリアーとヨハネとを殺し耶蘇を誅せることならんといふ。その責罰としては甲はバビロン人の乙は羅馬人のヱルサレム征討を指すが如し。但し斯く侵犯に就きてゥ說異なれば從ひて責罰としての史實も釋者によりて異なり。故に今必ずしも異同を辯ぜず。 |
一二 惡事をも善事と思ひ迷へる無智よりか、または情に任せて我人共に呪ふ爲なり。性急は無思慮の意なり。 |
三〇 自己の生活の爲に他を顧るを得ず、またはその資財に他を救ふに足らざるの意。 |
三一 貪婪と浪費との兩端を戒しむるなり。 |
三三 子女を殺すことは第六品の一三七、一五一、第八十一品の八を見よ。 |
五九 「爾曹の禱る者」とはゥ天使ゥ豫言者なりとの說あり。また基督ヘの聖徒を指すとの說あれども、恐らく四ニ節の~の女といへる天使ならんといふ。 |
六二 幻想は普通に麻訶末の七天巡歷を指すと解せらる。然るにイスラムヘの學者はヘ祖の七天巡歷は幻想に非ずと爲して此解釋を排し、ヘ祖がメッカ入府の時若しくはバドル戰の時さてはウムマヤ家に就きて見し夢徵を以て之に充つる者あり。若し此說を可とせば此節はメヂナ默示に屬せざるを得ず。可蘭に呪はれし樹とは地獄の底より生ずといふアル・ザツクムal Zakkumなり。この樹は亞剌比亞に生ずる棘ある植物にてその實は非常に酸し。尙第三十七品の六〇を參照すべし。 |
七五 此句は麻訶末が歸依の條件としてアル・タイフal Tayifの往民ターキフThakif族に正規の施與祈禱を免し若干時の間ラトLatの偶像を拜するを許せしを指すといふ說、孤列種が麻訶末にその偶像を拜するを條件として方廟のK石に接吻するを諾せしを指すとの說、また麻訶末がメッカの偶像に就きて爲せし特約を指すとの說等、註家によりて種々なり。 |
七八 其地より逐はんとすとの地方に就きても異說多し。 |
八〇 太陽の傾くときは、或は午を渦ぐる謂にて午時の祈禱を指すとし、或は落日の義にて夕暮の祈禱を指すとす。 |
八一 分外の勤行は後には定制と爲れり。 |
八二 好出入の解も亦種々なり。平和を以て墓穴に入り、復活の時至らば滿スを以て墓穴を出づと爲すは一說なり。されど此句の人物を麻訶末と爲せば、その出入は、或はメッカを出でメヂナに入るとし、或は其遁走中に隱れし洞穴の出入を指すとし、或はメッカ征略の時の出入をいふと爲すは他說なり。 |
一〇三 九箇の表徵は、杖を變じて蛇とせる、手を白く輝かせる、蝗蚱、蝨、蛙、血を出せる、紅海を分てる、岩よりC水を湧かせる、シナイの山をイスラエル族の頭上に擡げしことなり。またニール河の氾濫、穀物の凋落、地の果實の缺乏を以て上述の後の三條に代ふる說あり。また表徵とは奇跡に非ず、モーセがその民に授けし九條のヘ戒にて、偶像を拜せす、偸盗せず、奸淫ぜす、殺生せず、左道を行はず、無辜を害せず、重利か貪らず、貞操を破らず、軍に背かざること是なり、此に安息日を保つを以てモーセの十戒と爲すと麻訶末はいへりと爲す說あり。 |
一一〇 麻訶末時に噫~Allahといひ、時に噫慈悲(~)Ar-rahmanといふ。聞く者或は以て別~の稱呼と爲すを以て斯く辯ぜるなり。 |
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Office Murakami |