「コーラン經」 蜜蜂品 第十六 【アル・ナール】 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文・解題・註釋の漢字・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
蜜蜂品【アル・ナール】(1-128節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 ~の宣告は必ず(實行さるべく)來るべし、假令そを急がずども。~を頌めよ、渠等が(~と與に)推せる~祇よりは遙に。
二 ~は其奴僕の中の欲するところのに其命によりて默示を齎らせる天使を下らしめていふ、わが外に一の~なし、故にわれを畏れよと說けと。
三 ~は其公正を表明するために天と地とを創れり、渠等が~と與に推せる~祇よりは遙に上に崇めよ。
四 ~塊より人を創れり、然るに見よ渠は(復活に對して)公然爭抗するを。
五 ~はまた爾曹の爲に家畜を作れり、渠等より爾曹は暖を得、其他の利uを得、また食を得。
六 渠等は(夕に)爾曹の家に追ふや、(朝に)牧に導くや爾曹に信ョす。
七 渠等は爾曹の自困苦を喫せざれば運び得ざる爾曹の貨物を遠地に運ぶ、爾曹の上帝は仁慈なれば。
八 爾曹の騎乘し爾曹の爲に裝飾となる馬驢(はまた~の創る所)、其他爾曹の知らざる事物(も亦~の創れるなり)。
九 ~は正道に人をヘふ、唯人或はそを背くものあり、されど~にして欲せば爾曹總てを必ず導くべし。
 天より雨水を降し、爾曹として飮ましめ、爾曹の家畜を養ふ植物を養はしむるは~なり。
一一 其によりて物檻欖椰子葡萄あらゆる果は爾曹の爲に成長す。洵に是思量ある人に對して(~力と~智との)表徵なり。
一二 ~は爾曹の爲に夜陰と白晝とを設け、其命を以て太陽と太陰と星辰とを連せしむ。洵に此處に理解ある民に對する表徵あり。
一三 また爾曹の爲に大地の面に各種の色彩の差別を創れり。其處にも確に思慮あるものに對する表徵あり。
一四 爾曹が魚蝦の食を得、珠玉の飾を得るために洋を設け、船舶をして波濤を超え爾曹の爲に商利を得せしむるも亦~なり、爾曹當に感謝すべし。
一五 ~は地上に根固く山岳を置きて動かしめず、河江を流し道路を定め、
一六 (また人をして其道を知らしむる)標目として星辰を見せしむ。
一七 されば造物(たる~)を創造らざると同じくすべけんや。爾曹之を思はずや。
一八 爾曹若し~の眷遇を算へんとするも其數を盡くし能はざるべし、~は洵に仁にして慈なり、
一九 ~は爾曹の隱くすところと公にするところとをせ知れり。
 されど爾曹が~の外に禮拜する所(の偶像)は何ものをも創造らずして、却りて自創造られしなり。
二一 渠等は死せり、生けるに非ず、渠等は理會せず、
二二 何の時か渠等は擧げらるべき。
二三 爾曹の~は唯一の~なり。來るべき世を信ぜざるは心に(最明なる證迹を)拒み、傲然として(眞理を)否む。
二四 ~は渠等の隱す所と顯はすところとを知るは疑なし。
二五 洵に~は傲慢を愛せず。
二六 何をか爾曹の上帝は下せしと渠等に問へば、渠等は往昔の寓言をと答ふ。
二七 (斯くして渠等は迷誤に陷り)渠等は復活の日に毫も其負擔を減じ得ず、また知らずしてその爲に迷はされしの負擔(の一部)をも輕め得ず。渠等の負へる所は惡しき負擔ならずや。
二八 渠等の先人は從來の較計を企てたりしも、~は其建設物を根より覆へしき、其屋は渠等の上に墜落せり、責罰は渠等の豫期せざる所より下れり。
二九 また~は復活の日に恥辱を以て渠等を掩ふべし、而して爾曹が擁して爭ひし今何處にか存するといふべし。知識あるは、洵に此日恥辱と不幸とは不信に下れりと答ふべし。
 自己の心を不正に持して天使の爲に死に置かれしは、吾曹毫も惡を行はざりきと(いひて死に就きて)平和を希求すべし。(されど天使は答ふべし)、さなり、~は洵に爾曹の所業を熟知せり、
三一 されば地獄の門に入れ、(永久に)其處に在れ、不幸は傲慢なるの捿家たれと。
三二 ~を畏るゝ者に、何をか爾曹の主は下せしと問は、渠等は至善と答ふべし。正を行ふには現世にて優れたる報償、されど來世にては更に善きもの(與へらるべし)、幸は敬虔なるの捿所たるべし。
三三 (則)、渠等の入るべきは永久の樂園、其處には河流あるべし、其處には求むるところ悉く得らるべし。斯くて~は敬虔なるに酬ゆべし。
三四 天使は其死に置く正しきにいふべし、爾曹に平和あれ、爾曹は其善行の爲に天堂に入れと。
三五 天使渠等に來り(て渠等の靈魂を渠等の肉體より分ち)さては爾曹の上帝の宣言下(りて渠等を處罰す)るの外何事をか(不信は)處期すべきや。
三六 渠等の行ひし惡は渠等に到達し、渠等の嘲笑せし~判は渠等に下る。
三七 偶像信はいふ、若し~意ならば、吾曹も吾曹の先も~の外何ものをも禮拜せざりしならむ、~なくして何ものをも禁ぜざりけむと。渠等の前人は實に斯く爲せり。されどの使徒の義務は公にヘを說くの外に何かあるべき。
三八 われ今に至るまで各の國民に一使徒を下したり、(渠等にいはしめき)、~を拜せよ、タダトを避けよと。渠等の中には~に從ひしあり、また其道を外づれしありき。されば世界を行け、虛妄を以て其使徒を誹りしの末路如何なりしかを見よ。
三九 (噫、豫言)、爾假令熱心に渠等のヘ導を願ふも、~はそを迷誤に導かんと決せしを示ヘせざるべし、渠等には何等の授助なけむ。
 渠等は最嚴に~かけて誓へり、~は死を擧げざるべしと。左なり、其約は眞なり、されど人多くは之を知らず。
四一 ~は渠等の爭ふ所に就きて明白に(眞理を)渠等に示すために、不信をして其虛妄たるを知らしむるために、(~は渠等を擧ぐべし)。
四二 洵にわれわが欲する何ものにも唯「在れ」といへば則あり。
四三 不正に迫害されしのち~の爲にク國を遁れしには、われ現世にて必ず優れたる住處を與ふべし、されど來世の報償は更に大なるべし、渠等そを知らずとも。
四四 堅忍にして上帝にその信を置くよ。(現世にてまた來世にて幸を受くべし。)
四五 われ爾の前に、わが默示によりて語る人の外(何をもわが豫言として)送りしことなし。故に爾(その眞なるを)知らずば聖典を持せしものに問へ。
四六 われ明白なる表徵と書かれたる默示とを以て渠等を派せり、われ此可蘭を爾に下せり、爾これを人に宣傳して渠等に下せしところを明にし渠等をして省察せしめ得るために。
四七 其豫言に對して惡を企てしは、~がその脚下の大地を拂はざるを確信せりや、渠等の豫期せざる所より責罰の渠等に至らざるを確信せりや、
四八 渠等(旅行または商用に)忙しき時~の爲に責められざるを確信せりや、渠等は(~の力を)避け能はざるに、
四九 さては渠等は漸次に破滅に陷らざるを確信せりや。されど爾曹の上帝は洵に(爾曹に猶豫を許すべく)仁なり。
 渠等は~の創りし事物を考へざるか、其影は~を禮拜して右に左に落つるに。
五一 天と地とに動くあらゆるものは~を禮拜し、天使も亦然り、渠等は(その義務を等閑にするまでに)傲然たり得ず、
五二 渠等は其上に照臨する上帝を畏れ、其命ぜらる所を行ふ。
五三 ~はいへり、爾曹二~を勿立てそ、~は唯一なり、われを崇めよと。
五四 天にあるものも地にあるものも~に、永久に~に從ふ。さらば爾曹~の外何ものをか畏るべき。
五五 爾曹の受くる眷遇は何にもあれ必ず~よりす、惡事爾曹に起らば~に懇禱す。
五六 然るに~爾曹の惡事を除けば、見よ、爾曹のあるは其上帝に侶伴を作る、
五七 これわが渠等に與へたる眷遇の恩を忘るなり。爾曹(現世の享樂を)樂め、されど後爾曹は知らん(~の報復の遁れきを)。
五八 渠等はわが渠等に授けたる食の一部を何の知識もなき偶像に分つ。~かけて、爾曹は必ずその虛妄の爲に徵さるべきなり。
五九 渠等は~に女を歸す−そを~より遠ざけよ−されど渠等は女を好まず。
 渠等の何人も女を生むの報を得ればその面をKくして深く悼む、
六一 凶報の爲に自衆人より隱くる、恥を忍びて之を保育すべきか、そを塵土の中に埋むべきかを思ひ惱みて。渠等の判する所惡しからずや。
六二 來世を信ぜざるには惡の譬諭あり、~には最も崇高なる譬諭あり、~は偉大にして賢明なれば。
六三 若し~惡事を以て人を罰しなば地上に一生物を遺さるべし、されど~は渠等に一定時の猶豫を與ふ、而して其時至れば寸時をも躊躇せざるべし、(渠等の責罰は)豫知せられざるべし。
六四 渠等は自好まざる所を~に歸す、渠等の舌は虛妄を語る、いふ、天堂の報賞は己に在りと。されど渠等の爲には(地獄の)火の待ち、渠等は(他の惡人に先ちて)其處に送らることは疑なし。
六五 われ爾より前にの民に使を派せり、されど惡魔は渠等の爲に其業を準備せり、渠は現世にては其恩主たり、(來世には)渠等悲しむべき苦痛を喫すべし。
六六 われ(可蘭の)聖典を爾に授けしは、渠等の爭ふ所の眞理を渠等に宣明し、信にヘ示と恩惠とを下すが爲に外ならず。
六七 ~は天より雨水を降し死せる大地を復活せしむ。洵に此處に聽き得る民に對する(復活)表徵あり。
六八 爾曹また家畜にヘ訓の例を見ん。われ爾曹に其腹中にあるものを飮ましむ、消化せる渣滓と血液との閧ネる流液、則、飮むをして快く嚥下せしむる醇乳これなり。
六九 椰子樹の液、葡萄の汁、それに爾曹は��酵の飮料善良の營養を待。洵に此處にも理解ある民への表徵あり。
 爾曹の上帝は天啓によりて蜜蜂に告ぐ、山に木に爾曹の家を授く、爾曹の蜜巢を授く、
七一 各種の果實を食ひ爾曹の上帝の道を行け。其處に渠等の腹より人の藥となる各色の飮料出づ。洵に此處にも理解ある民に對して表あり。
七二 ~は爾曹を創造れり、~はのち爾曹を死せしむべし、爾曹のあるは老してその知りし所を忘るまで長生すべし、~は賢明にして有力なれば。
七三 ~は爾曹のあるをして世間的資財に於て他に超えしむ、されど富有なるは其平等を恐れて有する富を奴隷に與へず。さらば渠等は~の恩惠を拒むにや。
七四 ~は爾曹に爾曹の中より妻を授け、其妻より爾曹の子と孫とを授け、爾曹に食物としてよき物を授く。さるに渠等は無uなるを信じ忘恩にも~の善きを拒むか。
七五 渠等は渠等を支持すべく天に於ても地に於ても何物をも有せずまた何等の力もなきものを~の外に禮拜す。
七六 故に何をも~に勿比しそ、~は知れども爾曹は知らざればなり。
七七 ~は譬諭を示せり、一は何ものをも有せざる奴隷、他はわが授けし善き物を多く有し私にも公にも施與を爲す、此二は同じと爲すべきか。~は之を否む。然れども人多くは之を知らず。
七八 ~はまた二人の譬諭を示せり、一は生れながらの啞、何事をも爲し得ず解し得ず他人にョり、其行く所として何等の善果を得て歸らざる、これを以て(善く語り能く解し)正しきを命じ正しきを行ふと同し得べきや。
七九 唯~に天と地との密は知らる。最後の時の事は唯轉瞬の如し、否それよりも尙速なり、洵に~は全能なれば。
 ~は爾曹を其母の胎內より生ぜり、爾曹は何事をも知らず、~は爾曹に聽とと理解とを授けき、爾曹謝せざるべからず。
八一 爾曹蒼天に翔る飛鳥を見ずや、~ならで誰かよくそを支へむ。洵に此處に信ずるへの表徵あり。
八二 ~は爾曹の爲に住處として家居を授け、また爾曹に畜皮の天幕を授け、爾曹の出發の時に(移居に)便ならしめ爾曹の定居の時に(安居に)利ならしめ、畜獸の毛と皮と、時季に應ぜる什家具とを授く。
八三 ~は爾曹を(日光より)掩ふべくその作りしものを與へ、また山中に退隱の居處を與へ、熱を避くるためには衣服を授け、敵を防ぐためには甲を授く。斯くして~は爾曹に對する恩惠を完くす、爾曹(~に)敬聽せざるを得ず。
八四 されど若し渠等背かんか、爾の義務は洵に(唯)公にヘを說くに在り。
八五 渠等は~の善を認む、而もその善を拒む、人多くは忘恩なればなり。
八六 其日至らばわれ各の民より證を擧ぐべし、その時不信たりし渠等は赦されざるべし、まれ眷遇を得ざるべし。
八七 その時不正を行ひしは(渠等を待てる)苦痛を見るべし、−そは輕減されず、また猶豫されざるべし。
八八 その時偶像崇拜の罪を負へるはその僞~を見ていふべし、噫、上帝よ、此等は吾曹が爾の外に禮拜せる吾曹の偶像なりと。されど渠等は、洵に爾曹は虛言なりと答へん。
八九 而してその日に惡人は~に服從せざるを得ず、僞~は渠等を捨て去るべし。
 異端たりし、他人を~の道より惑はせしには、われ責罰の上に責罰を加ふべし、渠等は他人を惑したれば。
九一 その日にわれ各の民に就きて渠等の中より渠等に逆ひて證を擧ぐべし、われ爾を(噫、麻訶未)此等(亞刺此亞)の民に逆ひて證人として徵すべし。われ爾に、(信仰と實踐とに必須なる)あらゆる解說として、またはムスリムに對する示ヘ慈惠吉報として、(可蘭の)聖典を下したり。
九二 洵に~は正義と善行と(必要なる物の)施與とを命じ、惡事と不正と專虐とを禁じ、爾曹の記億せんことを爾曹に戒めたり。
九三 爾曹(~と)約せる時~との爾曹の約を履め、爾曹誓へる時その誓盟を勿犯しそ、爾曹は~を爾曹の上に證人となせば。洵に~は爾曹の爲すところを知る。
九四 紡ぎし女の絲を解きりしをすが如くに勿爲しそ、爾曹の閧ノ僞りて誓ひて、一の黨は他の黨よりも多ければ。洵に~は此處に爾曹を誘ふ。復活の日に~は爾曹の今爭ふところを爾曹に明にせん。
九五 ~にして欲せば必ず爾曹を一宗たらしめん、たゞ~は其欲するところを迷誤に陷れ、その欲するところを正道に導くのみ。爾曹は必ずその所業に就きてC算せざるべからず。
九六 故に爾曹互に僞りて誓ひ確に踏める脚を勿滑らしそ、爾曹~の道を背かば現世に惡を喫し來世に罰を受けん。
九七 些末の價を以て~の約を勿賣りそ、爾曹理解の人たらば~には爾曹により善き報償の準備あれば。
九八 爾曹とあるは廢滅せんも、~とある久なり。われ堅忍のにはその行爲の至大の信に應じて必ず酬ひん。
九九 正しきを行ひしは、男女の別なく、眞の信たらば、われ幸ある生を授けん、われその行爲の至大の功に應じて報賞を與ふべし。
〇〇 爾可蘭を讀誦する時~に復歸せん、(~は)石を以て惡魔を拂ひ爾を保護せん。
一 惡魔は(~を)信じ上帝を信ずるの上に力なし。
二 唯その力はそれを恩主として~と竝べ拜するの上にのみ存す。
三 われ可蘭の廢辭を代ふる時(而して何の默示の最善きかは~最善く知れり)、異端の徒はいふ、爾は唯僞作たりと。されど渠等多くは眞僞を識別せず。
四 いへ、靈眞理を以てそを爾曹の上帝より齎せり、信ずるを確むべく敬聽の示ヘ吉報としてと。
五 われまた渠等のいふを知る、洵にある人渠にヘへて可蘭を作らしむと。渠等の指すの語は外の語なり、されど(可蘭の書れたる)此語は明なる亞刺比亞の語なり。
六 加ふるに~の表徵を信ぜざる~は導かざるべし、渠等は痛ましき苦痛を受くべし、
七 洵に~の表徵を信ぜざるは虛を懷ふ、渠等は實に虛僞なり。
八 信じたるのちに~を否むは、その意ならず强ひられて心中には尙信仰を固持するの外は、峻しく責めらるべし、されど何人にもあれ自進んで不信に奔りしには~の譴罰下るべし、渠等は悲しき責罰を受けざるべからず。
九 何となれば渠等は來世よりも現世を重しとす、~は不信の民を導かざればなり。
一一 此等はその心と聽とを~の封せるなり、此等は捨てられしなり、來世に於て滅亡すべきは疑を容れず。
一一一 爾曹の上帝は迫害されてそのク國を遁れしを下すべし、(强ひて信仰を抛つべく迫られし)、而して(眞のヘを護るために)戰ひし、堅忍能く耐へし、洵に此等には爾曹の上帝は大度仁慈たるべし。
一一二 其日至らば各の心は自辯論すべく各の人はその業報を受くべし、而して渠等は不正に遇せられざるべし。
一一三 ~は譬諭として一城市を示す。そは安全靜平に物資四方より集まりしに、忘恩にも~の眷遇を否みしかば、~はその報として非常の饑饉と畏怖とを喫せしむ。
一一四 今や使徒は渠等の中より(メッカの民に)出でたり。渠等は僞瞞を以て之を誹る。それが爲に責罰は渠等の上に下るべし。
一一五 ~が適法に善良なる食物として爾曹に與へしものを食へ。~の眷遇を感謝せよ、爾曹~に仕ふるならば。
一一六 ~はた自死せしもの、血、豚肉、及び~の外の何人かの名に於て殺されしものを爾曹に禁ず。されど繼續せずまた自好まず(必要に)迫られしには~仁なるべし。
一一七 爾曹僞りてこは適法なりこは不適法なりと勿いひそ。そは~に就きて虛僞を構ふるなり。~に就きて僞るは昌えざるべし。
一一八 (現世にては)少しの快樂、(來世にては)痛ましき苦惱を受くべし。
一一九 猶太人にはわれ前に爾曹に告げしところを禁ぜり、われ(此事に就きて}毫も渠等を害はず、さるに渠等は自その心を害へり。
一二 加ふるに爾曹の上帝は無智の爲に惡を行ひて後ひ改めしには(大なるべし)、洵に爾曹の上帝は(そのしのち此等のに)大なるべし。
一二一 アブラハムは眞のヘ法、柔順、正轉の模本にして偶像信に非ず、~の眷遇を感謝せるなり、
一二二 されば~は渠を擇びて正道に導けり。
一二三 われ渠に現世にて善を與へき、來世にては必ず正しき(の一)たるべし。
一二四 われまた默示を以て爾に語れり(噫、麻訶末)、正轉にして偶像信ならぬアブラハムのヘ法に從へと。
一二五 安息日はたそれに就きて(その豫言と)異れるにのみ定めらる。爾曹の主は復活の日に渠等の爭ふ所に就きて審判すべし。
一二六 知識と溫情を以て(人を)爾曹の上帝の道に誘へ。最謙遜なる態度を以て渠等と爭議せよ。爾曹の上帝はその道より迷ふと、正しく導かれしとを能く知れば。
一二七 爾曹(何人にまれ)報復せんとせばその犯せし過害に應ぜる報復を爲せ。されど若し(その過害を)忍びなばそは洵に忍耐の爲に更に善からむ。
一二八 爾曹能く(反抗に)忍べ、されど爾曹の忍耐は唯~の手に在り。爾曹不信の爲に勿憂ひそ、渠等の僞計の爲に勿惱みそ、~は(~を)畏れて正しきと與に在れば。
蜜蜂品【アル・ナール】(1-128節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
〇節に蜜蜂のことあるより卷に名づく。此卷は麻訶末の天啓に就きての資源を窺ふ端獅藏す。一に可蘭を編むに就きて他人の援助を假りし云の謗誹あること是なり。
時代
或說には四三以後を默コ那默示となし、或は更に全部を然りと爲せども、默伽默示となす方妥當と見ゆ。一一三−一一四の饑饉のことに據れば麻訶末の默伽說ヘの末年を證し、一二六はその孤列種折服に失望せるを見るべく、一はヘジラの前若干に在るを傍證し得。
內容
~の審判は必ず異端に下る(一)。
默示は天使によりて~より出づ(二)。
造物主としての~(三−一)。
天地に於ける~業(一−一六)。
~と偶像との比較(一七−二二)。
唯一眞~を否認する異端の傲慢(二三−二五)。
豫言を僞瞞となす不信と其破滅(二六−二八)。
偶像信の復活の日の失望(二九−三一)。
正道の報償(三二−三四)。
異端は唯~判を待つのみ(三五−三六)。
罪惡の責を~に歸する異端(三七)。
各の民各豫言あり(三八)。
異端の末路(三九)。
復活を否む異端(四−四一)。
~は言下に物を創る(四二)。
ムハジリンへの約(四三)。
堅忍なる信の報償(四四)。
聖典の確保(四五−四六)。
罰せらるべき豫言の敵(四七−四九)。
萬物は~を禮拜す(五−五二)。
忘恩なる偶像信(五三−五八)。
女を生むを惡みて~の女をいふ(五九−六一)。
~惠にョる人類(六二−六三)。
偶像信の不理(六四)。
惡魔は不敬~者の恩主(六五)。
可蘭を下せる所以(六六)。
~の表徵(六七−六九)。
蜜蜂の~のヘ(七−七一)。
人と物と皆~に屬す(七二−七四)。
~と僞~との譬諭(七五−七八)。
審判は轉瞬(七九)。
創造主にして保護としての~への聽從(八−八三)。
說ヘ麻訶末と~とを拒む偶像信(八四−八五)。
~に捨てらる偶像信(八六−八九)。
異端の魁首の峻罰(九)。
麻訶末は亞刺比亞人に對する~の證人(九一)。
~に忠誠なるべき勸(九二−九九)。
~に復歸する麻訶末と惡魔の無力(一〇〇−一二)。
聖典の改廢と可蘭に對する讒謗の辯(一三−一七)。
故意の背ヘの處罰(一八−一一)。
ムハジリンの(一一一)。
審判日の報償の公正(一一二)。
不信の爲に饑饉に會ひし默伽(一一三−一一四)。
食物の適法と不法(一一五−一一九)。
無智の罪は赦さる(一二)。
アブラハムのヘ法を麻訶末に勸む(一二一−一二四)。
火曜日と安息日(一二五)。
異端に對する溫厚(−二六)。
報復に優る忍辱(一二七)。
~は正しきに在り(一二八)。
蜜蜂品【アル・ナール】(1-128節)の註釋(文字の解釈)
五 暖を得るは毛皮等を衣とするの意。
二二 審判を受くる爲に擧らるの意。
二八 或說には此建設物を以て企計の結構と譬諭的に解釋すれども、他說にては辭句のまに解して以爲く、昔ニムロドがバベルに高塔を築くや、高さ五千キユピト、由て以て天に昇るべしと爲せしに、~その暴を惡くみて暴風地震を以て之を覆へしたりと。因にいふ、イスラムヘ徒は二ムロドをハムの子カナアンの子にしてクシュの姪となしその子と爲さず。
五九 亞剌比亞人は天使を以て~女と爲す。然るに自女兒を生むを厭ひて、生きながら之を地中に埋むるの俗あり。近世にてもベドイン族には此風習あり。
四 精靈は天使ガブリエル。
一二五 モセは火曜日を以て~の禮拜日となせしに猶太人はそれを拒みて、~が天地創造の後休息せし日なればとて日曜日を安息日とせるをいふ。
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