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「コーラン經」 序品 第一 [ウル・ファチハト] 默伽
「コーラン經」は日本初のコーラン全文翻訳本です
「コーラン經」は<譯者・坂本健一>{上下二巻}として世界聖典全集刊行會から(大正九年)発行されました
「コーラン經」の構成は凡例、目次、114品(章)の本文、附録として各品(章)の解題と註釋、イスラム教とコーランについての詳細な後書きから成っています。
ここでは114品(章)別に本文と解題と註釋をまとめて紹介します
本文・解題・註釋の漢字・送り仮名は大正時代そのままの形を復刻できるように努めました
序品[ウル・ファチハト](1-7節)の本文
大慈悲~の名に於て
一 ~を頌へよ、萬物の主宰、
二 最大慈悲、
三 審判の日の王。
四 爾をわれ(吾曹)禮拜す、爾にわれ援助を請ふ。
五 われを導け、正しき道に、
六 爾が仁なりしもの道に、
七 爾が怒れる背き去りしの道ならで。
序品[ウル・ファチハト](1-7節)の解題(題名の由来、啓示時期、内容解説)
 可蘭の各卷には品を以て名く。
この一品は全篇の粹にて、或は禱、或は頌讚、或は謝恩、或は寶財等の名を命ずるも普通にはウルファチハト(序品)と名く。
タフシルラウフィは此經の讀誦は全可蘭の讀誦に同じといひ、其各には全可蘭に有る~性頌讚~~罰ありとせり。
 毎經品の冒頭には大慈悲~の名に於ての一句あり。
是イスラムヘ徒が畜獸を屠り經文を讀誦し其他あらゆる重要の行為に當りて先づ唱ふる所なり。
但し茲には單に慈悲と譯せるも原文にはビスミルラ・ビ・ラーマニ・ルライム Bismil-l'a-bi rahmani rrahim 云々とあり。
ラーマンもラヒムもともに殆んど同義異辭にて前を慈惠とすれば後を祝bニする程の差ありといひ、或はともに仁慈悲愛の義なるも前者は唯~にのみ用ひらるといふ。
今そを區別すべき辭句と必要となければ慈悲の二字面を用ひたり。
蓋し此冠冒語は猶太拜星ヘ徒の夙に用し所を、麻訶末と同代にして年長者なる詩人タイエフのオマヤーの孤列種族にヘへしを始とし、麻訶末も亦襲踏せりといふ。
序品[ウル・ファチハト](1-7節)の註釋(文字の解釈)
一 萬物の主宰は原語ラッビララミナRabbi'la Laminaにて世界の上帝の義なり。されど其アラミナは人、妖精、天使の三種を指すと云ふ。
五 正しき道とは麻訶末のイスラムヘなり。
六 爾が仁なりしとは豫言正人、殉道善男女をいひ、次の爾が怒れるとは主として猶太ヘ徒なりといふ。
   或は此句は寧ろ譯して「爾が寛仁なりし者怒らざりし者誤らざりし者の道に導け」と爲すべしといふ。孰れにするも意義は通ずべし。
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