四つの福音書による一つのイエス物語323
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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323
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弟子たちが集まっている所に姿を現す
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
16;14 24;36〜43 20;19〜23
第一六章一四節 第二四章三六〜四三節 第二〇章一九〜二三節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一六章
十四 又その後十一の弟子の食しをる時に現れて彼等が信なきと其心の頑とを責め給へり是かれらイエスの甦り給るのち其を見しの言ところを信ぜざりし故なり
路加傳iケ書第二四章
三六 此事を語れる時イエス自ら其中に立て曰けるは爾曹安かれ
三七 かれら駭き懼れて見ところのを靈ならんと意り
三八 イエス曰けるは爾曹何ぞ駭くや何ぞ心に疑ひ起るや
三九 我手わが足を見て我なるを知われを摸てよ靈は我が在を爾曹が見ごとく肉と骨は有ざる也
四十 如此いひて其手足を示せしに
四一 彼等喜べども猶信ぜず異める時にイエス此に食物ある乎と曰ければ
四二 灸たる魚と蜜房を予ふ
四三 之を取て其前に食せり
約翰傳iケ書第二〇章
十九 此日の暮時すなはち一週の首の日弟子等ユダヤ人を懼るに因て集れる所の門を閉おきしがイエス來て其中に立かれらに曰けるは爾曹安かれ
二十 如此いひし後其手と脅を彼等に見す弟子たち主を見て喜べり
二一 イエスまた彼等に曰けるは爾曹安かれ父の我を遣し如く我も爾曹を遣さん
二二 此如いひしのち氣を噓て彼等に曰けるは聖靈を受よ
二三 なんぢら誰の罪を釋すとも其罪ゆるされ誰の罪を定るとも其罪さだめらるべし
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一六章
一四 其ののち十一弟子の食しをる時に、イエス現れて、己が甦へりたるを見しどもの言を信ぜざりしにより、其の信仰なきと、共の心の頑固なるとを責め給ふ。
ルカ傳iケ書第二四章
三六 此等のことを語る程に、イエスその中に立ち〔『平安なんぢらに在れ』と言ひ〕給ふ。
三七 かれら怖ぢ懼れて見る所のものを靈ならんと思ひしに、
三八 イエス言ひ給ふ『なんぢら何ぞ心騷ぐか、何ゆゑ心に疑惑おこるか、
三九 我が手わが足を見よ、これ我なり。我を撫でて見よ、靈には肉と骨となし、我にはあり、汝らの見るごとし』
 〔斯く言ひて手と足とを示し給ふ〕
四一 かれら歡喜の餘に信ぜずして怪しめる時、イエス言ひたまふ『此處に何か食物あるか』
四二 かれら炙りたる魚一片を捧げたれば、
四三 之を取り、その前にて食し給へり。
ヨハネ傳iケ書第二〇章
一九 この日、ち一週のはじめの日の夕、弟子たちユダヤ人を懼るるに因りて居るところの戶を閉ぢおきしに、イエスきたり彼らの中に立ちて言ひたまふ『平安なんぢらに在れ』
 斯く言ひてその手と脅とを見せたまふ、弟子たち主を見て喜べり。
二一 イエスまた言ひたまふ『平安なんぢらに在れ、父の我を遣し給へるごとく、我も亦なんぢらを遣す』
二二 斯く言ひて、息を吹きかけ言ひたまふ『聖靈をうけよ。
二三 汝ら誰の罪を赦すとも其の罪ゆるされ、誰の罪を留むるとも其の罪とどめらるべし』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一六章
一四 その後、イエスは十一弟子が食卓についているところに現れ、彼らの不信仰と、心のかたくななことをお責めになった。彼らは、よみがえられたイエスを見た人々の言うことを、信じなかったからである。
ルカによる福音書第二四章
三六 こう話していると、イエスが彼らの中にお立ちになった。〔そして「やすかれ」と言われた。〕
三七 彼らは恐れ驚いて、霊を見ているのだと思った。
三八 そこでイエスが言われた、「なぜおじ惑っているのか。どうして心に疑いを起すのか。
三九 わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしなのだ。さわって見なさい。霊には肉や骨はないが、あなたがたが見るとおり、わたしにはあるのだ」。
四〇 〔こう言って、手と足とをお見せになった。〕
四一 彼らは喜びのあまり、まだ信じられないで不思議に思っていると、イエスが「ここに何か食物があるか」と言われた。
四二 彼らが焼いた魚の一きれをさしあげると、
四三 イエスはそれを取って、みんなの前で食べられた。
ヨハネによる福音書第二〇章
一九 その日、すなわち、一週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人をおそれて、自分たちのおる所の戸をみなしめていると、イエスがはいってきて、彼らの中に立ち、「安かれ」と言われた。
二〇 そう言って、手とわきとを、彼らにお見せになった。弟子たちは主を見て喜んだ。
二一 イエスはまた彼らに言われた、「安かれ。父がわたしをおつかわしになったように、わたしもまたあなたがたをつかわす」。
二二 そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ。
二三 あなたがたがゆるす罪は、だれの罪でもゆるされ、あなたがたがゆるさずにおく罪は、そのまま残るであろう」。
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