四つの福音書による一つのイエス物語319
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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319
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マグダラのマリアに姿を現す
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
16;9〜11 28;9〜10 20;11〜18
第一六章九〜一一節 第二八章九〜一〇節 第二〇章一一〜一八節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一六章
九 イエス七日の首の日よあけごろ甦りて先マグダラのマリアに現るにイエス彼より七の惡鬼を逐出せり
十 イエスと共に在しの哭哀める時に此婦きたりて是等の事を
十一 彼等イエスの活て此の婦に見ゑ給ひしことを聞しが信ぜざりき
馬太傳iケ書第二八章
九 弟子にんとて往ときイエス彼等に遇て安かれと曰給ひければ婦すみ其足を抱て拜しぬ
十 イエス彼等に曰けるは懼る勿れ去て我が兄弟にガリラヤに往とよ彼處にて我を見べし
約翰傳iケ書第二〇章
十一 マリアは墓の外に立て哭つ墓にむかひ俯て
十二 二人の天使しろき衣を着イエスの屍を置たりし所の首の方に一人足の方に一人坐し居を見たり
十三 天使かれに曰けるは婦よ何ぞ哭くや彼こたへけるは我主を取しあり何處に置しかを知ざれば也
十四 如此いひて反顧イエスの立しを見る然どもイエスなることを知ず
十五 イエス彼に曰けるは婦よ何ぞ哭や誰を尋るかマリア園を守る人ならんと意ひ彼に曰けるは君よ爾もし彼を轉移しならば何處に置しか我によ我これを取べし
十六 イエス彼にマリアよといふ婦かへりみて彼にラボニと曰り之を譯ば夫子なり
十七 イエス彼に曰けるは我にこと勿れ我いまだ我父に升ざれば也わが兄弟に往ていへ我は我父すなはち爾曹が父わが~すなはち爾曹が~に升ると
十八 マグダラのマリア主を見しことと主の如此おのれに言給へるといふ事を弟子等に往て
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一六章
九 〔一週の首の日の拂曉、イエス甦へりて先づマグダラのマリヤに現れたまふ、前にイエスが七つの惡鬼を逐ひいだし給ひし女なり。
 マリヤ往きて、イエスと偕にありし人の、泣き悲しみ居るときに之にぐ。
一一 彼らイエスの活き給へる事と、マリヤに見え給ひし事とを聞けども信ぜざりき。
マタイ傳iケ書第二八章
九 よ、イエス彼らに遇ひて『安かれ』と言ひ給ひたれば、進みゆき、御足を抱きて拜す。
 爰にイエス言ひたまふ『懼るな、往きて我が兄弟たちに、ガリラヤにゆき、彼處にて我を見るべきことを知らせよ』
ヨハネ傳iケ書第二〇章
一一 然れどマリヤは墓の外に立ちて泣き居りしが、泣きつつ屈みて、墓の內を見るに、
一二 イエスの屍體の置かれし處に白き衣をきたる二人の御使、首の方にひとり足の方にひとり坐しゐたり。
一三 而してマリヤに言ふ『をんなよ、何ぞ泣くか』マリヤ言ふ『誰か、わが主を取去れり、何處に置きしか我しらず』
一四 かく言ひて後に振反れば、イエスの立ち居給ふを見る、然れどイエスたるを知らず。
一五 イエス言ひ給ふ『をんなよ、何ぞ泣く、誰を尋ぬるか』マリヤは園守ならんと思ひて言ふ『君よ、汝もし彼を取去りしならば、何處に置きしかをげよ、われ引取るべし』
一六 イエス『マリヤよ』と言ひ給ふ。マリヤ振反りて『ラボニ』(釋けば師よ)と言ふ。
一七 イエス言ひ給ふ『われに觸るな、我いまだ父の許に昇らぬ故なり。我が兄弟たちに往きて「我はわが父、ち汝らの父、わが~ち汝らの~に昇る」といへ』
一八 マグダラのマリヤ往きて弟子たちに『われは主を見たり』とげ、また云の事を言ひ給ひしとげたり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一六章
九 〔週の初めの日の朝早く、イエスはよみがえって、まずマグダラのマリヤに御自身をあらわされた。イエスは以前に、この女から七つの悪霊を追い出されたことがある。
一〇 マリヤは、イエスと一緒にいた人々が泣き悲しんでいる所に行って、それを知らせた。
一一 彼らは、イエスが生きておられる事と、彼女に御自身をあらわされた事とを聞いたが、信じなかった。
マタイによる福音書第二八章
九 すると、イエスは彼らに出会って、「平安あれ」と言われたので、彼らは近寄りイエスのみ足をいだいて拝した。
一〇 そのとき、イエスは彼らに言われた、「恐れることはない。行って兄弟たちに、ガリラヤに行け、そこでわたしに会えるであろう、と告げなさい」。
ヨハネによる福音書第二〇章
一一 しかし、マリヤは墓の外に立って泣いていた。そして泣きながら、身をかがめて墓の中をのぞくと、
一二 白い衣を着たふたりの御使が、イエスの死体のおかれていた場所に、ひとりは頭の方に、ひとりは足の方に、すわっているのを見た。
一三 すると、彼らはマリヤに、「女よ、なぜ泣いているのか」と言った。マリヤは彼らに言った、「だれかが、わたしの主を取り去りました。そして、どこに置いたのか、わからないのです」。
一四 そう言って、うしろをふり向くと、そこにイエスが立っておられるのを見た。しかし、それがイエスであることに気がつかなかった。
一五 イエスは女に言われた、「女よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか」。マリヤは、その人が園の番人だと思って言った、「もしあなたが、あのかたを移したのでしたら、どこへ置いたのか、どうぞ、おっしゃって下さい。わたしがそのかたを引き取ります」。
一六 イエスは彼女に「マリヤよ」と言われた。マリヤはふり返って、イエスにむかってヘブル語で「ラボニ」と言った。それは、先生という意味である。
一七 イエスは彼女に言われた、「わたしにさわってはいけない。わたしは、まだ父のみもとに上っていないのだから。ただ、わたしの兄弟たちの所に行って、『わたしは、わたしの父またあなたがたの父であって、わたしの神またあなたがたの神であられるかたのみもとへ上って行く』と、彼らに伝えなさい」。
一八 マグダラのマリヤは弟子たちのところに行って、自分が主に会ったこと、またイエスがこれこれのことを自分に仰せになったことを、報告した。
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