四つの福音書による一つのイエス物語318
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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318
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甦ったことを墓に行った女たち知る
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
16;1〜8 28;1〜8 24;1〜11 20;1〜2
第一六章一〜八節 第二八章一〜八節 第二四章一〜一一節 第二〇章一〜二節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一六章
一 安息日過てマグダヲのマリアとヤコブの母なるマリア及サロメ香料を買とのへイエスに抹んとて來れり
二 七日の首の日いと早く日の出る時彼ら墓に來り
三 互に曰けるは誰か我の爲に石を墓の門より轉し取もの有んか是その石はなはだ巨大なれば也
四 斯て彼等目を擧れば石の已に轉あるを見る
五 墓に入しに白衣をきたる少の右の方に坐せるを見て駭き異めり
六 小かれらに曰けるは駭き異む勿れ爾曹は十字架に釘られしナザレのイエスを尋ぬ彼は甦りて此に居ず彼を葬し處を觀よ
七 且ゆきて其弟子とペテロによ彼は爾曹に先ちてガリラヤに往り爾曹かしこにて彼を見べしち其なんぢらに言しが如し
八 彼等いで墓より奔れり且戰慄かつ駭き亦一言をも人に語ざりき是懼しが故なり
馬太傳iケ書第二八章
一 安息日終てのち七日の首の日黎明にマグダヲのマリア及び他のマリアその墓を觀んとて來りしに
二 大なる地震ありて主の使天より降り墓の門より石を轉し其上に坐す
三 その容貌は閃電のごとく其衣服は雪のごとく白し
四 守兵かれを懼戰き死たるの如くなりぬ
五 天使こたへて婦に曰けるは爾曹おそる勿れ我なんぢらが十字架に釘られしイエスを尋ることを知
六 彼は此に在ず其言る如く甦りたり爾曹きたりて主の置れし處を見よ
七 且ゆきて其弟子によ彼は死より甦り爾曹に先ちてガリラヤに往り彼處に於て爾曹かれを見べし我これを爾曹に
八 婦懼ながらも甚く喜びて急墓をさり其弟子にんと走り往り
路加傳iケ書第二四章
一 七日の首日の昧爽に此婦たち備置たる香物を携て墓に來しに他の婦等も偕に來れり
二 彼等石の墓より轉たりしを見て
三 入ければ主イエスの屍を見ず
四 之が爲に躊躇をりしに輝る衣服を着たる二人その旁に立り
五 かれら懼て面を地に伏ければ其人いひけるは爾曹何ぞ死たるの中に生たるを尋るや
六七 彼は此に在ず甦りたり彼ガリラヤに居しとき爾曹に語て人の子は必ず罪ある人の手に付され十字架に釘られ第三日に甦る可と云たりしを憶起よ
八 彼等その言を憶いで
九 墓より歸て此等の事をみな十一の弟子と他の弟子等に
十 此等の事を使徒にたるはマグダラのマリア ヨハンナ ヤコブの母なるマリア又他に偕に在し婦等なり
十一 使徒その語れるを虛誕と意ひて信ぜず
約翰傳iケ書第二〇章
一 一週の首の日の朝いまだ昧うちにマグダラのマリア墓に來て石の墓より取去ありしを見
二 遂にシモンペテロまたイエスの愛せし所の弟子に趨往て曰けるは墓より主を取しあり我何處に置しや其處を知ず
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一六章
一 安息日終りし時、マグダラのマリヤ、ヤコブの母マリヤ及びサロメ往きて、イエスに抹らんとて香料を買ひ、
二 一週の首の日、日の出でたる頃いと早く墓にゆく。
三 誰か我らの爲に墓の入口より石を轉ばすべきと語り合ひしに、
四 目を擧ぐれば、石の旣に轉ばしあるを見る。この石は甚だ大なりき。
五 墓に入り、右の方に白き衣をたる若の坐するを見て甚く驚く。
六 若いふ『おどろくな、汝らは十字架につけられ給ひしナザレのイエスを尋ぬれど、旣に甦へりて、此處に在さず。よ、納めし處は此處なり。
七 然れど往きて、弟子たちとペテロとにげよ「汝らに先だちてガリラヤに往き給ふ、彼處にて謁ゆるを得ん、曾て汝らに言ひ給ひしが如し」』
八 女等いたく驚きをののき、墓より逃出でしが、懼れたれば一言をも人に語らざりき。
マタイ傳iケ書第二八章
一 さて安息日をはりて一週の初の日のほの明き頃、マグダラのマリヤと他のマリヤと墓を見んとて來りしに、
二 よ、大なる地震あり、これ主の使、天より降り來りて、かの石を轉ばし退け、その上に坐したるなり。
三 その狀は電光のごとく輝き、その衣は雪のごとく白し。
四 守のども彼を懼れたれば、戰きて死人の如くなりぬ。
五 御使、こたへて女たちに言ふ『なんぢら懼るな、我なんぢらが十字架につけられ給ひしイエスを尋ぬるを知る。
六 此處には在さず、その言へる如く甦へり給へり。來りてその置かれ給ひし處を見よ。
七 かつ速かに往きて、その弟子たちに「彼は死人の中より甦へり給へり。よ、汝らに先だちてガリラヤに往き給ふ、彼處にて謁ゆるを得ん」とげよ。よ、汝らに之をげたり』
八 女たち懼と大なる歡喜とをもて、速かに墓を去り、弟子たちに知らせんとて走りゆく。
ルカ傳iケ書第二四章
一 一週の初の日、朝まだき、女たち備へたる香料を携へて墓にゆく。
二 然るに石の旣に墓より轉ばし除けあるを見、
三 內に入りたるに主イエスの屍體を見ず、
四 これが爲に狼狽へをりしに、よ、輝ける衣をたる二人の人その傍らに立てり。
五 女たち懼れて面を地に伏せたれば、その二人のいふ『なんぞ死にしどもの中に生けるを尋ぬるか、
六 彼は此處に在さず、甦へり給へり。尙ガリラヤに居給へるとき、如何に語り給ひしかを憶ひ出でよ。
七 ち「人の子は必ず罪ある人の手に付され、十字架につけられ、かつ三日めに甦へるべし」と言ひ給へり』
八 爰に彼らその御言を憶ひ出で、
九 墓より歸りて、凡て此等のことを十一弟子および凡て他の弟子たちにぐ。
 この女たちはマダダラのマリヤ、ヨハンナ及びヤコブの母マリヤなり、而して彼らと共に在りし他の女たちも、之を使徒たちにげたり。
一一 使徒たちは其の言を妄語と思ひて、信ぜず。
ヨハネ傳iケ書第二〇章
一 一週のはじめの日、朝まだき暗きうちにマグダラのマリヤ、墓にきたりて墓より石の取除けあるを見る。
二 乃ち走りゆき、シモンペテロとイエスの愛し給ひしかの弟子との許に到りて言ふ『たれか主を墓より取去れり、何處に置きしか我ら知らず』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一六章
一 さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。
二 そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。
三 そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。
四 ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。
五 墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。
六 するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。
七 今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。
八 女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。
マタイによる福音書第二八章
一 さて、安息日が終って、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリヤとほかのマリヤとが、墓を見にきた。
二 すると、大きな地震が起った。それは主の使が天から下って、そこにきて石をわきへころがし、その上にすわったからである。
三 その姿はいなずまのように輝き、その衣は雪のように真白であった。
四 見張りをしていた人たちは、恐ろしさの余り震えあがって、死人のようになった。
五 この御使は女たちにむかって言った、「恐れることはない。あなたがたが十字架におかかりになったイエスを捜していることは、わたしにわかっているが、
六 もうここにはおられない。かねて言われたとおりに、よみがえられたのである。さあ、イエスが納められていた場所をごらんなさい。
七 そして、急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい、『イエスは死人の中からよみがえられた。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお会いできるであろう』。あなたがたに、これだけ言っておく」。
八 そこで女たちは恐れながらも大喜びで、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った。
ルカによる福音書第二四章
一 週の初めの日、夜明け前に、女たちは用意しておいた香料を携えて、墓に行った。
二 ところが、石が墓からころがしてあるので、
三 中にはいってみると、主イエスのからだが見当らなかった。
四 そのため途方にくれていると、見よ、輝いた衣を着たふたりの者が、彼らに現れた。
五 女たちは驚き恐れて、顔を地に伏せていると、このふたりの者が言った、「あなたがたは、なぜ生きた方を死人の中にたずねているのか。
六 そのかたは、ここにはおられない。よみがえられたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あなたがたにお話しになったことを思い出しなさい。
七 すなわち、人の子は必ず罪人らの手に渡され、十字架につけられ、そして三日目によみがえる、と仰せられたではないか」。
八 そこで女たちはその言葉を思い出し、
九 墓から帰って、これらいっさいのことを、十一弟子や、その他みんなの人に報告した。
一〇 この女たちというのは、マグダラのマリヤ、ヨハンナ、およびヤコブの母マリヤであった。彼女たちと一緒にいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。
一一 ところが、使徒たちには、それが愚かな話のように思われて、それを信じなかった。
ヨハネによる福音書第二〇章
一 さて、一週の初めの日に、朝早くまだ暗いうちに、マグダラのマリヤが墓に行くと、墓から石がとりのけてあるのを見た。
二 そこで走って、シモン・ペテロとイエスが愛しておられた、もうひとりの弟子のところへ行って、彼らに言った、「だれかが、主を墓から取り去りました。どこへ置いたのか、わかりません」。
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