四つの福音書による一つのイエス物語313
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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313
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最後の言葉を発して死ぬ
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
15;33〜38 27;45〜53 23;44〜46 19;28〜30
第一五章三三〜三八節 第二七章四五〜五三節 第二三章四四〜四六節 第一九章二八〜三〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一五章
三三 第十二時より三時に至るまでく地のうへ暗なりぬ
三四 第三時にイエス大聲に呼りエリ、エリ、ラマサバクタニと曰これを譯ば吾~わが~何ぞ我を遺たまふ乎と云るなり
三五 傍らに立たるのうち或人これを聞て彼はエリヤを呼なりと曰
三六 一人はしり往て絨をとり醋を漬せ之を葦に束て彼に飮しめ曰けるは俟エリヤ來りて彼を救ふや否ころむべし
三七 イエス大なる聲を發て氣絶
三八 殿の上より下まで裂て二と爲り
馬太傳iケ書第二七章
四五 晝の十二時より三時に至るまで其地あまねくK暗となる
四六 三時ごろイエス大聲にエリ、エリ、ラマサバクタニと呼りぬ之を譯ば吾~わが~なんぞ我を遺たまふ乎と云る也
四七 旁らに立たるのうち或人これを聞て彼はエリヤを呼るなりと曰
四八 其中の一人直に走り行て絨をとり醋を含せ之を葦につけてイエスに飮しむ
四九 餘人曰けるは俟エリヤ來りて彼を救ふや否試べし
五十 イエスまた大聲に呼りてたり
五一 殿の上より下まで裂て二となり又地ふるひ磐さけ
五二 墓ひらけてに寢たる聖徒の身おはく甦へりイエスの甦れる後
五三 墓を出て聖城に入おほくの人に現れたり
路加傳iケ書第二三章
四四 時約そ十二時ごろより三時に至まで遍く地のうへK暗と爲れり
四五 日光くらみ殿の內の眞中より裂たり
四六 イエス大聲に呼り曰けるは父よ我靈を爾の手に託く如此いひて氣絶ゆ
約翰傳iケ書第一九章
二八 斯てイエスの事の已に竟れるをしり聖書に應せん爲に我渴といへり
二九 此處に醋の滿たる皿ありしかば兵卒ども絨を醋に漬し牛膝草に束て其口に予ふ
三十 イエス醋を受し後いひけるは事竟ぬ首を俯て靈を付せり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一五章
三三 晝の十二時に、地のうへく暗くなりて、三時に及ぶ。
三四 三時にイエス大聲に『エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ』と呼り給ふ。之を釋けば、わが~、わが~、なんぞ我を見棄て給ひし、との意なり。
三五 傍らに立つのうち或る人これを聞きて言ふ『よ、エリヤを呼ぶなり』
三六 一人はしり往きて、綿に酸き葡萄酒を含ませて葦につけ、イエスに飮しめて言ふ『待て、エリヤ來りて、彼を下すや否や、我ら之を見ん』
三七 イエス大聲を出して息え給ふ。
三八 聖所の幕、上より下まで裂けて二つとなりたり。
マタイ傳iケ書第二七章
四五 晝の十二時より地の上あまねく暗くなりて、三時に及ぶ。
四六 三時ごろイエス大聲に叫びて『エリ、エリ、レマ、サバクタニ』と言ひ給ふ。わが~、わが~、なんぞ我を見棄て給ひしとの意なり。
四七 そこに立つのうち或る人これを聞きて『彼はエリヤを呼ぶなり』と言ふ。
四八 直ちにその中の一人はしりゆきて綿をとり、酸き葡萄酒を含ませ、葦につけてイエスに飮ましむ。
四九 その他のども言ふ『まて、エリヤ來りて彼を救ふや否や、我ら之を見ん』
 イエス再び大聲に呼はりて息えたまふ。
五一 よ、聖所の幕、上より下まで裂けて二つとなり、また地震ひ、磐さけ、
五二 墓ひらけて、眠りたる聖徒の屍體おほく活きかへり、
五三 イエスの復活ののち墓をいで、聖なるに入りて、多くの人に現れたり。
ルカ傳iケ書第二三章
四四 晝の十二時ごろ、日、光をうしなひ、地のうへく暗くなりて、三時に及び、
四五 聖所の幕、眞中より裂けたり。
四六 イエス大聲に呼はりて言ひたまふ『父よ、わが靈を御手にゆだぬ』斯く言ひて息えたまふ。
ヨハネ傳iケ書第一九章
二八 この後イエス萬の事の終りたるを知りて聖書の全うせられん爲に『われ渴く』と言ひ給ふ。
二九 ここに酸き葡萄酒の滿ちたるあり、その葡萄酒のふくみたる綿をヒソプにけてイエスの口に差附く。
 イエスその葡萄酒をうけて後いひ給ふ『事畢りぬ』遂に首をたれて靈をわたし給ふ。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一五章
三三 昼の十二時になると、全地は暗くなって、三時に及んだ。
三四 そして三時に、イエスは大声で、「エロイ、エロイ、ラマ、サバクタニ」と叫ばれた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
三五 すると、そばに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「そら、エリヤを呼んでいる」。
三六 ひとりの人が走って行き、海綿に酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとして言った、「待て、エリヤが彼をおろしに来るかどうか、見ていよう」。
三七 イエスは声高く叫んで、ついに息をひきとられた。
三八 そのとき、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。
マタイによる福音書第二七章
四五 さて、昼の十二時から地上の全面が暗くなって、三時に及んだ。
四六 そして三時ごろに、イエスは大声で叫んで、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と言われた。それは「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。
四七 すると、そこに立っていたある人々が、これを聞いて言った、「あれはエリヤを呼んでいるのだ」。
四八 するとすぐ、彼らのうちのひとりが走り寄って、海綿を取り、それに酢いぶどう酒を含ませて葦の棒につけ、イエスに飲ませようとした。
四九 ほかの人々は言った、「待て、エリヤが彼を救いに来るかどうか、見ていよう」。
五〇 イエスはもう一度大声で叫んで、ついに息をひきとられた。
五一 すると見よ、神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。また地震があり、岩が裂け、
五二 また墓が開け、眠っている多くの聖徒たちの死体が生き返った。
五三 そしてイエスの復活ののち、墓から出てきて、聖なる都にはいり、多くの人に現れた。
ルカによる福音書第二三章
四四 時はもう昼の十二時ごろであったが、太陽は光を失い、全地は暗くなって、三時に及んだ。
四五 そして聖所の幕がまん中から裂けた。
四六 そのとき、イエスは声高く叫んで言われた、「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます」。こう言ってついに息を引きとられた。
ヨハネによる福音書第一九章
二八 そののち、イエスは今や万事が終ったことを知って、「わたしは、かわく」と言われた。それは、聖書が全うされるためであった。
二九 そこに、酢いぶどう酒がいっぱい入れてある器がおいてあったので、人々は、このぶどう酒を含ませた海綿をヒソプの茎に結びつけて、イエスの口もとにさし出した。
三〇 すると、イエスはそのぶどう酒を受けて、「すべてが終った」と言われ、首をたれて息をひきとられた。
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