四つの福音書による一つのイエス物語310
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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310
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十字架につけられる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
15;22〜23 27;33〜34 23;33 19;18〜22
第一五章二二〜二三節 第二七章三三〜三四節 第二三章三三節 第一九章一八〜二二節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一五章
二二 イエスをゴルゴダ譯ば髑髏と云る所に携來り
二三 沒藥を酒に和て飮せんと爲りしに之を受ざりき
馬太傳iケ書第二七章
三三 彼等ゴルゴタ譯ば髑髏といへる處に來り
三四 醋に膽を和せてイエスに飮せんと爲たりしにて飮ことをせざりき
路加傳iケ書第二三章
三三 彼等クラニオンと云る所に至りて此にイエス及び罪人を十字架に釘ぬ一人をイエスの右一人を左に置
約翰傳iケ書第一九章
十八 此所にて彼を十字架に釘たり別に二人のかれと偕に十字架に釘らる一人は右一人は左イエス中に居り
十九 ピラト罪標を十字架につけ此はユダヤ人の王なるナザレのイエスなりと書たり
二十 許多のユダヤ人この罪標を讀り蓋イエスを十字架に釘し所は京城に近ければ也其標はヘブル ギリシヤ ロマの言にて書たり
二一 ユダヤ人の祭司の長等ピラトに曰けるはユダヤ人の王と書す勿れ自らユダヤ人の王なりと言しと書すべし
二二 ピラト答けるは我書し所すでに書たり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一五章
二二 イエスをゴルゴタ、釋けば髑髏といふ處に連れ往けり。
二三 斯て沒藥を混ぜたる葡萄酒を與へたれど、受け給はず。
マタイ傳iケ書第二七章
三三 斯てゴルゴタといふ處、髑髏の地にいたり、
三四 苦味を混ぜたる葡萄酒を飮ませんとしたるに、嘗めて、飮まんとし給はず。
ルカ傳iケ書第二三章
三三 髑髏といふ處に到りて、イエスを十字架につけ、また惡人の一人をその右、一人をその左に十字架につく。
ヨハネ傳iケ書第一九章
一八 其處にて彼らイエスを十字架につく。又ほかに二人のをともに十字架につけ、一人を右に、一人を左に、イエスを眞中に置けり。
一九 ピラト罪標を書きて十字架の上に揭ぐ『ユダヤ人の王、ナザレのイエス』と記したり。
 イエスを十字架につけし處はに近ければ、多くのユダヤ人この標を讀む、標はヘブル、ロマ、ギリシヤの語にて記したり。
二一 爰にユダヤ人の祭司長らピラトに言ふ『ユダヤ人の王と記さず、我はユダヤ人の王なりと自稱せりと記せ』
二二 ピラト答ふ『わが記したることは記したるままに』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一五章
二二 そしてイエスをゴルゴタ、その意味は、されこうべ、という所に連れて行った。
二三 そしてイエスに、没薬をまぜたぶどう酒をさし出したが、お受けにならなかった。
マタイによる福音書第二七章
三三 そして、ゴルゴタ、すなわち、されこうべの場、という所にきたとき、
三四 彼らはにがみをまぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはそれをなめただけで、飲もうとされなかった。
ルカによる福音書第二三章
三三 されこうべと呼ばれている所に着くと、人々はそこでイエスを十字架につけ、犯罪人たちも、ひとりは右に、ひとりは左に、十字架につけた。
ヨハネによる福音書第一九章
一八 彼らはそこで、イエスを十字架につけた。イエスをまん中にして、ほかのふたりの者を両側に、イエスと一緒に十字架につけた。
一九 ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上にかけさせた。それには「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」と書いてあった。
二〇 イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がこの罪状書きを読んだ。それはヘブル、ローマ、ギリシヤの国語で書いてあった。
二一 ユダヤ人の祭司長たちがピラトに言った、「『ユダヤ人の王』と書かずに、『この人はユダヤ人の王と自称していた』と書いてほしい」。
二二 ピラトは答えた、「わたしが書いたことは、書いたままにしておけ」。
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