四つの福音書による一つのイエス物語307
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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307
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「私に対して何の権限もない」と答える
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
19;8〜12
第一九章八〜一二節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第一九章
八 ピラト此言を聞てu懼る
九 また公廳に入てイエスに曰けるは爾何處のぞイエス答せざりき
十 ピラト彼に曰けるは我に答ざるか我なんぢを十字架に釘る權威あり亦なんぢを釋す權威あり此事を知ざる乎
十一 イエス答けるは爾上より權威を賜らずば我に對て權威ある事なし是故に我を爾に解しゝ者の罪尤も大なり
十二 此後ピラト彼を釋さんと謀る然どもユダヤ人さけび曰けるは若これを釋さばカイザルに忠臣ならず凡て自己を王となすはカイザルに叛くなり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第一九章
八 ピラトこの言をききておそれ、
九 再び官邸に入りてイエスに言ふ『なんぢは何歲よりぞ』イエス答をなし給はず。
 ピラト言ふ『われに語らぬか、我になんぢを赦す權威あり、また十字架につくる權威あるを知らぬか』
一一 イエス答へ給ふ『なんぢ上より賜はらずば、我に對して何の權威もなし。この故に我をなんぢに付ししの罪は更に大なり』
一二 斯においてピラト、イエスを赦さんことを力む。然れどユダヤ人さけびて言ふ『なんぢ若しこの人を赦さば、カイザルの忠臣にあらず、凡そおのれを王となすはカイザルに叛くなり』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第一九章
八 ピラトがこの言葉を聞いたとき、ますますおそれ、
九 もう一度官邸にはいってイエスに言った、「あなたは、もともと、どこからきたのか」。しかし、イエスはなんの答もなさらなかった。
一〇 そこでピラトは言った、「何も答えないのか。わたしには、あなたを許す権威があり、また十字架につける権威があることを、知らないのか」。
一一 イエスは答えられた、「あなたは、上から賜わるのでなければ、わたしに対してなんの権威もない。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪は、もっと大きい」。
一二 これを聞いて、ピラトはイエスを許そうと努めた。しかしユダヤ人たちが叫んで言った、「もしこの人を許したなら、あなたはカイザルの味方ではありません。自分を王とするものはすべて、カイザルにそむく者です」。
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