四つの福音書による一つのイエス物語306
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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306
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茨の冠を被せられる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
15;16〜19 27;27〜30 19;1〜7
第一五章一六〜一九節 第二七章二七〜三〇節 第一九章一〜七節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一五章
十六 兵卒等これを公廳に携ゆき全營を呼集め
十七 彼に紫の袍をきせ棘にて冕を編て冠しめたり
十八 斯て曰けるはユダヤ人の王安かれ
十九 また葦を以て其首を擊かつ唾しきて拜しぬ
馬太傳iケ書第二七章
二七 方伯の兵卒イエスを携へ公廳に至り全營を其もとに集め
二八 彼の衣を色の袍を着せ
二九 棘にて冕を編其首に冠しめ又葦を右手に持せ且その前にづき嘲弄して曰けるはユダヤ人の王安かれ
三十 また彼に唾し其葦を取て其首を擊り
約翰傳iケ書第一九章
一 其時ピラト イエスを取て鞭つ
二 兵卒ども棘にて冕を編かれの首に冠しめ又紫の袍を衣せて
三 曰けるはユダヤ人の王やすかれ斯て掌にて之を打り
四 ピラトまた外に出て彼等に曰けるは我かれに就て罪あるを見ず之を知せんとて爾曹に曳出せり
五 イエス棘の冕をかぶり紫の袍を衣て外に出ピラト彼等に曰けるは觀よ此その人なり
六 祭司の長等と下吏これを見て十字架に釘よ十字架に釘よと喊叫いふピラト彼等に曰けるは爾曹かれを取て十字架に釘よ我かれに就て罪あるを見ざる也
七 ユダヤ人かれに答けるは我に律法あり其律法に從へば彼は死べきなり蓋かれ自己を~の子と爲ばなり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一五章
一六 兵卒どもイエスを官邸の中庭に連れゆき、全隊を呼び集めて、
一七 彼に紫色の衣をせ、茨の冠冕を編みて冠らせ、
一八 『ユダヤ人の王、安かれ』と禮をなし始め、
一九 また葦にて、其の首をたたき、唾し、づきて拜せり。
マタイ傳iケ書第二七章
二七 ここに總督の兵卒ども、イエスを官邸につれゆき、全隊を御許に集め、
二八 その衣をはぎて、緋色の上衣をきせ、
二九 茨の冠冕を編みて、その首に冠らせ、葦を右の手にもたせ且その前にづき、嘲弄して言ふ『ユダヤ人の王、安かれ』
 また之に唾し、かの葦をとりて其の首を叩く。
ヨハネ傳iケ書第一九章
一 爰にピラト、イエスをとりて鞭つ。
二 兵卒ども茨にて冠冕をあみ、その首にかむらせ、紫色の上衣をきせ、
三 御許に進みて言ふ『ユダヤ人の王やすかれ』而して手掌にて打てり。
四 ピラト再び出でて人にいふ『よ、この人を汝らに引出す、これは何の罪あるをも我が見ぬことを汝らの知らん爲なり』
五 爰にイエス茨の冠冕をかむり、紫色の上衣をきて出で給へば、ピラト言ふ『よ、この人なり』
六 祭司長下役どもイエスを見て叫びいふ『十字架につけよ、十字架につけよ』ピラト言ふ『なんぢら自らとりて十字架につけよ、我は彼に罪あるを見ず』
七 ユダヤ人こたふ『我らに律法あり、その律法によれば死に當るべきなり、彼はおのれを~の子となせり』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一五章
一六 兵士たちはイエスを、邸宅、すなわち総督官邸の内に連れて行き、全部隊を呼び集めた。
一七 そしてイエスに紫の衣を着せ、いばらの冠を編んでかぶらせ、
一八 「ユダヤ人の王、ばんざい」と言って敬礼をしはじめた。
一九 また、葦の棒でその頭をたたき、つばきをかけ、ひざまずいて拝んだりした。
マタイによる福音書第二七章
二七 それから総督の兵士たちは、イエスを官邸に連れて行って、全部隊をイエスのまわりに集めた。
二八 そしてその上着をぬがせて、赤い外套を着せ、
二九 また、いばらで冠を編んでその頭にかぶらせ、右の手には葦の棒を持たせ、それからその前にひざまずき、嘲弄して、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。
三〇 また、イエスにつばきをかけ、葦の棒を取りあげてその頭をたたいた。
ヨハネによる福音書第一九章
一 そこでピラトは、イエスを捕え、むちで打たせた。
二 兵卒たちは、いばらで冠をあんで、イエスの頭にかぶらせ、紫の上着を着せ、
三 それから、その前に進み出て、「ユダヤ人の王、ばんざい」と言った。そして平手でイエスを打ちつづけた。
四 するとピラトは、また出て行ってユダヤ人たちに言った、「見よ、わたしはこの人をあなたがたの前に引き出すが、それはこの人になんの罪も見いだせないことを、あなたがたに知ってもらうためである」。
五 イエスはいばらの冠をかぶり、紫の上着を着たままで外へ出られると、ピラトは彼らに言った、「見よ、この人だ」。
六 祭司長たちや下役どもはイエスを見ると、叫んで「十字架につけよ、十字架につけよ」と言った。ピラトは彼らに言った、「あなたがたが、この人を引き取って十字架につけるがよい。わたしは、彼にはなんの罪も見いだせない」。
七 ユダヤ人たちは彼に答えた、「わたしたちには律法があります。その律法によれば、彼は自分を神の子としたのだから、死罪に当る者です」。
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