四つの福音書による一つのイエス物語304
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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304
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ヘロデに引き渡され尋問を受ける
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
23;6〜12
第二三章六〜一二節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
路加傳iケ書第二三章
六 ピラト ガリラヤと聞て此人はガリラヤ人なる乎を問
七 其ヘロデの所管なるを知て之をヘロデに遣る此時ヘロデもエルサレムに在しが
八 イエスを見て甚だ喜べり蓋各樣なる彼が風聲を聞て久く之を見んことを欲ひ且その奇異なる事を見んと望ゐたれば也
九 是故に多言を以て問けれどもイエス何をも答ざりき
十 祭司の長學者たち側に立て切に彼を訟ぬ
十一 ヘロデその士卒と共に彼を藐視嘲弄して華服を衣せ復ピラトに遣れり
十二 ピラトとヘロデ先には仇たりしが當日たがひに親を爲り
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ルカ傳iケ書第二三章
六 ピラト之を聞き、そのガリラヤ人なるかを問ひて、
七 ヘロデの權下のなるを知り、ヘロデ此の頃エルサレムに居たれば、イエスをその許に送れり。
八 ヘロデ、イエスを見て甚く喜ぶ。これは彼に就きて聞く所ありたれば、久しく逢はんことを欲し、何をか徵を行ふを見んと望み居たる故なり。
九 斯て多くの言をもて問ひたれど、イエス何をも答へ給はず。
 祭司長ら起ちて激甚くイエスを訴ふ。
一一 ヘロデその兵卒と共にイエスを侮り、かつ嘲弄し、華美なる衣をせて、ピラトに返す。
一二 ヘロデとピラトと前には仇たりしが、此の日たがひに親しくなれり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ルカによる福音書第二三章
六 ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ね、
七 そしてヘロデの支配下のものであることを確かめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスを送りとどけた。
八 ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たいと長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。
九 それで、いろいろと質問を試みたが、イエスは何もお答えにならなかった。
一〇 祭司長たちと律法学者たちとは立って、激しい語調でイエスを訴えた。
一一 またヘロデはその兵卒どもと一緒になって、イエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はなやかな着物を着せてピラトへ送りかえした。
一二 ヘロデとピラトとは以前は互に敵視していたが、この日に親しい仲になった。
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