四つの福音書による一つのイエス物語302
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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302
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ユダくびれる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
27;3〜10
第二七章三〜一〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬太傳iケ書第二七章
三 是に於てイエスを賣しユダ彼の死に定られしを見て悔その銀三十を祭司の長長老等に返して
四 曰けるは無辜の血を付し我は罪を犯しぬ彼等いひけるは我に於て何ぞ與らんや爾みづから當べし
五 ユダその銀を殿に投棄て其處を去ゆきて自ら縊たり
六 祭司の長等この銀を取て曰けるは此は血の價なれば賽錢の箱に入べからずとて
七 共に謀この銀をもて旅客を葬る爲に陶工の田を買り
八 故に其田は今に至るまで血田と稱らる
九 是に於て預言エレミヤに託いはれたる言にイスラエルの民にられられしの價の銀三十を取
十 主の我に命ぜし如く陶工の田を買ぬと有に應へり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マタイ傳iケ書第二七章
三 爰にイエスを賣りしユダ、その死に定められ給ひしを見て悔い、祭司長長老らに、かの三十の銀をかへして言ふ、
四 『われ罪なきの血を賣りて罪を犯したり』彼らいふ『われら何ぞ干らん、汝みづから當るべし』
五 彼その銀を聖所に投げすてて去り、ゆきて自ら縊れたり。
六 祭司長ら、その銀をとりて言ふ『これは血の値なれば宮の庫に納むるは可からず』
七 斯て相議り、その銀をもて陶工の畑を買ひ、旅人らの墓地とせり。
八 之によりて其の畑は、今に至るまで血の畑と稱へらる。
九 ここに預言エレミヤによりて云はれたる言は成就したり。曰く『かくて彼ら値積られしもの、ちイスラエルの子らが値積りしの價の銀三十をとりて、
 陶工の畑の代に之を與へたり。主の我に命じ給ひし如し』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マタイによる福音書第二七章
三 そのとき、イエスを裏切ったユダは、イエスが罪に定められたのを見て後悔し、銀貨三十枚を祭司長、長老たちに返して
四 言った、「わたしは罪のない人の血を売るようなことをして、罪を犯しました」。しかし彼らは言った、「それは、われわれの知ったことか。自分で始末するがよい」。
五 そこで、彼は銀貨を聖所に投げ込んで出て行き、首をつって死んだ。
六 祭司長たちは、その銀貨を拾いあげて言った、「これは血の代価だから、宮の金庫に入れるのはよくのない」。
七 そこで彼らは協議の上、外国人の墓地にするために、その金で陶器師の畑を買った。
八 そのために、この畑は今日まで血の畑と呼ばれている。
九 こうして預言者エレミヤによって言われた言葉が、成就したのである。すなわち、「彼らは、値をつけられたもの、すなわち、イスラエルの子らが値をつけたものの代価、銀貨三十を取って、
一〇 主がお命じになったように、陶器師の畑の代価として、その金を与えた」。
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