四つの福音書による一つのイエス物語299
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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299
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イエスを知らないとペテロ言う
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
14;66〜68 26;69〜70 22;55〜57 18;15〜18
第一四章六六〜六八節 第二六章六九〜七〇節 第二二章五五〜五七節 第一八章一五〜一八節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一四章
六六 ペテロ下庭に在しに祭司の長のある婢きたりて
六七 其火にまり居を見つらつら彼をて曰けるは爾もナザレのイエスと偕に在し
六八 ペテロ肯はずして曰けるは我これを知ず亦なんぢが言ところの事を識得ざるなり斯て庭門に出ければ鷄鳴ぬ
馬太傳iケ書第二六章
六九 ペテロ庭に坐ゐけるに或婢きたりて爾もガリラヤのイエスと偕なりと曰ければ
七十 ペテロ凡の人の前に此言を肯はずして我なんぢが言ところを知ずと曰り
路加傳iケ書第二二章
五五 人中庭のうちに火を燒て同に坐しければペテロも其中に坐したり
五六 或婢かれが火の傍に坐せるを見これを熟て曰けるは此人も彼と偕に在し
五七 ペテロ承ずして女よ我これを識ずと云り
約翰傳iケ書第一八章
十五 シモンペテロと外に一人の弟子イエスに從へり此一人の弟子は祭司の長の識ところのにてイエスと偕に祭司の長の庭に入
十六 ペテロは門外に立り祭司の長の識ところの弟子出て門を守る婢にてペテロをともなひ入
十七 是に於て門を守る婢ペテロに曰けるは爾も此人の弟子の一人ならず乎ペテロ然ずと曰
十八 僕等と下吏たち寒に因て炭を燒その處に立て煖まるペテロも彼等と偕に立て煖れり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一四章
六六 ペテロ下にて中庭にをりしに、大祭司の婢女の一人きたりて、
六七 ペテロの火に煖まりをるを見、これに目を注めて『なんぢも、かのナザレ人イエスと偕に居たり』と言ふ。
六八 ペテロ肯はずして『われは汝の言ふことを知らず、又その意をも悟らず』と言ひて庭口に出でたり。
マタイ傳iケ書第二六章
六九 ペテロ外にて中庭に坐しゐたるに、一人の婢女きたりて言ふ『なんぢも、ガリラヤ人イエスと偕にゐたり』
 かれ凡ての人の前に肯はずして言ふ『われは汝の言ふことを知らず』
ルカ傳iケ書第二二章
五五 人、中庭のうちに火を焚きて、共に坐したれば、ペテロもその中に坐す。
五六 或る婢女ペテロの火の光を受けて坐し居るを見、これに目を注ぎて言ふ『この人も彼と偕にゐたり』
五七 ペテロ肯はずして言ふ『をんなよ、我は彼を知らず』
ヨハネ傳iケ書第一八章
一五 シモンペテロ及び他の一人の弟子、イエスに從ふ。この弟子は大祭司に知られたるなれば、イエスと共に大祭司の庭に入りしが、
一六 ペテロは門の外に立てり。ここに大祭司に知られたる彼の弟子いでて、門を守る女に物言ひてペテロを連れ入れしに、
一七 門を守る婢女、ペテロに言ふ『なんぢも彼の人の弟子の一人なるか』かれ言ふ『然らず』
一八 時寒くして僕下役ども炭火を熾し、その傍らに立ちて煖まり居りしに、ペテロも共に立ちて煖まりゐたり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一四章
六六 ペテロは下で中庭にいたが、大祭司の女中のひとりがきて、
六七 ペテロが火にあたっているのを見ると、彼を見つめて、「あなたもあのナザレ人イエスと一緒だった」と言った。
六八 するとペテロはそれを打ち消して、「わたしは知らない。あなたの言うことがなんの事か、わからない」と言って、庭口の方に出て行った。
マタイによる福音書第二六章
六九 ペテロは外で中庭にすわっていた。するとひとりの女中が彼のところにきて、「あなたもあのガリラヤ人イエスと一緒だった」と言った。
七〇 するとペテロは、みんなの前でそれを打ち消して言った、「あなたが何を言っているのか、わからない」。
ルカによる福音書第二二章
五五 人々は中庭のまん中に火をたいて、一緒にすわっていたので、ペテロもその中にすわった。
五六 すると、ある女中が、彼が火のそばにすわっているのを見、彼を見つめて、「この人もイエスと一緒にいました」と言った。
五七 ペテロはそれを打ち消して、「わたしはその人を知らない」と言った。
ヨハネによる福音書第一八章
一五 シモン・ペテロともうひとりの弟子とが、イエスについて行った。この弟子は大祭司の知り合いであったので、イエスと一緒に大祭司の中庭にはいった。
一六 しかし、ペテロは外で戸口に立っていた。すると大祭司の知り合いであるその弟子が、外に出て行って門番の女に話し、ペテロを内に入れてやった。
一七 すると、この門番の女がペテロに言った、「あなたも、あの人の弟子のひとりではありませんか」。ペテロは「いや、そうではない」と答えた。
一八 僕や下役どもは、寒い時であったので、炭火をおこし、そこに立ってあたっていた。ペテロもまた彼らに交じり、立ってあたっていた。
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