四つの福音書による一つのイエス物語290
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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290
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「財布と袋を持ち剣を買え」と弟子たちに言う
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
22;35〜38
第二二章三五〜三八節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
路加傳iケ書第二二章
三五 又彼等に曰けるは我財布、旅袋、履をも帶せで爾曹を遣しとき事の缺たること有しや答けるは無りき
三六 イエス彼等に曰けるは今は財布あるは之をとれ旅袋あるも亦然り此等を有ぬは衣服を賣て刃を買べし
三七 我なんぢらにん彼は罪人の中に算られて有しと錄されたる此言は我に於て應らるべし蓋われを指たる事は必ず成らる可れば也
三八 彼ら曰けるは主見よ此に二の刃ありイエス彼等に曰けるは足り
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ルカ傳iケ書第二二章
三五 斯て弟子たちに言ひ給ふ『財布鞋をも持たせずして、汝らを遣ししとき、缺けたる所ありしや』彼ら言ふ『無かりき』
三六 イエス言ひ給ふ『されど今は財布あるは之を取れ、囊あるも然すべし。また劒なきは衣を賣りて劒を買へ。
三七 われ汝らにぐ「かれは愆人と共に數へられたり」と錄されたるは、我が身に成遂げらるべし。凡そ我に係はる事は成遂げらるればなり』
三八 弟子たち言ふ『主、見たまへ、玆に劒二振あり』イエス言ひたまふ『足れり』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ルカによる福音書第二二章
三五 そして彼らに言われた、「わたしが財布も袋もくつも持たせずにあなたがたをつかわしたとき、何かこまったことがあったか」。彼らは、「いいえ、何もありませんでした」と答えた。
三六 そこで言われた、「しかし今は、財布のあるものは、それを持って行け。袋も同様に持って行け。また、つるぎのない者は、自分の上着を売って、それを買うがよい。
三七 あなたがたに言うが、『彼は罪人のひとりに数えられた』としるしてあることは、わたしの身に成しとげられねばならない。そうだ、わたしに係わることは成就している」。
三八 弟子たちが言った、「主よ、ごらんなさい、ここにつるぎが二振りございます」。イエスは言われた、「それでよい」。
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