四つの福音書による一つのイエス物語288
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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288
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「あなたたちは皆つまづき散らされる」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
14;26〜28 26;30〜32 16;31〜33
第一四章二六〜二八節 第二六章三〇〜三二節 第一六章三一〜三三節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一四章
二六 彼等歌を詠て橄欖山に往り
二七 イエス彼等に曰けるは今夜なんぢら皆われに就てかん蓋われ牧を擊ん其とき綿羊散べしと錄されたれば也
二八 然ど我よみがへりて後なんぢらに先ちガリラヤに往べし
馬太傳iケ書第二六章
三十 かれら歌を謳てのち橄欖山に往り
三一 其時イエス彼等に曰けるは今夜なんぢら皆われに就てかん蓋われ牧を擊ば群の綿羊ちらんと錄されたれば也
三二 然ど我甦りて後爾曹に先ちガリラヤに往べし
約翰傳iケ書第一六章
三一 イエス彼等に答けるは今なんぢら信ずる乎
三二 時まさに至ん今いたりぬ爾曹散て各人その屬する所に往た我を一人のこさん然ど我獨をるに非ず父われと偕に在なり
三三 われ此事を爾曹に語しは爾曹をして我に在て平安を得させんが爲なり爾曹世に在ては患を受ん然ど懼る勿れ我すでに世に勝り
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一四章
二六 かれら讚美をうたひて後、オリブ山に出でゆく。
二七 イエス弟子たちに言ひ給ふ『なんぢら皆かん、それは「われ牧羊を打たん、然らば羊、散るべし」と錄されたるなり。
二八 然れど我よみがへりて後、なんぢらに先だちてガリラヤに往かん』
マタイ傳iケ書第二六章
 彼ら讚美を歌ひて後オリブ山に出でゆく。
三一 ここにイエス弟子たちに言ひ給ふ『今宵なんぢら皆われに就きてかん「われ牧羊を打たん、さらば群の羊散るべし」と錄されたるなり。
三二 されど我よみがへりて後、なんぢらに先立ちてガリラヤに往かん』
ヨハネ傳iケ書第一六章
三一 イエス答へ給ふ『なんぢら今、信ずるか。
三二 よ、なんぢら散されて各自おのが處にゆき、我をひとり遺すとき到らん、否すでに到れり。然れど我ひとり居るにあらず、父われと偕に在すなり。
三三 此等のことを汝らに語りたるは、汝ら我に在りて平安を得んが爲なり。なんぢら世にありては患あり、然れど雄しかれ。我すでに世に勝てり』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一四章
二六 彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。
二七 そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「あなたがたは皆、わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊は散らされるであろう』と書いてあるからである。
二八 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。
マタイによる福音書第二六章
三〇 彼らは、さんびを歌った後、オリブ山へ出かけて行った。
三一 そのとき、イエスは弟子たちに言われた、「今夜、あなたがたは皆わたしにつまずくであろう。『わたしは羊飼を打つ。そして、羊の群れは散らされるであろう』と、書いてあるからである。
三二 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先にガリラヤへ行くであろう」。
ヨハネによる福音書第一六章
三一 イエスは答えられた、「あなたがたは今信じているのか。
三二 見よ、あなたがたは散らされて、それぞれ自分の家に帰り、わたしをひとりだけ残す時が来るであろう。いや、すでにきている。しかし、わたしはひとりでいるのではない。父がわたしと一緒におられるのである。
三三 これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」。
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