四つの福音書による一つのイエス物語246
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
*
246
*
終わりの前の兆しを予め告げる
*
上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
13;3〜8 24;3〜14 21;7〜11
第一三章三〜八節 第二四章三〜一四節 第二一章七〜一一節
*
英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一三章
三 イエス橄欖山にて殿に對ひ坐し給しにペテロ ヤコブ ヨハネ アンデレ竊に問けるは
四 何の時此事あるや又すべて此事の成ん時は如何なる兆あるや我に告たまへ
五 イエス答て彼等に曰けるは人に欺かれざるやう愼めよ
六 蓋おほくの人わが名を來り我はキリストなりと曰て多の人を欺くべし
七 爾曹戰と戰の風聲を聞とき懼る勿れ是等の事はみな有べきなり然ども未期は未だ至らず
八 民は起て民をせめ國は國を攻また隨在に地震あり饑饉、變亂あり是等は苦の始なり
馬太傳iケ書第二四章
三 イエス橄欖山に坐し給へるとき弟子ひそかに來りて曰けるは何の時このこと有や又爾の來る兆と世の末の兆は如何なるぞや我たまへ
四 イエス答て彼等に曰けるは爾曹人に欺かれざるやう愼よ
五 蓋おほくの人わが名をきたり我はキリストなりと云て多の人を欺くべし
六 又なんぢら戰と戰の風聲をきかん然ど愼て懼る勿れ此等の事は皆ある可なり然ども末期は未だ至らず
七 民おこりて民をせめ國は國をせめ饑饉、疫病、地震ところどころに有ならん
八 是みなの始なり
九 其とき人なんぢらを患に付し爾曹を殺すべし又なんぢら我名の爲に萬民に憎れん
十 此とき許多のものかつ互に付し互に憾むべし
十一 また僞預言おはく起て多の人を欺かん
十二 また不法みつるに因て多の人の愛情ひやかに爲べし
十三 然ど終まで忍ぶは救ることを得ん
十四 又天國の此音を萬民に證せん爲に普く天下に宣傳られん然るのち末期いたるべし
路加傳iケ書第二一章
七 彼等とふて曰けるは師よ何の時この事あらん正に此の事の來らん時は如何なる兆あり乎
八 イエス曰けるは爾曹つしみて惑さる事なかれ蓋おほくのわが名をきたり我はキリストなり時は近よれりと云ん然ど爾曹從ふ勿れ
九 戰亂を聞とき懼る勿れ此等の事の先に有は止を得ざること也然ざ末期は未だ速ならず
十 又曰けるは民は民をせめ國は國を攻
十一 各處に大なる地震、饑饉、疫病おこり且おそるべき事と大なる休徵天より現るべし
*
日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一三章
三 オリブ山にて宮の方に對ひて坐し給へるに、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレに問ふ、
四 『われらにげ給へ、これらの事は何時あるか、又すべて此等の事の成し遂げられんとする時は、如何なる兆あるか』
五 イエス語り出で給ふ『なんぢら人に惑されぬやうに心せよ。
六 多くのわが名をし來り「われは夫なり」と言ひて多くの人を惑さん。
七 戰爭と戰爭のとを聞くとき懼るな、斯る事はあるべきなり。然れど未だ終にはあらず。
八 ち「民は民に、國は國に逆ひて起たん」また處に地震あり、饑饉あらん、これらはの苦の始なり。
マタイ傳iケ書第二四章
三 オリブ山に坐し給ひしとき、弟子たちに御許に來りて言ふ『われらにげ給へ、これらの事は何時あるか、又なんぢの來り給ふと世の終とには、何の兆あるか』
四 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢら人に惑されぬやうに心せよ。
五 多くのわが名をし來り「我はキリストなり」と言ひて多くの人を惑さん。
六 又なんぢら戰爭と戰爭のとを聞かん、愼みて懼るな。斯る事はあるべきなり、然れど未だ終にはあらず。
七 ち「民は民に、國は國に逆ひて起たん」また處に饑饉と地震とあらん、
八 此等はみなの苦の始なり。
九 そのとき人なんぢらを患に付し、また殺さん。汝等わが名の爲に、もろもろの國人に憎まれん。
 その時おほくの人つまづき、且たがひに付し、互に憎まん。
一一 多くの僞預言おこりて多くの人を惑さん。
一二 また不法の揩キによりて多くの人の愛、冷かにならん。
一三 然れど終まで耐へしのぶは救はるべし。
一四 御國のこの音は、もろもろの國人に證をなさんため全世界に宣傳へられん、而して後、終は至るべし。
ルカ傳iケ書第二一章
七 彼ら問ひて言ふ『師よ、さらば此等のことは何時あるか、又これらの事の成らんとする時は如何なる兆あるか』
八 イエス言ひ給ふ『なんぢら惑されぬやうに心せよ、多くのわが名を冒し來り「われは夫なり」と言ひ「時は近づけり」と言はん、彼らに從ふな。
九 戰爭と騷亂との事を聞くとき、怖づな。斯ることは先づあるべきなり。然れど終は直ちに來らず』
 また言ひたまふ『「民は民に、國は園に逆ひて起たん」
一一 かつ大なる地震あり、處に疫病饑饉あらん。懼るべき事と天よりの大なる兆とあらん。
*
日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一三章
三 またオリブ山で、宮にむかってすわっておられると、ペテロ、ヤコブ、ヨハネ、アンデレが、ひそかにお尋ねした。
四 「わたしたちにお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。またそんなことがことごとく成就するような場合には、どんな前兆がありますか」。
五 そこで、イエスは話しはじめられた、「人に惑わされないように気をつけなさい。
六 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだと言って、多くの人を惑わすであろう。
七 また、戦争と戦争のうわさとを聞くときにも、あわてるな。それは起らねばならないが、まだ終りではない。
八 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに地震があり、またききんが起るであろう。これらは産みの苦しみの初めである。
マタイによる福音書第二四章
三 またオリブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとにきて言った、「どうぞお話しください。いつ、そんなことが起るのでしょうか。あなたがまたおいでになる時や、世の終りには、どんな前兆がありますか」。
四 そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。
五 多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。
六 また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。
七 民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地震があるであろう。
八 しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。
九 そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。
一〇 そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。
一一 また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。
一二 また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。
一三 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
一四 そしてこの御国の福音は、すべての民に対してあかしをするために、全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。
ルカによる福音書第二一章
七 そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。
八 イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたし名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。
九 戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。
一〇 それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。
一一 また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。
Office Murakami