四つの福音書による一つのイエス物語242
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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242
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「学者とファリサイ派の人々は禍だ」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
23;13〜36 11;37〜54
第二三章一三〜三六節 第一一章三七〜五四節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬太傳iケ書第二三章
十三 噫なんぢらなるかな僞善なる學とパリサイの人よ蓋なんぢら天國を人の前に閉て自ら入ず且いらんとするの入をも許されば也
十四 噫なんぢらなるかな僞善なる學者とパリサイの人よ蓋なんぢら婦の家を呑いつはりて長きをなす之に由て爾曹最も重き審判を受べければ也
十五 あゝ禍なるかな僞善なる學とパリサイの人よ蓋なんぢらく水陸を歷巡り一人をも己が宗旨に引入んとすに引入れば之を爾曹よりも倍したる地獄の子と爲り
十六 噫なんぢら禍なるかな瞽者なる相よ爾曹はいふ人もし殿を指て誓はば事なし殿の金を指て誓は背べからずと
十七 愚にしてなるものよ金と金を聖からしむる殿とは孰か尊き
十八 又いふ人もし祭の壇を指て誓は事なし其上の禮物を指て誓は背べからずと
十九 愚にしてなるよ禮物と禮物を聖からしむる祭の壇とは孰か尊き
二十 それ祭の壇を指て誓ふは祭の壇および其上の凡の物を指て誓ふなり
二一 また殿を指て誓ふは殿および其中に在すを指て誓ふなり
二二 また天を指て誓ふ~座および其上に坐するを指て誓ふなり
二三 噫なんぢらなるかな僞善なる學とパリサイの人よ蓋なんぢら薄荷、茴香、馬芹の十分の一を取納て律法の最も重き義と仁と信とを爾曹は廢これ行ふ可もの也かれも亦廢べからざるなり
二四 瞽者なる相よ爾曹は出して駱駝を呑もの也
二五 あゝ禍なる哉僞善なる學とパリサイの人よ爾曹杯と盤の外を潔して內には貪欲と淫欲とを充せり
二六 瞽者なるパリサイの人よ爾曹まづ杯と盤の內を潔せよ然ばその外も亦きよまるべし
二七 噫なんぢらなる哉僞善なる學者とパリサイの人よ爾曹は白く塗たる墓に似たり外は美しく見れども內は骸骨との汚穢にて充
二八 此の如く爾曹もまた外は義く人に見れざも內は僞善と不法にて充
二九 噫なんぢらなるかな僞善なる學とパリサイの人よ爾曹預言の墓をたて義人の碑を飾れり
三十 又いふ我もし先の時にあらば預言の血を流すことに與せざりしをと
三一 然ば爾曹は預言を殺しの裔なることを自ら證す
三二 なんぢら先の量を充せ
三三 蛇の類よ爾曹いかで地獄の刑罰を免れんや
三四 是故に我爾曹に預言と智と學を遣さんに或は之を殺し又十字架に釘或は其會堂にて之を鞭ち或は邑より邑へ逐苦めん
三五 そは義なるアベルの血より殿と祭の壇の間にて爾曹が殺しバラキアの子ザカリアの血に至るまで地に流したる義人の血は凡て爾曹に報來らんが爲なり
三六 われ誠に爾曹にん此事みな此代に報來るべし
路加傳iケ書第一一章
三七 イエス語れるとき或パリサイの人共に食せん事を請ければ入て食に就り
三八 その食する前に洗ことを爲ざりしを見てパリサイの人異めり
三九 主これに曰けるは爾曹パリサイの人椀と盤の外を潔す然ど爾曹は貪慾と惡にて充り
四十 無知なるよ外を造しはまたをも造ざりし乎
四一 なんぢら所有物を以て施せ然ば爾曹の爲に凡の物は潔れる也
四二 なる哉なんぢらパリサイの人よ薄荷茴香および凡の野菜十分の一を取納て義と~を愛することを廢これ行ふべき事なり彼も亦廢べからざるなり
四三 なる哉なんぢちパリサイの人よ會堂の高座市上の問安を好めり
四四 なる哉それ爾曹は隱沒たる墓の如し其上を行く人これを知ざる也
四五 ある法師こたへて曰けるは師よ此言は我をも辱しむ
四六 イエス曰けるは爾曹もなるかな法師よ任がたき荷を人に負せ自ら指一をも其荷に按ず
四七 なる哉なんぢらは預言者の墓を建なんぢらの先は之を殺せり
四八 實に爾曹先の爲る事ふこのむ證明を爲り夫かれらは之を殺し爾曹は其墓を建
四九 是故に~の智慧いへる言あり我預言および使徒を彼等に遣さんに其中の或を殺し或をば窘むべしと
五十 創世より以來なかし凡の預言者の血は此代に於て討さんと爲なり
五一 ちアベルの血より殿と祭壇の間に殺されたるザカリヤの血にまで至われ誠に爾曹にん之を此代に討すべし
五二 なんぢちなるかな法師よ智識のを奪て自ら入ず且入んとするをも阻り
五三 此言を語るとき學とパリサイの人深く憤恨を含て多端の事を詰かけ
五四 その口より出る言を何事か取へ訴んとして伺ひたり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マタイ傳iケ書第二三章
一三 害なるかな、僞善なる學、パリサイ人よ、なんぢらは人の前に天國を閉して、自ら入らず、入らんとする人の入るをも許さぬなり。
一四 
一五 害なるかな、僞善なる學、パリサイ人よ、汝らは一人の改宗を得んために陸を經めぐり、旣に得れば、之を己に倍したるゲヘナの子となすなり。
一六 害なるかな、盲目なる手引よ、なんぢらは言ふ「人もし宮を指して誓はば事なし、富の黃金を指して誓はば果さざるべからず」と。
一七 愚にして盲目なるよ、黃金と黃金を聖ならしむる宮とは孰か貴き。
一八 なんぢら又いふ「人もし祭壇を指して誓はば事なし、其の上の供物を指して誓はば果さざるべからず」と。
一九 盲目なるよ、供物と供物を聖ならしむる祭壇とは執か貴き。
 されば祭壇を指して誓ふは、祭壇とその上の凡ての物とを指して誓ふなり。
二一 宮を指して誓ふは、宮とその內に住みたまふとを指して誓ふなり。
二二 また天を指して誓ふは、~の御座とその上に坐したまふとを指して誓ふなり。
二三 害なるかな、僞善なる學、パリサイ人よ、汝らは薄荷蒔蘿クミンの十分の一を納めて、律法の中にて尤も重き公平と憐憫と忠信とを等閑にす。然れど之は行ふべきものなり、而して彼もまた等閑にすべきものならず。
二四 盲目なる手引よ、汝らはし出して駱駝を呑むなり。
二五 害なるかな、僞善なる學、パリサイ人よ、汝らは酒杯と皿との外を潔くす、然れど內は貪慾と放縱とにて滿つるなり。
二六 盲目なるパリサイ人よ、汝まづ酒杯の內を潔めよ、然らば外も潔くなるべし。
二七 害なるかな、僞善なる學、パリサイ人よ、汝らは白く塗りたる墓に似たり、外は美しく見ゆれども內は死人の骨とさまざまの穢とにて滿つ。
二八 斯のごとく汝らも外は人に正しく見ゆれども、內は僞善と不法とにて滿つるなり。
二九 害なるかな、僞善なる學、パリサイ人よ、汝らは預言の墓をたて、義人の碑を飾りて言ふ、
 「我らもし先の時にありしならば、預言の血を流すことに與せざりしものを」と。
三一 かく汝らは預言を殺ししの子たるを自ら證す。
三二 なんぢら己が先目を充せ。
三三 蛇よ、の裔よ、なんぢら爭でゲヘナの刑罰を避け得んや。
三四 この故によ、我なんぢらに預言者・者・らを遣さんに、其の中の或を殺し、十字架につけ、或を汝らの會堂にて鞭ち、町より町に逐ひ苦しめん。
三五 之によりて義人アベルの血より、聖所と祭壇との間にて汝らが殺ししバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上にて流したる正しき血は、皆なんぢらに報い來らん。
三六 誠に汝らにぐ、これらの事はみな今の代に報い來るべし。
ルカ傳iケ書第一一章
三七 イエスの語り給へるとき、或パリサイ人その家にて食事し給はん事を請ひたれば、入りて席にきたまふ。
三八 食事前に手を洗ひ給はぬを、此のパリサイ人見て怪しみたれば、
三九 主これに言ひたまふ『今や汝らパリサイ人は、酒杯と盆との外を潔くす、然れど汝らの內は貪慾と惡とにて滿つるなり。
 愚なるよ、外を造りしは、內をも造りしならずや。
四一 唯その內にある物を施せ。さらば、一切の物なんぢらの爲に潔くなるなり。
四二 害なるかな、パリサイ人よ、汝らは薄荷芸香その他あらゆる野菜の十分の一を納めて、公平と~に對する愛とを等閑にす、然れど之は行ふべきものなり。而して彼もまた等閑にすべきものならず。
四三 害なるかな、パリサイ人よ、汝らは會堂の上座、市場にての敬禮を喜ぶ。
四四 害なるかな、汝らは露れぬ墓のごとし。其の上をむ人これを知らぬなり』
四五 ヘ法師の一人、答へて言ふ『師よ、斯ることを言ふは、我らをも辱しむるなり』
四六 イエス言ひ給ふ『なんぢらヘ法師も害なる哉、なんぢら擔ひき荷を人に負せて、自ら指一つだに其の荷につけぬなり。
四七 害なるかな、汝らは預言たちの墓を建つ、之を殺ししは汝らの先なり。
四八 げに汝らは先の所作を可しとする證人ぞ。それは彼らは之を殺し、汝らは其の基を建つればなり。
四九 この故に~の智慧、いへる言あり、われ預言と使徒とを彼らに遣さんに、その中の或を殺し、また逐ひ苦しめん。
 世の創より流されたる凡ての預言の血、
五一 ちアベルの血より、祭壇と聖所との間にて殺されたるザカリヤの血に至るまでを、今の代にすべきなり。然り、われ汝らにぐ、今の代はさるべし。
五二 害なるかな、ヘ法師よ、なんぢらは知識の鍵を取り去りて自ら入らず、入らんとする人をも止めしなり』
五三 此處より出で給へば、學者・パリサイ人ら烈しく詰め寄せて樣のことを詰りはじめ、
五四 その口より何事をか捉へんと待構へたり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マタイによる福音書第二三章
一三 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、天国を閉ざして人々をはいらせない。自分もはいらないし、はいろうとする人をはいらせもしない。
一四 〔偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは、やもめたちの家を食い倒し、見えのために長い祈をする。だから、もっときびしいさばきを受けるに違いない。〕
一五 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたはひとりの改宗者をつくるために、海と陸とを巡り歩く。そして、つくったなら、彼を自分より倍もひどい地獄の子にする。
一六 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは言う、『神殿をさして誓うなら、そのままでよいが、神殿の黄金をさして誓うなら、果す責任がある』と。
一七 愚かな盲目な人たちよ。黄金と、黄金を神聖にする神殿と、どちらが大事なのか。
一八 また、あなたがたは言う、『祭壇をさして誓うなら、そのままでよいが、その上の供え物をさして誓うなら、果す責任がある』と。
一九 盲目な人たちよ。供え物と供え物を神聖にする祭壇とどちらが大事なのか。
二〇 祭壇をさして誓う者は、祭壇と、その上にあるすべての物とをさして誓うのである。
二一 神殿をさして誓う者は、神殿とその中に住んでおられるかたとをさして誓うのである。
二二 また、天をさして誓う者は、神の御座とその上にすわっておられるかたとをさして誓うのである。
二三 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。はっか、いのんど、クミンなどの薬味の十分の一を宮に納めておりながら、律法の中でもっと重要な、公平とあわれみと忠実とを見のがしている。それもしなければならないが、これも見のがしてはならない。
二四 盲目な案内者たちよ。あなたがたは、ぶよはこしているが、らくだはのみこんでいる。
二五 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。杯と皿との外側はきよめるが、内側は貪欲と放縦とで満ちている。
二六 盲目なパリサイ人よ。まず、杯の内側をきよめるがよい。そうすれば、外側も清くなるであろう。
二七 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは白く塗った墓に似ている。外側は美しく見えるが、内側は死人の骨や、あらゆる不潔なものでいっぱいである。
二八 このようにあなたがたも、外側は人に正しく見えるが、内側は偽善と不法とでいっぱいである。
二九 偽善な律法学者、パリサイ人たちよ。あなたがたは、わざわいである。あなたがたは預言者の墓を建て、義人の碑を飾り立てて、こう言っている、
三〇 『もしわたしたちが先祖の時代に生きていたなら、預言者の血を流すことに加わってはいなかっただろう』と。
三一 このようにして、あなたがたは預言者を殺した者の子孫であることを、自分で証明している。
三二 あなたがたもまた先祖たちがした悪の枡目を満たすがよい。
三三 へびよ、まむしの子らよ、どうして地獄の刑罰をのがれることができようか。
三四 それだから、わたしは、預言者、知者、律法学者たちをあなたがたにつかわすが、そのうちのある者を殺し、また十字架につけ、そのある者を会堂でむち打ち、また町から町へと迫害して行くであろう。
三五 こうして義人アベルの血から、聖所と祭壇との間であなたがたが殺したバラキヤの子ザカリヤの血に至るまで、地上に流された義人の血の報いが、ことごとくあなたがたに及ぶであろう。
三六 よく言っておく。これらのことの報いは、みな今の時代に及ぶであろう。
ルカによる福音書第一一章
三七 イエスが語っておられた時、あるパリサイ人が、自分の家で食事をしていただきたいと申し出たので、はいって食卓につかれた。
三八 ところが、食前にまず洗うことをなさらなかったのを見て、そのパリサイ人が不思議に思った。
三九 そこで主は彼に言われた、「いったい、あなたがたパリサイ人は、杯や盆の外側をきよめるが、あなたがたの内側は貪欲と邪悪とで満ちている。
四〇 愚かな者たちよ、外側を造ったかたは、また内側も造られたではないか。
四一 ただ、内側にあるものをきよめなさい。そうすれば、いっさいがあなたがたにとって、清いものとなる。
四二 しかし、あなた方パリサイ人は、わざわいである。はっか、うん香、あらゆる野菜などの十分の一を宮に納めておりながら、義と神に対する愛とをなおざりにしている。それもなおざりにはできないが、これは行わねばならない。
四三 あなたがたパリサイ人は、わざわいである。会堂の上席や広場での敬礼を好んでいる。
四四 あなたがたは、わざわいである。人目につかない墓のようなものである。その上を歩いても人々は気づかないでいる」。
四五 ひとりの律法学者がイエスに答えて言った、「先生、そんなことを言われるのは、わたしたちまでも侮辱することです」。
四六 そこで言われた、「あなたがた律法学者も、わざわいである。負い切れない重荷を人に負わせながら、自分ではその荷に指一本でも触れようとしない。
四七 あなたがたは、わざわいである。預言者たちの碑を建てるが、しかし彼らを殺したのは、あなたがたの先祖であったのだ。
四八 だから、あなたがたは、自分の先祖のしわざに同意する証人なのだ。先祖が彼らを殺し、あなたがたがその碑を建てるのだから。
四九 それゆえに、『神の知恵』も言っている、『わたしは預言者と使徒とを彼らにつかわすが、彼らはそのうちのある者を殺したり、迫害したりするであろう』。
五〇 それで、アベルの血から祭壇と神殿との間で殺されたザカリヤの血に至るまで、世の初めから流されてきたすべての預言者の血について、この時代がその責任を問われる。
五一 そうだ、あなたがたに言っておく、この時代がその責任を問われるであろう。
五二 あなたがた律法学者は、わざわいである。知識のかぎを取りあげて、自分がはいらないばかりか、はいろうとする人たちを妨げてきた」。
五三 イエスがそこを出て行かれると、律法学者やパリサイ人は、激しく詰め寄り、いろいろな事を問いかけて、
五四 イエスの口から何か言いがかりを得ようと、ねらいはじめた。
Office Murakami