四つの福音書による一つのイエス物語230
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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230
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「何の権威をもってするのか答えまい」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
11;27〜33 21;23〜27 20;1〜8
第一一章二七〜三三節 第二一章二三〜二七節 第二〇章一〜八節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一一章
二七 彼等またエルサレムに至りイエス殿を行るとき祭司の長學および長老等きたりて
二八 彼に曰けるは何の權威を以て此事を行や誰が此事を行べき爲に爾に此權威を與しや
二九 イエス答て彼等に曰けるは我も一言なんぢらに問ん我に答よ然ば我なんぢらに何の權威を以て之を行といふ事を告べし
三十 ヨハネのバプテスマは天よりか人よりか我に答よ
三一 彼等たがひに論じ曰けるは若し天よりと云ば然ば何故かれを信ぜざるかと曰ん
三二 もし人よりと云ば彼等民を懼たる也蓋民みなヨハネを預言と爲に因
三三 遂に答て知ずと曰イエス答て曰けるは我も何の權威を以て之を行か爾曹に語じ
馬太傳iケ書第二一章
二三 イエス殿に入てたるとき祭司の長および民の長老たち來り曰けるは何の權威を以て此事をなすや誰この權威を爾に予しや
二四 イエス答て彼等に曰けるは我も一言なんぢらに問ん我にその事をなば我も何の權威をもて之を行といふことを爾曹に曰べし
二五 ヨハネのバプテスマは何處よりぞ天よりか人よりか彼等たがひに論じ曰けるは若し天よりと云ば然ば何ゆゑ信ぜざるかと云ん
二六 もし人よりと云ば我民を畏る蓋みなヨハネを預言と爲ばなり
二七 遂に答て知ずと曰イエヌ彼等に曰けるは我も何の機威を以て之を行か爾曹に語らじ
路加傳iケ書第二〇章
一 一日イエス殿にて民を音を宣しに祭司の長學長老共に近よりイエスに語て曰けるは
二 何の權威を以て此事を行か誰この權威を予たるか我
三 答て曰けるは我も一言なんぢらに問ん且われに告よ
四 ヨハネのバプテスマは天よりか人よりか
五 彼等たがひに曰けるは若天よりと云ば然ば何故かれを信ぜざる乎と曰ん
六 もし人よりと云ば民みなヨハネを預言と信ずれば我を石にて擊んとて
七 遂に答て奚よりなるか知ずと曰り
八 イエス彼等に曰けるは我も亦なにの權威を以て之を行かを爾曹に告ず
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一一章
二七 かれら又エルサレムに到る。イエス宮の內をみ給ふとき、祭司長者・長老たち御許に來りてに、
二八 『何の權威をもて此等の事をなすか、誰が此等の事を爲すべき權威を授けしか』と言ふ。
二九 イエス言ひ給ふ『われ一言、なんぢらに問はん、答へよ、然らば我も何の權威をもて、此等の事を爲すかをげん。
 ヨハネのバプテスマは、天よりか、人よりか、我に答へよ』
三一 彼ら互に論じて言ふ『もし天よりと言はば「何故かれを信ぜざりし」と言はん。
三二 然れど人よりと言はんか……』彼ら群衆を恐れたり、人みなヨハネを實に預言と認めたればなり。
三三 遂にイエスに答へて『知らず』と言ふ。イエス言ひ給ふ『われも何の權威をもて此等の事を爲すか、汝らにげじ』
マタイ傳iケ書第二一章
二三 宮に到りてヘへ給ふとき、祭司長民の長老ら御許に來りて言ふ『何の權威をもて此等の事をなすか、誰がこの權威を授けしか』
二四 イエス答へて言ひたまふ『我も一言なんぢらに問はん、若し夫をげなば、我もまた何の權威をもて此等のことを爲すかをげん。
二五 ヨハネのバプテスマは何處よりぞ、天よりか、人よりか』かれら互に論じて言ふ『もし天よりと言はば「何故かれを信ぜざりし」と言はん。
二六 もし人よりと言はんか、人みなヨハネを預言と認むれば、我らは群衆を恐る』
二七 遂に答へて『知らず』と言へり。イエスもまた言ひたまふ『我も何の權威をもて此等のことを爲すか汝らにげじ。
ルカ傳iケ書第二〇章
一 或日イエス宮にて民をヘへ、音を宣べゐ給ふとき、祭司長らは、長老どもと共に近づき來り、
二 イエスに語りて言ふ『なにの權威をもて此等の事をなすか、此の權威を授けしは誰か、我らにげよ』
三 答へて言ひ給ふ『われも一言なんぢらに問はん、答へよ。
四 ヨハネのバプテスマは、天よりか人よりか』
五 彼ら互に論じて言ふ『もし「天より」と言はば「なに故かれを信ぜざりし」と言はん。
六 もし「人より」と言はんか、民みなヨハネを預言と信ずるによりて我らを石にて擊たん』
七 遂に何處よりか知らぬ由を答ふ。
八 イエス言ひたまふ『われも何の權威をもて此等の事をなすか、汝らにげじ』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一一章
二七 彼らはまたエルサレムにきた。そして、イエスが宮の内を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、みもとにきて言った、
二八 「何の権威によってこれらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。
二九 そこで、イエスは彼らに言われた、「一つだけ尋ねよう。それに答えてほしい。そうしたら、何の権威によって、わたしがこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。
三〇 ヨハネのバプテスマは天からであったか、人からであったか、答えなさい」。
三一 すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。
三二 しかし、人からだと言えば……」。彼らは群衆を恐れていた。人々が皆、ヨハネを預言者だとほんとうに思っていたからである。
三三 それで彼らは「わたしたちにはわかりません」と答えた。するとイエスは言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。
マタイによる福音書第二一章
二三 イエスが宮にはいられたとき、祭司長たちや民の長老たちが、その教えておられる所にきて言った、「何の権威によって、これらの事をするのですか。だれが、そうする権威を授けたのですか」。
二四 そこでイエスは彼らに言われた、「わたしも一つだけ尋ねよう。あなたがたがそれに答えてくれたなら、わたしも、何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言おう。
二五 ヨハネのバプテスマはどこからきたのであったか。天からであったか、人からであったか」。すると、彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。
二六 しかし、もし人からだと言えば、群衆が恐ろしい。人々がみなヨハネを預言者と思っているのだから」。
二七 そこで彼らは、「わたしたちにはわかりません」と答えた。すると、イエスが言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい。
ルカによる福音書第二〇章
一 ある日、イエスが宮で人々に教え、福音を宣べておられると、祭司長や律法学者たちが、長老たちと共に近寄ってきて、
二 イエスに言った、「何の権威によってこれらの事をするのですか。そうする権威をあなたに与えたのはだれですか、わたしたちに言ってください」。
三 そこで、イエスは答えて言われた、「わたしも、ひと言たずねよう。それに答えてほしい。
四 ヨハネのバプテスマは、天からであったか、人からであったか」。
五 彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。
六 しかし、もし人からだと言えば、民衆はみな、ヨハネを預言者だと信じているから、わたしたちを石で打つだろう」。
七 それで彼らは「どこからか、知りません」と答えた。
八 イエスはこれに対して言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。
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