四つの福音書による一つのイエス物語227
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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227
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「あなたたちの父は悪魔である」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
8;48〜59
第八章四八〜五九節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第八章
四八 ユダヤ人こたへて曰けるは爾はサマリヤの人にて鬼に憑たるなりと我が言るは宜ならず乎
四九 イエス答て曰けるは我は鬼に憑たるに非ず我は吾父を尊び爾曹は我を輕んずる也
五十 我は自己の榮を求めず之を求かつ審判する所のあり
五一 われ誠に實に爾曹にん人もし我道を守らば窮なく死を見ざるべし
五二 ユダヤ人かれに曰けるは今われらは爾が鬼に憑たるなるを知アブラハムに死また預言も死り然るに爾いふ人もし我道を守らば窮なく死じと
五三 爾は我の先アブラハムよりも優れるならん乎アブラハムに死預言たちも死り爾みづからを誰と爲か
五四 イエス答けるは我もし自ら榮をなさば我榮は虛し我を榮るは我父すなはち爾曹の我~と 稱る所のなり
五五 爾曹は彼を識ず我は彼をしる我もし彼を識ずと言ば爾曹の如き誑者と爲ん然ど我は彼を識また其言を守るなり
五六 爾曹の先アブラハムは我日を見んことを喜び且これを見て樂めり
五七 ユダヤ人これに曰けるは爾いまだ五十にも及ざるにアブラハムを見しや
五八 イエス彼等に曰けるは誠に實に爾曹にん我はアブラハムの有ざりし先より在なり
五九 是に於て衆人かれを擊んとて石を取りイエス隱て其中を過り殿を出行り
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第八章
四八 ユダヤ人こたへて言ふ『なんぢはサマリヤ人にて惡鬼に憑かれたるなりと、我らが云へるは宜ならずや』
四九 イエス答へ給ふ『われは惡鬼に憑かれず、反つて我が父を敬ふ、なんぢらは我を輕んず。
 我はおのれの榮光を求めず、之を求め、かつ審判し給ふあり、
五一 誠にまことに汝らにぐ、人もし我が言を守らば、永遠に死を見ざるべし』
五二 ユダヤ人いふ『今ぞ、なんぢが惡鬼に憑かれたるを知る。アブラハムも預言たちも死にたり、然るに汝は「人もし我が言を守らば、永遠に死を味はざるべし」と云ふ。
五三 汝われらの父アブラハムよりも大なるか、彼は死に、預言たちも死にたり。汝はあのれを誰とするか』
五四 イエス答へたまふ『我もし己に榮光を歸せば、我が榮光は空し。我に榮光を歸するは我が父なり、ち汝らが己の~と稱ふるなり。
五五 然るに汝らは彼を知らず、我は彼を知る。もし彼を知らずと言はば、汝らの如く僞たるべし。然れど我は彼を知り、且その御言を守る。
五六 汝らの父アブラハムは、我が日を見んとて樂しみ且これを見て喜べり』
五七 ユダヤ人いふ『なんぢ未だ五十歲にもならぬにアブラハムを見しか』
五八 イエス言ひ給ふ『まことに誠に汝らにぐ、アブラハムの生れいでぬ前より我は在るなり』
五九 爰に彼ら石をとりてイエスに擲たんと爲たるに、イエス隱れて宮を出で給へり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第八章
四八 ユダヤ人たちはイエスに答えて言った、「あなたはサマリヤ人で、悪霊に取りつかれていると、わたしたちが言うのは、当然ではないか」。
四九 イエスは答えられた、「わたしは、悪霊に取りつかれているのではなくて、わたしの父を重んじているのだが、あなたがたはわたしを軽んじている。
五〇 わたしは自分の栄光を求めてはいない。それを求めるかたが別にある。そのかたは、またさばくかたである。
五一 よくよく言っておく。もし人がわたしの言葉を守るならば、その人はいつまでも死を見ることがないであろう」。
五二 ユダヤ人たちが言った、「あなたが悪霊に取りつかれていることが、今わかった。アブラハムは死に、預言者たちも死んでいる。それだのに、あなたは、わたしの言葉を守る者はいつまでも死を味わうことがないであろうと、言われる。
五三 あなたは、わたしたちの父アブラハムより偉いのだろうか。彼も死に、預言者たちも死んだではないか。あなたは、いったい、自分をだれと思っているのか」。
五四 イエスは答えられた、「わたしがもし自分に栄光を帰するなら、わたしの栄光は、むなしいものである。わたしに栄光を与えるかたは、わたしの父であって、あなたがたが自分の神だと言っているのは、そのかたのことである。
五五 あなたがたはその神を知っていないが、わたしは知っている。もしわたしが神を知らないと言うならば、あなたがたと同じような偽り者であろう。しかし、わたしはそのかたを知り、その御言を守っている。
五六 あなたがたの父アブラハムは、わたしのこの日を見ようとして楽しんでいた。そしてそれを見て喜んだ」。
五七 そこでユダヤ人たちはイエスに言った、「あなたはまだ五十にもならないのに、アブラハムを見たのか」。
五八 イエスは彼らに言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。アブラハムの生れる前からわたしは、いるのである」。
五九 そこで彼らは石をとって、イエスに投げつけようとした。しかし、イエスは身を隠して、宮から出て行かれた。
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