四つの福音書による一つのイエス物語225
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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225
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「信じない者は罪の中に死ぬ」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
8;21〜30
第八章二一〜三〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第八章
二一 イエス復いひけるは我ゆかん爾曹は我を尋べし爾曹おのれの罪に死ん我ゆく所へは爾曹きたること能ざるなり
二二 之に由てユダヤ人いひけるは我ゆく所へ爾曹きたること能ずと言り彼は自殺せんとする乎
二三 イエス彼等に曰けるは爾曹は下より出われは上より出なんぢらは此世より出われは此世より出ず
二四 是故に爾曹は己の罪に死んと我いひしなり爾曹もし我の彼なるを信ぜずば己の罪に死ん
二五 彼等いひけるは爾は誰なるやイエス曰けるは我は實に我なんぢらにる所のたり
二六 我なんぢらに就て語る可ことと審判く可こと多端あり我を遣しゝ者は眞なり彼に聞し事を我世に
二七 此は父を指て言るなれど彼等は知ざりき
二八 是故にイエス彼等に曰けるは爾曹人の子を擧しのち我の彼なるを知また我みづから何事をも行ず惟わが父のに從ひて此等の事を言るを知べし
二九 我を遣しゝ者我と同にあり父は我を獨遣たまはず蓋われ恒に彼の心に適ふ事を行へばなり
三十 イエス此事を言るとき多の人かれを信ぜり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第八章
二一 斯てまた人に言ひ給ふ『われ往く、なんぢら我を尋ねん。されど己が罪のうちに死なん、わが往くところに汝ら來ること能はず』
二二 ユダヤ人ら言ふ『「わが往く處に汝ら來ること能はず」と云へるは、自殺せんとてか』
二三 イエス言ひ給ふ『なんぢらは下より出で、我は上より出づ、汝らは此の世より出で、我はこの世より出でず。
二四 之によりて我なんぢらは己が罪のうちに死なんと云へるなり。汝等もし我の夫なるを信ぜずば、罪のうちに死ぬべし』
二五 彼ら言ふ『なんぢは誰なるか』イエス言ひ給ふ『われは正しく汝らにげ來りし所のなり。
二六 われ汝らに就きて語るべきこと審くべきこと多し、而して我を遣し給ひしは眞なり、我は彼に聽きしその事を世にぐるなり』
二七 これは父をさして言ひ給へるを、彼らは悟らざりき。
二八 爰にイエス言ひ給ふ『なんぢら人の子を擧げしのち、我の夫なるを知り、又わが己によりて何事をも爲さず、ただ父の我にヘへ給ひしごとく、此等のことを語りたるを知らん。
二九 我を遣し給ひしは、我とともに在す。我つねに御意に適ふことを行ふによりて、我を獨おき給はず』
 此等のことを語り給へるとき、多くの人イエスを信じたり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第八章
二一 さて、また彼らに言われた、「わたしは去って行く。あなたがたはわたしを捜し求めるであろう。そして自分の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所には、あなたがたは来ることができない」。
二二 そこでユダヤ人たちは言った、「わたしの行く所に、あなたがたは来ることができないと、言ったのは、あるいは自殺でもしようとするつもりか」。
二三 イエスは彼らに言われた、「あなたがたは下から出た者だが、わたしは上からきた者である。あなたがたはこの世の者であるが、わたしはこの世の者ではない。
二四 だからわたしは、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬであろうと、言ったのである。もしわたしがそういう者であることをあなたがたが信じなければ、罪のうちに死ぬことになるからである」。
二五 そこで彼らはイエスに言った、「あなたは、いったい、どういうかたですか」。イエスは彼らに言われた、「わたしがどういう者であるかは、初めからあなたがたに言っているではないか。
二六 あなたがたについて、わたしの言うべきこと、さばくべきことが、たくさんある。しかし、わたしをつかわされたかたは真実なかたである。わたしは、そのかたから聞いたままを世にむかって語るのである」。
二七 彼らは、イエスが父について話しておられたことを悟らなかった。
二八 そこでイエスは言われた、「あなたがたが人の子を上げてしまった後はじめて、わたしがそういう者であること、また、わたしは自分からは何もせず、ただ父が教えて下さったままを話していたことが、わかってくるであろう。
二九 わたしをつかわされたかたは、わたしと一緒におられる。わたしは、いつも神のみこころにかなうことをしているから、わたしをひとり置きざりになさることはない」。
三〇 これらのことを語られたところ、多くの人々がイエスを信じた。
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