四つの福音書による一つのイエス物語224
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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224
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「私はこの世の光である」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
8;12〜20
第八章一二〜二〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第八章
十二 イエスまた人に語て曰けるは我は世の光なり我に從ふは暗中を行ず生の光を得たり
十三 是に於てパリサイの人いひけるは爾は自ら己の證をなせり爾の證は眞ならず
十四 イエス答て曰けるは我みづから己の證するとも我證は眞なり蓋われ何處より來り何處へ往を知ばなり爾曹わが何處より來り何處へ往を知ざるなり
十五 爾曹は肉に循て人を審判く我は人を審判かず
十六 我もし審判ば我審判は眞なり蓋われ獨あるに非ず我を遣し父と同に在ばなり
十七 二人の證は眞なりと爾曹の律法に錄されたり
十八 わが證をするは我なり我を遣し父も亦わが證を爲なり
十九 彼等いひけるは爾の父は何處に在やイエス答けるは爾曹は我を識ず亦わが父をも識ざるなり若われを識たるならば我父をも識たるならん
二十 イエス此等のことを殿のうち賽錢の箱を置る處にて語けど彼の時いまだ至ざれば誰も手を出すなかりき
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第八章
一二 斯てイエスまた人に語りて言ひ給ふ『われは世の光なり、我に從ふは暗き中をまず、生命の光を得べし』
一三 パリサイ人ら言ふ『なしぢは己につきて證す、なんぢの證は眞ならず』
一四 イエス答へて言ひ給ふ「われ自ら己につきて證すとも我が證は眞なり、我は何處より來り何處に往くを知る故なり。汝らは我が何處より來り、何處に往くを知らず。
一五 なんぢらは肉によりて審く、我は誰をも審かず。
一六 されど我もし審かば、我が審判は眞なり、我は一人ならず、我と我を遣し給ひしと偕なるに因る。
一七 また汝らの律法に、二人の證は眞なりと錄されたり。
一八 我みづから己につきて證をなし、我を遣し給ひし父も我につきて證をなし給ふ』
一九 ここに彼ら言ふ『なんぢの父は何處にあるか』イエス答へ給ふ『なんぢらは我をも我が父をも知らず、我を知りしならば、我が父をも知りしならん』
 イエス宮の內にてヘへし時これらの事を賽錢函の傍らにて語り給ひしが、彼の時いまだ到らぬ故に、誰も捕ふるなかりき。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第八章
一二 イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。
一三 するとパリサイ人たちがイエスに言った、「あなたは、自分のことをあかししている。あなたのあかしは真実ではない」。
一四 イエスは彼らに答えて言われた、「たとい、わたしが自分のことをあかししても、わたしのあかしは真実である。それは、わたしがどこからきたのか、また、どこへ行くのかを知っているからである。しかし、あなたがたは、わたしがどこからきて、どこへ行くのかを知らない。
一五 あなたがたは肉によって人をさばくが、わたしはだれもさばかない。
一六 しかし、もしわたしがさばくとすれば、わたしのさばきは正しい。なぜなら、わたしはひとりではなく、わたしをつかわされたかたが、わたしと一緒だからである。
一七 あなたがたの律法には、ふたりによる証言は真実だと、書いてある。
一八 わたし自身のことをあかしするのは、わたしであるし、わたしをつかわされた父も、わたしのことをあかしして下さるのである」。
一九 すると、彼らはイエスに言った、「あなたの父はどこにいるのか」。イエスは答えられた、「あなたがたは、わたしをもわたしの父をも知っていない。もし、あなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたであろう」。
二〇 イエスが宮の内で教えていた時、これらの言葉をさいせん箱のそばで語られたのであるが、イエスの時がまだきていなかったので、だれも捕える者がなかった。
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