四つの福音書による一つのイエス物語211
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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211
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兄弟たちからユダヤに行くように言われる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
7;1〜9
第七章一〜九節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第七章
一 斯事の後イエス ガリラヤを經行りユダヤの中を巡ることを欲ざりき蓋ユダヤ人かれを殺さんと謀れば也
二 ユダヤ人の構廬のちかづけり
三 是に於てイエスの兄弟かれに曰けるは爾の行ふ所の事を弟子等に見せんが爲此を去てユダヤに往
四 蓋己を顯さんとして隱に事をなすあらず爾これらの事を行は己を世に顯せよ
五 是その兄弟もなほ彼を信ぜざるが故なり
六 イエス彼等に曰けるは我時いまだ至ず爾曹の時は恒に傭れり
七 世は爾曹を惡こと能ず我を惡そは彼等が行ふ所は惡しと我證すればなり
八 爾曹このに上れ我時いまだ至らざれば我いま此に上らじ
九 如此いひてガリラヤに留れり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第七章
一 この後イエス、ガリラヤのうちを巡りゐ給ふ、ユダヤ人の殺さんとするに因りてユダヤのうちを巡ることを欲し給はぬなり。
二 ユダヤ人の假廬の祭ちかづきたれば、
三 兄弟たちイエスに言ふ『なんぢの行ふ業を弟子たちにも見せんために、此處を去りてユダヤに往け。
四 誰にても自ら顯れんことを求めて隱に業をなすなし。汝これらの事を爲すからには己を世にあらはせ』
五 是その兄弟たちもイエスを信ぜぬ故なり。
六 爰にイエス言ひ給ふ『わが時はいまだ到らず、汝らの時は常に備れり。
七 世は汝らを憎むこと能はねど我を憎む、我は世の所作の惡しきを證すればなり。
八 なんぢら祭に上れ、わが時いまだ滿たねば、我は今この祭にのぼらず』
九 かく言ひて尙ガリラヤに留り給ふ。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第七章
一 そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人たちが自分を殺そうとしていたので、ユダヤを巡回しようとはされなかった。
二 時に、ユダヤ人の仮庵の祭が近づいていた。
三 そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った、「あなたがしておられるわざを弟子たちにも見せるために、ここを去りユダヤに行ってはいかがです。
四 自分を公けにあらわそうと思っている人で、隠れて仕事をするものはありません。あなたがこれらのことをするからには、自分をはっきりと世にあらわしなさい」。
五 こう言ったのは、兄弟たちもイエスを信じていなかったからである。
六 そこでイエスは彼らに言われた、「わたしの時はまだきていない。しかし、あなたがたの時はいつも備わっている。
七 世はあなたがたを憎み得ないが、わたしを憎んでいる。わたしが世のおこないの悪いことを、あかししているからである。
八 あなたがたこそ祭に行きなさい。わたしはこの祭には行かない。わたしの時はまだ満ちていないから」。
九 彼らにこう言って、イエスはガリラヤにとどまっておられた。
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