四つの福音書による一つのイエス物語201
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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偉い人は誰かを教える
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
10;41〜45 20;24〜28 22;24〜27
第一〇章四一〜四五節 第二〇章二四〜二八節 第二二章二四〜二七節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一〇章
四一 十人の弟子これを聞てヤコブとヨハネを憤れり
四二 イエス彼等を召て曰けるは異邦人の君と見るは其民を治また大なるどもは彼等の上に權を執これ爾曹が知ところ也
四三 然ど爾曹の中にては然す可らず爾曹のうち大ならんと欲ふは爾曹に役るゝ者とならん
四四 また爾曹のうち首たらんと欲ふは凡の人の僕とならん
四五 蓋人の子の來るも人を役ふ爲に非ず反て人に役はれ且おほくの人に代その命を予て贖とならん爲なり
馬太傳iケ書第二〇章
二四 十人の弟子これを聞て二人の兄弟を憤れり
二五 イエス彼等を召て曰けるは異邦の領主はその民を主どり大人どもは彼等の上に權を操これ爾曹が知ところ也
二六 然ど爾曹の中にては然すべからず爾曹のうち大ならんと欲ふは爾曹に役るゝ者となるべし
二七 また爾曹のうち首たらんと欲ふは爾曹の僕となるべし
二八 此の如く人の子の來るも人を役ふ爲には非ず反て人に役はれ又おほくの人に代て生命を予その贖とならん爲なり
路加傳iケ書第二二章
二四 また彼等の中にて長たるは誰なるかと互の爭ありき
二五 イエス彼等に曰けるは異邦人の王は其民を支配す又その上に權を秉は恩を施すと稱らる
二六 然ども爾曹は如是すべからず爾曹のうち大なるは幼が如く首たるは役るの如なるべし
二七 食に就ると事ると孰か大なる食に就るならずや然ども我は爾曹の中に事るの如し
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一〇章
四一 十人の弟子これを聞き、ヤコブとヨハネとの事により憤ほり出でたれば、
四二 イエス彼らを呼びて言ひたまふ『異邦人のと認めらるるの、その民を宰どり、大なるの、民の上に權を執ることは、汝らの知る所なり。
四三 然れど汝らの中にては然らず、反つて大ならんと思ふは、汝らの役となり、
四四 頭たらんと思ふは、凡てのの僕となるべし。
四五 人の子の來れるも、事へらるる爲にあらず、反つて事ふることをなし、又おほくの人の贖償として己が生命を與へん爲なり』
マタイ傳iケ書第二〇章
二四 十人の弟子これを聞き、二人の兄弟の事によりて憤ほる。
二五 イエス彼らを呼びて言ひたまふ『異邦人の君のその民を宰どり、大なるの民の上に權を執ることは汝らの知る所なり。
二六 汝らの中にては然らず、汝らの中に大ならんと思ふは、汝らの役となり、
二七 首たらんと思ふは汝らの僕となるべし。
二八 斯のごとく人の子の來れるも事へらるる爲にあらず、反つて事ふることをなし、又おほくの人の拯贖として己が生命を與へん爲なり』
ルカ傳iケ書第二二章
二四 また彼らの間に己らの中たれか大ならんとの爭論おこりたれば、
二五 イエス言ひたまふ『異邦人の王は、その民を宰どり、また民を支配するは、恩人と稱へらる。
二六 然れど汝らは然あらざれ、汝等のうち大なるは若きのごとく、頭たるは事ふるの如くなれ。
二七 食事の席にと事ふるとは、何れか大なる。食事の席にならずや、然れど我は汝らの中にて事ふるのごとし。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一〇章
四一 十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し出した。
四二 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。
四三 しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、
四四 あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。
四五 人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」。
マタイによる福音書第二〇章
二四 十人の者はこれを聞いて、このふたりの兄弟たちのことで憤慨した。
二五 そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者たちはその民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。
二六 あなたがたの間ではそうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、
二七 あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕とならねばならない。
二八 それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである」。
ルカによる福音書第二二章
二四 それから、自分たちの中でだれがいちばん偉いだろうかと言って、争論が彼らの間に、起った。
二五 そこでイエスが言われた、「異邦の王たちはその民の上に君臨し、また、権力をふるっている者たちは恩人と呼ばれる。
二六 しかし、あなたがたは、そうであってはならない。かえって、あなたがたの中でいちばん偉い人はいちばん若い者のように、指導する人は仕える者のようになるべきである。
二七 食卓につく人と給仕する者と、どちらが偉いのか。食卓につく人の方ではないか。しかし、わたしはあなたがたの中で、給仕をする者のようにしている。
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