四つの福音書による一つのイエス物語200
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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200
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ゼベダイの子らの願いに答える
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
10;35〜40 20;20〜23
第一〇章三五〜四〇節 第二〇章二〇〜二三節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第一〇章
三五 ゼベダイの子ヤコブとヨハネ イエスに來りて曰けるは師よ我が求る事を願くは我に成たまへ
三六 彼等に曰けるは爾曹に我が何を成ん事を欲ふや
三七 彼等いひけるは爾榮を得んとき我の一人を其右に一人を其左に坐せしめよ
三八 イエス彼等に曰けるは爾曹は求ふ所を知ず爾曹わが飮ところの杯を飮わが受る所のバプテスマを受得るや
三九 彼等いひけるれ能すべしイエス彼等に曰けるは爾曹は實に我が飮ところの杯を飮また我が受る所のバプテスマを受べし
四十 然ど我が右左に坐する事は我が予ふべきに非た備られたるは予らるべし
馬太傳iケ書第二〇章
二十 其時ゼベダイの子等の母その子と偕にイエスに來り拜して彼に求ること有ければ
二一 之に曰けるは何を欲ふかイエスに曰けるは此二人の我子を爾の國に於て一人は爾の右一人は爾の左に坐ることを命ぜよ
二二 イエス答て曰けるは爾曹は求ところを知ず爾曹は我が飮んとする杯をのみ又わが受んとするバプテスマを受得るや彼等いひけるは能すべし
二三 イエス彼等に曰けるは誠に爾曹は我が杯を飮また我うくるバプテスマを受べし然ど我が右左に座ることは我が賜べきに非ず只わが父に備られたるは賜らるべし
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第一〇章
三五 爰にゼベダイの子ヤコブ、ヨハネ御許に來りて言ふ『師よ、願くは我らが何にても求むる所を爲したまへ』
三六 イエス言ひ給ふ『わが汝らに何を爲さんことを望むか』
三七 彼ら言ふ『なんぢの榮光の中にて、一人をその右に、一人をその左に坐せしめ給へ』
三八 イエス言ひ給ふ『なんぢらは求むる所を知らず、汝等わが飮む酒杯を飮み、我が受くるバプテスマを受け得るか』
三九 彼等いふ『得るなり』イエス言ひ給ふ『なんぢら我が飮む酒杯を飮み、また我が受くるバプテスマを受くべし。
 然れど我が右左に坐することは、我の與ふべきものならず、ただ備へられたる人こそ與へらるるなれ』
マタイ傳iケ書第二〇章
 爰にゼベダイの子らの母、その子らと共に御許にきたり、拜して何事か求めんとしたるに、
二一 イエス彼に言ひたまふ『何を望むか』かれ言ふ『この我が二人の子が汝の御國にて一人は汝の右に、一人は左に坐せんことを命じ給へ』
二二 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢらは求むる所を知らず、我が飮まんとする酒杯を飮み得るか』かれら言ふ『得るなり』
二三 イエス言ひたまふ『實に汝らは我が酒杯を飮むべし、然れど我が右左に坐することは、これ我の與ふべきものならず、我が父より備へられたる人こそ與へらるるなれ』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第一〇章
三五 さて、ゼベダイの子ヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちがお頼みすることは、なんでもかなえてくださるようにお願いします」。
三六 イエスは彼らに「何をしてほしいと、願うのか」と言われた。
三七 すると彼らは言った、「栄光をお受けになるとき、ひとりをあなたの右に、ひとりを左にすわるようにしてください」。
三八 イエスは言われた、「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができるか」。
三九 彼らは「できます」と答えた。するとイエスは言われた、「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けるであろう。
四〇 しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々だけに許されることである」。
マタイによる福音書第二〇章
二〇 そのとき、ゼベダイの子らの母が、その子らと一緒にイエスのもとにきてひざまずき、何事かをお願いした。
二一 そこでイエスは彼女に言われた、「何をしてほしいのか」。彼女は言った、「わたしのこのふたりのむすこが、あなたの御国で、ひとりはあなたの右に、ひとりは左にすわれるように、お言葉をください」。
二二 イエスは答えて言われた、「あなたがたは、自分が何を求めているのか、わかっていない。わたしの飲もうとしている杯を飲むことができるか」。彼らは「できます」と答えた。
二三 イエスは彼らに言われた、「確かに、あなたがたはわたしの杯を飲むことになろう。しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、わたしの父によって備えられている人々だけに許されることである」。
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