四つの福音書による一つのイエス物語142
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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唖を癒して人々を驚かす
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
7;31〜37 15;29〜31
第七章三一〜三七節 第一五章二九〜三一節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第七章
三一 イエス ッロとシドンの地を去てデカポリスの地を過ガリラヤのに至れり
三二 人聾の訥るをイエスに携來りて手を按給はん事を求ければ
三三 イエス衆人を離れ之を外へ携ゆき指を其耳にさしいれ又唾して其舌に
三四 且天を仰てじ其人に對てエツパタと曰これを譯ば啓よとの義なり
三五 直に其耳ひらけ舌の絡ゆるみて正く言へり
三六 イエス之を人に告る勿れと彼等を戒むれば戒むるほどu言揚しぬ
三七 衆人はなはだしく駭きて曰けるは此人の行し所ことごとく善あるひは聾を聽えさせ或は啞を言はしめたり
馬太傳iケ書第一五章
二九 イエス此を去ガリラヤの邊にゆき山に登りて坐せり
三十 多の人や跛 瞽者 瘖者 殘缺をよび各樣の疾病あるを伴ひきたりイエスの足下に置ければち之を醫しぬ
三一 是に於て瘖者はものいひ殘疾はいえ跛はあゆみ瞽者は見たるを人見て奇みイスラエルの~を榮たり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第七章
三一 イエス又ツロの地方を去りて、シドンを過ぎ、デカポリスの地力を經て、ガリラヤのに來り給ふ。
三二 人、耳聾にして物言ふことを連れ來りて、之に手をおき給はんことを願ふ。
三三 イエス群衆の中より、彼をひとり連れ出し、その兩耳に指をさし入れ、また唾して其の舌に觸り、
三四 天を仰ぎてじ、その人に對ひて『エパタ』と言ひ給ふ、ひらけよとの意なり。
三五 斯てその耳ひらけ、舌のただちに解け、正しく物いへり。
三六 イエス誰にもぐなと人を戒めたまふ。然れど戒むるほど反つて愈言ひ弘めたり。
三七 また甚だしく打驚きて言ふ『かれの爲しし事は皆よし、聾をも聞えしめ、啞をも物いはしむ』
マタイ傳iケ書第一五章
二九 イエス此處を去り、ガリラヤの邊にいたり、而して山に登り、そこに坐し給ふ。
 大なる群衆、跛者・不具盲人および他の多くのを連れ來りて、イエスの足下に置きたれば、醫し給へり。
三一 群衆は、啞の物いひ、不具のえ、跛み、盲人の見えたるを見て之を怪しみ、イスラエルの~を崇めたり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第七章
三一 それから、イエスはまたツロの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通りぬけ、ガリラヤの海べにこられた。
三二 すると人々は、耳が聞えず口のきけない人を、みもとに連れてきて、手を置いてやっていただきたいとお願いした。
三三 そこで、イエスは彼ひとりを群衆の中から連れ出し、その両耳に指をさし入れ、それから、つばきでその舌を潤し、
三四 天を仰いでため息をつき、その人に「エパタ」と言われた。これは「開けよ」という意味である。
三五 すると彼の耳が開け、その舌のもつれもすぐ解けて、はっきりと話すようになった。
三六 イエスは、この事をだれにも言ってはならぬと、人々に口止めをされたが、口止めをすればするほど、かえって、ますます言いひろめた。
三七 彼らは、ひとかたならず驚いて言った、「このかたのなさった事は、何もかも、すばらしい。耳の聞えない者を聞えるようにしてやり、口のきけない者をきけるようにしておやりになった」。
マタイによる福音書第一五章
二九 イエスはそこを去って、ガリラヤの海べに行き、それから山に登ってそこにすわられた。
三〇 すると大ぜいの群衆が、足、手、目や口などが不自由な人々、そのほか多くの人々を連れてきて、イエスの足もとに置いたので、彼らをおいやしになった。
三一 群衆は、口のきけなかった人が物を言い、手や足が不自由だった人がいやされ、盲人が見えるようになったのを見て驚き、そしてイスラエルの神をほめたたえた。
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