四つの福音書による一つのイエス物語131
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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131
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ヨハネ獄につながれる
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
6;14〜20 14;1〜5 3;19〜20
第六章一四〜二〇節 第一四章一〜五節 第三章一九〜二〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第六章
十四 イエスの名播りければヘロデ王これを聞て曰けるはバプテスマを施しヨハネ死より甦れる故に奇異なる能をなす也
十五 或人は之をエリヤなりといひ或は往昔の預言の如き預言なりと曰
十六 ヘロデ之を聞て曰けるは是わが首斬し所のヨハネ也かれ死より甦りたる也
十七 にヘロデその兄弟ピリポの妻ヘロデヤの事に困て人を遺しヨハネを捕て獄に繫げり蓋ヘロデが彼の婦を娶しを
十八 ヨハネ諫て爾兄弟の妻を納は宜からずと曰るに因てなり
十九 ヘロデヤ彼を怨て殺さんと欲しかど能ざりき
二十 ヘロデはヨハネを義かつ善なる人と知て彼を敬ひ彼を保護かれに聞て多の事を行ひ且喜びて彼に聽ことをせり
馬太傳iケ書第一四章
一 其ころ分封の君ヘロデ イエスの聲名を聞て
二 その僕に曰けるは是バプテスマのヨハネなり彼死より甦りたり故に異なる能を行ふなり
三 前にヘロデその兄弟ピリポの妻ヘロデヤの事に由てヨハネを捕へ縛て獄に入たり
四 此はヨハネ ヘロデに此婦を娶るは宜しからずと云しに因
五 彼ヨハネを殺さんと欲ど民これを預言とするにより彼等を懼たりしが
路加傳iケ書第三章
十九 さて分封の君なるヘロデその兄弟ピリポの妻ヘロデヤの事および行ふ所の凡の惡事をヨハネに責られければ
二十 猶も惡事を加へヨハネを獄に囚たり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第六章
一四 斯てイエスの名顯れたれば、ヘロデ王ききて言ふ『バプテスマのヨハネ、死人の中より甦へりたり。この故に此等の能力その中にくなり』
一五 或人は『エリヤなり』といひ、或人は『預言、いにしへの預言のごときなり』といふ。
一六 ヘロデ聞きて言ふ『わが首斬りしヨハネ、かれ甦へりたるなり』
一七 ヘロデ先にその娶りたる己が兄弟ピリポの妻ヘロデヤの爲に、みづから人を遣し、ヨハネを捕へて獄に繫げり。
一八 ヨハネ、ヘロデに『その兄弟の妻を納るるは、宜しからず』と言へるに因る。
一九 ヘロデヤ、ヨハネを怨みて殺さんと思へど能はず。
 それはヘロデ、ヨハネの義にして聖なる人たるを知りて、之を畏れ、之を護り、且そのヘをききて、大に惱みつつも、なは喜びて聽きたる故なり。
マタイ傳iケ書第一四章
一 そのころ、國守ヘロデ、イエスのをききて、
二 侍臣どもに言ふ『これバプテスマのヨハネなり。かれ死人の中より甦へりたり、然ればこそ此等の能力その內にくなれ』
三 ヘロデ先に己が兄弟ピリポの妻へロデヤの爲にヨハネを捕へ、縛りて獄に入れたり。
四 ヨハネ、ヘロデに『かの女を納るるは宣しからず』と言ひしに因る。
五 斯てヘロデ、ヨハネを殺さんと思へど、群衆を懼れたり。群衆ヨハネを預言とすればなり。
ルカ傳iケ書第三章
一九 然るに國守ヘロデ、その兄弟の妻ヘロデヤの事につき、又その行ひたる凡ての惡しき事につきて、ヨハネに責められたれば、
 更に復一つの惡しき事を加へて、ヨハネを獄に閉ぢこめたり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第六章
一四 さて、イエスの名が知れわたって、ヘロデ王の耳にはいった。ある人々は「バプテスマのヨハネが、死人の中からよみがえってきたのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」と言い、
一五 他の人々は「彼はエリヤだ」と言い、また他の人々は「昔の預言者のような預言者だ」と言った。
一六 ところが、ヘロデはこれを聞いて、「わたしが首を切ったあのヨハネがよみがえったのだ」と言った。
一七 このヘロデは、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤをめとったが、そのことで、人をつかわし、ヨハネを捕えて獄につないだ。
一八 それは、ヨハネがヘロデに、「兄弟の妻をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。
一九 そこで、ヘロデヤはヨハネを恨み、彼を殺そうと思っていたが、できないでいた。
二〇 それはヘロデが、ヨハネは正しくて聖なる人であることを知って、彼を恐れ、彼に保護を加え、またその教を聞いて非常に悩みながらも、なお喜んで聞いていたからである。
マタイによる福音書第一四章
一 そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、
二 家来に言った、「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ」。
三 というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕えて縛り、獄に入れていた。
四 すなわち、ヨハネはヘロデに、「その女をめとるのは、よろしくない」と言ったからである。
五 そこでヘロデはヨハネを殺そうと思ったが、群衆を恐れた。彼らがヨハネを預言者と認めていたからである。
ルカによる福音書第三章
一九 ところで領主ヘロデは、兄弟の妻ヘロデヤのことで、また自分がしたあらゆる悪事について、ヨハネから非難されていたので、
二〇 彼を獄に閉じ込めて、いろいろな悪事の上に、もう一つこの悪事を重ねた。
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