四つの福音書による一つのイエス物語127
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
*
127
*
「私が与える水を飲む人は二度と渇かない」
*
上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
4;1〜15
第四章一〜一五節
*
英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第四章
一 主おのれの弟子をること又バプテスマを施せることヨハネよりも多しとパリサイの人の聞しを知
二 然ど其實はイエス自らバプテスマを施せるに非ず弟子これを行るなり
三 其時ユダヤを去て復ガリラヤに往
四 サマリアを經ずして行こと能ず
五 遂にサマリアのスカルと云る邑に至れり此邑はヤコブその子ヨセフに予し地に近し
六 此にヤコブの井ありイエス行途の疲倦にて其井の傍に坐せり時は晝の十二時ごろなりき
七 一人のサマリアの婦水を汲んとて來りければイエスその婦に向て我に飮せよと曰
八 蓋弟子たち食物を買んために邑へ往て在ざりし故なり
九 サマリアの婦いひけるは爾はユダヤ人にして何ぞサマリアの婦なる我に飮ことを求るや此はユダヤ人とサマリアの人とは交際を爲ざれば也
十 イエス答て曰けるは爾もし~の賜と我に飮せよといふの誰なるを知ば爾われに求めん然ば活水を爾に予ふべし
十一 婦イエスに曰けるは主よ汲なく井も亦深し爾何處より汲て其活水を有るか
十二 この井に我の先ヤコブの予し所なり彼も其子も亦畜までも皆これを飮たり爾は彼よりも勝れしならん乎
十三 イエス答て曰けるは凡て此水を飮はまた渴ん
十四 然ど我あたふる水を飮は永遠かわく事なし且わが予る水は其中にて泉となり湧出て永生に至るべし
十五 婦いひけるは主よ我が渴ことなく亦この處に水を汲に來らぬ爲その水を我に予へよ
*
日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第四章
一 主、おのれの弟子を造り、之にバプテスマを施すこと、ヨハネよりも多しとパリサイ人に聞えたるを知り給ひし時、
二 (その實イエス自らパブテスマを施ししにあらず、その弟子たちなり)
三 ユダヤを去りて復ガリラヤに往き給ふ。
四 サマリヤを經ざるを得ず。
五 サマリヤのスカルといふ町にいたり給へるが、この町はヤコブその子ヨセフに與へし土地に近くして、
六 此處にヤコブの泉あり。イエス旅路に疲れて泉の傍らに坐し給ふ、時は第六時頃なりき。
七 サマリヤの或女、水を汲まんとて來りたれば、イエス之に『われに飮ませよ』と言ひたまふ。
八 弟子たちは食物を買はんとて町にゆきしなり。
九 サマリヤの女いふ『なんぢはユダヤ人なるに、如何なればサマリヤの女なる我に、飮むことを求むるか』これはユダヤ人とサマリヤ人とは交りせぬ故なり。
 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢ若し~の賜物を知り、また「我に飮ませよ」といふの誰なるを知りたらんには、之に求めしならん、然らば汝に活ける水を與へしものを』
一一 女いふ『主よ、なんぢは汲む物を持たず、井は深し、その活ける水は何處より得しぞ。
一二 汝はこの井を我らに與へし我らの父ヤコブよりも大なるか、彼も、その子らも、その家畜も、これより飮みたり』
一三 イエス答へて言ひ給ふ『すべて此の水をのむは、また渴かん。
一四 然れど我があたふる水を飮むは、永遠に渴くことなし。わが與ふる水は彼の中にて泉となり、永遠の生命の水湧きいづべし』
一五 女いふ『主よ、わが渴くことなく、又ここに汲みに來ぬために、その水を我にあたへよ』
*
日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第四章
一 イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、
二 (しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった)
三 ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。
四 しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。
五 そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、
六 そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。
七 ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。
八 弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。
九 すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。
一〇 イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。
一一 女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。
一二 あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。
一三 イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。
一四 しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。
一五 女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。
Office Murakami