四つの福音書による一つのイエス物語123
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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123
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「新しく生まれなければ神の国を見れない」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
3;1〜15
第三章一〜一五節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
約翰傳iケ書第三章
一 ユダヤ人の宰にてパリサイのニコデモと云る人あり
二 かれ夜イエスに來て曰けるはラビ我なんぢは~より來し師なりと知そは~もし人と偕ならずば爾が行るこの休徵は人これを行こと能ざれば也
三 イエス答て曰けるは誠に實に爾にん人もし新に生ずば~の國を見こと能はじ
四 ニコデモ彼に曰けるは人はや老ぬれば如何で復生る事を得んや再び母の腹に入て生る可んや
五 イエス答けるは誠に實に爾にん人は水と靈とに由て生ざれば~の國に入こと能ざる也
六 肉に由て生るゝ者は肉なり靈に由て生るゝ者は靈なり
七 我なんぢに新に生るべき事を言しを奇と爲なかれ
八 風は己が任に吹なんぢ其聲を聞ども何處より來り何處へ往を知ず凡て靈に由て生るゝ者も此の如し
九 ニコデモ答て如何で此事あらん乎と曰
十 イエス答て曰けるは爾はイスラエルの師なるに猶この事を知ざる乎
十一 誠に實に爾にん我知し事をいひ見し事を證するに爾曹は我の證を受ず
十二 若われ地の事を言に爾曹信ぜずばて天の事を言んには何で信ずることを爲んや
十三 天より降り天にをる人の子の外に天に升しなし
十四 モセ野に蛇を擧し如く人の子も擧らるべし
十五 凡て之を信ずるに亡ること無して永生を受しめんが爲なり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ヨハネ傳iケ書第三章
一 爰にパリサイ人にて名をニコデモといふ人あり、ユダヤ人の宰なり。
二 夜イエスの許に來りて言ふ『ラビ、我らは汝の~より來る師なるを知る。~もし偕に在さずば、汝が行ふこれらの徵は誰もなし能はぬなり』
三 イエス答へて言ひ給ふ『まことに誠に汝にぐ、人あらたに生れずば、~の國を見ること能はず』
四 ニコデモ言ふ『人はや老いぬれば、爭で生るる事を得んや、再び母の胎に入りて生るることを得んや』
五 イエス答へ給ふ『まことに誠に汝にぐ、人は水と靈とによりて生れずば、~の國に入ること能はず。
六 肉によりて生るるは肉なり、靈によりて生るるは靈なり。
七 なんぢら新に生るべしと我が汝に言ひしを怪しむな。
八 風は己が好むところに吹く、汝その聲を聞けども、何處より來り何處へ往くを知らず。すべて靈によりて生るるも斯のごとし』
九 ニコデモ答へて言ふ『いかで斯る事どものあり得べき』
 イエス答へて言ひ給ふ『なんぢはイスラエルの師にして猶かかる事どもを知らぬか。
一一 誠にまことに汝にぐ、我ら知ることを語り、また見しことを證す、然るに汝らその證を受けず。
一二 われ地のことを言ふに汝ら信ぜずば、天のことを言はんには爭で信ぜんや。
一三 天より降りしち人の子の他には、天に昇りしものなし。
一四 モセ荒野にて蛇を擧げしごとく、人の子もまた必ず擧げらるべし。
一五 すべて信ずるの彼によりて永遠の生命を得ん爲なり』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ヨハネによる福音書第三章
一 パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。
二 この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。
三 イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。
四 ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。
五 イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。
六 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。
七 あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。
八 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。
九 ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。
一〇 イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。
一一 よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。
一二 わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。
一三 天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。
一四 そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。
一五 それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。
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