四つの福音書による一つのイエス物語121
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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121
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善きサマリア人の譬を語る
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
10;29〜37
第一〇章二九〜三七節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
路加傳iケ書第一〇章
二九 彼みづからを罪なきに爲んとてイエスに曰けるは我とは誰なる乎
三十 イエス答て曰けるはある人エルサレムよりエリコに下るとき强盜に遇り强盜その衣服を剝取て之を打擲き瀕死になして去ぬ
三一 斯る時に或祭司この路より下しが之を見過にして行り
三二 又レビの人も此に至り進み見て同く過行り
三三 或サマリアの人旅して此に來り之を見て憫み
三四 近よりて油と酒を其傷に沃これをて己が驢馬にのせ旅邸に携往て介抱せり
三五 次日いづるとき銀二枚を出し館主に予て此人を介抱せよ費もし揩ホ我かへりの時なんぢに償ふべしと曰り
三六 然ば此三人のうち誰か强盜に遇しなると爾意ふや
三七 彼いひけるは其人を矜恤たるなりイエス曰けるは爾も往て其ごとく爲よ
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ルカ傳iケ書第一〇章
二九 彼おのれを義とせんとしてイエスに言ふ『わが隣とは誰なるか』
 イエス答へて言ひたまふ『或人エルサレムよりエリコに下るとき、强盜にあひしが、强盜どもその衣を剝ぎ、傷を負はせ、半死半生にして棄て去りぬ。
三一 或る祭司たまたま此の途より下り、之を見てかなたを過ぎ往けり。
三二 又レビ人も此處にきたり、之を見て同じく彼方を過ぎ往けり。
三三 然るに或るサマリヤ人、旅して其の許にきたり、之を見て憫み、
三四 近寄りて油と葡萄酒とを注ぎ傷を包みて己が畜にのせ、旅舍に連れゆきて介抱し、
三五 あくる日デナリ二つを出し、主人に與へて「この人を介抱せよ。費もし揩ウば我が歸りくる時に償はん」と云へり。
三六 汝いかに思ふか、此の三人のうち、孰か强盜にあひしの隣となりしぞ』
三七 かれ言ふ『その人に憐憫を施したるなり』イエス言ひ給ふ『なんぢも往きて其の如くせよ』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ルカによる福音書第一〇章
二九 すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。
三〇 イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。
三一 するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。
三二 同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。
三三 ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、
三四 近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。
三五 翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。
三六 この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。
三七 彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。
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