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四つの福音書による一つのイエス物語108 |
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マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました |
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます |
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています |
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました |
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108 |
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会堂司の娘と長血の女を癒す |
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか |
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ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ |
ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ |
ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ |
ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ |
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馬可傳iケ書 |
馬太傳iケ書 |
路加傳iケ書 |
約翰傳iケ書 |
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マルコ傳iケ書 |
マタイ傳iケ書 |
ルカ傳iケ書 |
ヨハネ傳iケ書 |
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マルコによる福音書 |
マタイによる福音書 |
ルカによる福音書 |
ヨハネによる福音書 |
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5;21〜43 |
9;18〜26 |
8;40〜56 |
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第五章二一〜四三節 |
第九章一八〜二六節 |
第八章四〇〜五六節 |
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう |
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馬可傳iケ書第五章 |
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二一 イエス舟に乘て復海の彼岸に濟しに大勢の人々彼に集るイエスは海に近をれり |
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二二 會堂の宰ヤイロといふ人きたりイエスを見て其足下に伏 |
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二三 切々に求いひけるは我いとけなき女死る瀕になりぬ之を救ん爲に來りて手を彼に按たまへ然ば女は生べし |
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二四 イエス彼と共に往とき衆多の人々彼に從ひて擁あへり |
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二五 爰に十二年血漏を患たる婦あり |
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二六 此婦おはくの醫者の爲に甚だ苦められ其所有をも盡く費しけれども何のuもなく轉て惡かりしが |
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二七 イエスの事を聞て群集の中より彼の後に來その衣に捫れり |
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二八 是その衣にだに捫らば愈るべしと曰ばなり |
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二九 斯て血の漏ること直にとまり既に疾いえしと其身に覺たり |
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三十 イエス自ら能力の己より出たるを知おほぜいの人々を顧みて曰けるは我衣に捫りし者は誰なる乎 |
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三一 弟子かれに曰けるは群集の人々の爾に擁あふを見て我に捫りし者は誰ぞと曰たまふ乎 |
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三二 イエスこの事を行る婦を見んと環視しければ |
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三三 婦おそれ戰慄おのが身にせられし事をしり來て彼の前に俯伏ことごとく實情を告 |
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三四 イエス彼に曰けるは女よ爾の信なんぢを救り安然にして往なんぢの疾いゆべし |
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三五 イエスこの事を言をるうちに會堂の宰の家より人々來りて曰けるは爾の女すでに死たり何ぞ師を煩はす乎 |
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三六 イエス直に其告る所の言をきゝ會堂の宰に曰けるは懼るゝ勿たゞ信ぜよ |
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三七 イエス ペテロとヤコブ及その兄弟ヨハネの外は誰にも共に往ことを許さゞりき |
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三八 既に會堂の宰の家に來りて人々の忙亂いたく哭泣を見る |
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三九 入て彼等に曰けるは何ぞ忙亂かつ哭や女は死るに非たゞ寢たる耳 |
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四十 彼等イエスを哂笑ふイエス凡の人々を出し女の父母とその從へる者等を率つれ女の臥たる所に入 |
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四一 女の手を執て之に曰けるはタリタクミ之を譯ば女よ我なんぢに命ず起よといふ義なり |
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四二 直に女おきて行めり彼は年十二歲なり彼等はなはだ駭きぬ |
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四三 イエスこの事を人に知する勿れと嚴く戒め又女に食物を與よと命じたり |
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馬太傳iケ書第九章 |
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十八 イエス彼等に此事を言る時ある宰きたり拜して曰けるは我女いま既に死り來て彼に手を按たまはゞ生べし |
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十九 イエス起て彼に從ひ其弟子と偕に往 |
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二十 十二年血漏を患へる婦うしろに來て其衣の裾に捫れり |
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二一 蓋もし衣にだにも捫らば愈んと意へばなり |
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二二 イエスふりかへり婦を見て曰けるは女よ心安かれ爾の信仰なんぢを愈せり即ち婦この時より愈 |
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二三 イエス宰の家に入しに笛ふく者および多の人の泣咷を見て |
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二四 之に曰けるは退け女は死るに非ずたゞ寢たるのみ人々イエスを哂笑ふ |
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二五 彼等を出しゝ後いりて其手を執しに女起たり |
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二六 此聲名あまねく其地に播りぬ |
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路加傳iケ書第八章 |
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四十 イエス返たるとき衆人みな佇望て之を喜び接ふ |
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四一四二 ヤイロと云る人あり此は 會堂の宰なり年おほよそ十二歲なる一人の女ありて瀕死なりければ來イエスの足下に伏て我家に來り給んことを求りイエスの往とき衆人これに擁あへり |
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四二 |
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四三 婦あり十二年血漏を患ひ醫者の爲に其業を盡く耗しけれど誰にも痊れ得ざりしが |
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四四 イエスの後に來て其衣の裾に捫ければ直に血の漏こと止ぬ |
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四五 イエス曰けるは我に捫る者は誰ぞや衆人はみな特に捫れる者なしと曰りペテロおよび偕に在者ども曰けるは師よ衆人なんぢに擁擠せまるに我に捫る者は誰ぞと曰たまふ乎 |
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四六 イエス曰けるは我に捫る者あり能力の我身より出るを覺れば也 |
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四七 その婦みづから隱せぬを知をのゝき來て前に伏さはりし故と其ただちに愈たることを衆人の前に吿 |
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四八 イエス曰けるは女よ心安かれ爾の信なんぢを救へり安然にして往 |
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四九 かく言る時に會堂の宰の家より人きたりて宰に曰けるは爾が女はや死たり師を勞はす勿れ |
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五十 イエス之をきゝ答て宰に曰けるは懼るゝ勿たゞ信ぜよ女は痊べし |
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五一 イエス家に入にペテロ ヤコブ ヨハネおよび女の父母の外たれにも偕に入ことを許さゞりき |
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五二 衆人みな女の爲に哭哀しかばイエス曰けるは哭なかれ死たるに非ず寢たる耳 |
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五三 彼等その死たるを知ば之を笑へり |
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五四 イエス人々を皆いだして女の手をとり女起よと呼曰ければ |
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五五 某魂かへりて忽ち起たりイエス命じて食を予しかば |
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五六 父母は駭異ぬイエスこの行しことを人を吿るを戒め給へり |
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう |
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マルコ傳iケ書第五章 |
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二一 イエス舟にて、復かなたに渡り給ひしに、大なる群衆みもとに集る、イエス海邊に在せり。 |
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二二 會堂司の一人、ヤイロといふ者きたり、イエスを見て、その足下に伏し、 |
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二三 切に願ひて言ふ『わが稚なき娘、いまはの際なり、來りて手をおき給へ、さらば救はれて活くべし』 |
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二四 イエス彼と共にゆき給へば、大なる群衆したがひつつ御許に押迫る。 |
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二五 爰に十二年、血漏を患ひたる女あり。 |
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二六 多くの醫者に多く苦しめられ、有てる物をことごとく費したれど、何の効なく、反つて々惡しくなりたり。 |
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二七 イエスの事をききて、群衆にまじり、後に來りて、御衣にさはる、 |
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二八 『その衣にだに觸らば救はれん』と自ら謂へり。 |
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二九 斯て血の泉、ただちに乾き、病のいえたるを身に覺えたり。 |
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三〇 イエス直ちに能力の己より出でたるを自ら知り、群衆の中にて、振反り言ひたまふ『誰が我の衣に觸りしぞ』 |
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三一 弟子たち言ふ『群衆の押迫るを見て、誰が我に觸りしぞと言ひ給ふか』 |
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三二 イエスこの事を爲しし者を見んとて見囘し給ふ。 |
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三三 女おそれ戰き、己が身になりし事を知り、來りて御前に平伏し、ありしままを吿ぐ。 |
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三四 イエス言ひ給ふ『娘よ、なんぢの信仰なんぢを救へり、安らかに往け、病いえて健かになれ』 |
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三五 かく語り給ふほどに、會堂司の家より人々きたりて言ふ『なんぢの娘は早や死にたり、爭でなほ師を煩はすべき』 |
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三六 イエス其の吿ぐる言を傍より聞きて、會堂司に言ひたまふ『懼るな、ただ信ぜよ』 |
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三七 斯てペテロ、ヤコブその兄弟ヨハネの他は、ともに往く事を誰にも許し給はず。 |
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三八 彼ら會堂司の家に來る。イエス多くの人の、甚く泣きつ叫びつする騷を見、 |
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三九 入りて言ひ給ふ『なんぞ騷ぎ、かつ泣くか、幼兒は死にたるにあらず、寐ねたるなり』 |
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四〇 人々イエスを嘲笑ふ。イエス彼等をみな外に出し、幼兒の父と母と己に伴へる者とを率きつれて、幼兒のをる處に入り、 |
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四一 幼兒の手を執りて『タリタ、クミ』と言ひたまふ。少女よ、我なんぢに言ふ、起きよ、との意なり。 |
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四二 直ちに少女たちて歩む、その歲十二なりければなり。彼ら直ちに甚く驚きおどろけり。 |
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四三 イエス比の事を誰にも知れぬやうにせよと、堅く彼らを戒め、また食物を娘に與ふることを命じ給ふ。 |
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マタイ傳iケ書第九章 |
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一八 イエス此等のことを語りゐ給ふとき、視よ、一人の司きたり、拜して言ふ『わが娘いま死にたり。然れど來りて御手を之におき給はば活きん』 |
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一九 イエス起ちて彼に伴ひ給ふに、弟子たちも從ふ。 |
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二〇 視よ、十二年血漏を患ひゐたる女、イエスの後にきたりて、御衣の總にさはる。 |
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二一 それは御衣にだに觸らば救はれんと心の中にいへるなり。 |
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二二 イエスふりかヘり、女を見て言ひたまふ『娘よ、心安かれ、汝の信仰なんぢを救へり』女この時より救はれたり。 |
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二三 斯てイエス司の家にいたり、笛ふく者と騷ぐ群衆とを見て言ひたまふ、 |
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二四 『退け、少女は死にたるにあらず、寐ねたるなり』人々イエスを嘲笑ふ。 |
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二五 群衆の出されし後、いりてその手をとり給へば、少女おきたり。 |
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二六 この聲聞あまねく其の地に弘まりぬ。 |
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ルカ傳iケ書第八章 |
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四〇 斯てイエスの歸り給ひしとき、群衆これを迎ふ、みな待ちゐたるなり。 |
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四一 視よ、會堂司にてヤイロといふ者あり、來りてイエスの足下に伏し、その家にきたり給はんことを願ふ。 |
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四二 おほよそ十二歲ほどの一人娘ありて死ぬばかりなる故なり。イエスの往き給ふとき、群衆かこみ塞がる。 |
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四三 爰に十二年このかた血漏を患ひて醫者の爲に己が身代をことごとく費したれども、誰にも瘉され得ざりし女あり。 |
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四四 イエスの後に來りて、御衣の總にさはりたれば、血の出づること立刻に止みたり。 |
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四五 イエス言ひ給ふ『我に觸りしは誰ぞ』人みな否みたれば、ペテロ及び共にをる者ども言ふ『君よ、群衆なんぢを圍みて押し迫るなり』 |
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四六 イエス言も給ふ『われに觸りし者あり、能力の我より出でたるを知る』 |
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四七 女おのが隱れ得ぬことを知り、戰き來りて御前に平伏し、觸りし故と立刻に瘉えたる事とを、人々の前にて吿ぐ。 |
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四八 イエス言ひ給ふ『むすめよ、汝の信仰なんぢを救へり、安らかに往け』 |
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四九 かく語り給ふほどに、會堂司の家より人きたりて言ふ『なんぢの娘は早や死にたり、師を煩はすな』 |
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五〇 イエス之を聞きて會堂司に答へたまふ『懼るな、ただ信ぜよ。さらば娘は救はれん』 |
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五一 イエス家に到りて、ペテロ、ヨハネ、ヤコブ及び子の父母の他は、ともに入ることを誰にも許し給はず。 |
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五二 人みな泣き、かつ子のために歎き居たりしが、イエス言ひたまふ『泣くな。死にたるにあらず、寢ねたるなり』 |
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五三 人々その死にたるを知れば、イエスを嘲笑ふ。 |
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五四 然るにイエス子の手をとり、呼びて『子よ、起きよ』と言ひ給へば、 |
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五五 その靈かヘりて立刻に起く。イエス食物を之に與ふることを命じ給ふ。 |
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五六 その兩親おどろきたり。イエス此の有りし事を誰にも語らぬやうに命じ給ふ。 |
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう |
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マルコによる福音書第五章 |
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二一 イエスがまた舟で向こう岸へ渡られると、大ぜいの群衆がみもとに集まってきた。イエスは海べにおられた。 |
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二二 そこへ、会堂司のひとりであるヤイロという者がきて、イエスを見かけるとその足もとにひれ伏し、 |
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二三 しきりに願って言った、「わたしの幼い娘が死にかかっています。どうぞ、その子がなおって助かりますように、おいでになって、手をおいてやってください」。 |
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二四 そこで、イエスは彼と一緒に出かけられた。大ぜいの群衆もイエスに押し迫りながら、ついて行った。 |
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二五 さてここに、十二年間も長血をわずらっている女がいた。 |
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二六 多くの医者にかかって、さんざん苦しめられ、その持ち物をみな費してしまったが、なんのかいもないばかりか、かえってますます悪くなる一方であった。 |
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二七 この女がイエスのことを聞いて、群衆の中にまぎれ込み、うしろから、み衣にさわった。 |
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二八 それは、せめて、み衣にでもさわれば、なおしていただけるだろうと、思っていたからである。 |
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二九 すると、血の元がすぐにかわき、女は病気がなおったことを、その身に感じた。 |
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三〇 イエスはすぐ、自分の内から力が出て行ったことに気づかれて、群衆の中で振り向き、「わたしの着物にさわったのはだれか」と言われた。 |
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三一 そこで弟子たちが言った、「ごらんのとおり、群衆があなたに押し迫っていますのに、だれがさわったかと、おっしゃるのですか」。 |
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三二 しかし、イエスはさわった者を見つけようとして、見まわしておられた。 |
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三三 その女は自分の身に起ったことを知って、恐れおののきながら進み出て、みまえにひれ伏して、すべてありのままを申し上げた。 |
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三四 イエスはその女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。すっかりなおって、達者でいなさい」。 |
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三五 イエスが、まだ話しておられるうちに、会堂司の家から人々がきて言った、「あなたの娘はなくなりました。このうえ、先生を煩わすには及びますまい」。 |
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三六 イエスはその話している言葉を聞き流して、会堂司に言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい」。 |
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三七 そしてペテロ、ヤコブ、ヤコブの兄弟ヨハネのほかは、ついて来ることを、だれにもお許しにならなかった。 |
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三八 彼らが会堂司の家に着くと、イエスは人々が大声で泣いたり、叫んだりして、騒いでいるのをごらんになり、 |
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三九 内にはいって、彼らに言われた、「なぜ泣き騒いでいるのか。子供は死んだのではない。眠っているだけである」。 |
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四〇 人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスはみんなの者を外に出し、子供の父母と供の者たちだけを連れて、子供のいる所にはいって行かれた。 |
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四一 そして子供の手を取って、「タリタ、クミ」と言われた。それは、「少女よ、さあ、起きなさい」という意味である。 |
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四二 すると、少女はすぐに起き上がって、歩き出した。十二歳にもなっていたからである。彼らはたちまち非常な驚きに打たれた。 |
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四三 イエスは、だれにもこの事を知らすなと、きびしく彼らに命じ、また、少女に食物を与えるようにと言われた。 |
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マタイによる福音書第九章 |
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一八 これらのことを彼らに話しておられると、そこにひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死にました。しかしおいでになって手をその上においてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。 |
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一九 そこで、イエスが立って彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。 |
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二〇 するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が近寄ってきて、イエスのうしろからみ衣のふさにさわった。 |
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二一 み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。 |
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二二 イエスは振り向いて、この女を見て言われた、「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。するとこの女はその時に、いやされた。 |
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二三 それからイエスは司の家に着き、笛吹きどもや騒いでいる群衆を見て言われた。 |
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二四 「あちらへ行っていなさい。少女は死んだのではない。眠っているだけである」。すると人々はイエスをあざ笑った。 |
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二五 しかし、群衆を外へ出したのち、イエスは内へはいって、少女の手をお取りになると、少女は起きあがった。 |
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二六 そして、そのうわさがこの地方全体にひろまった。 |
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ルカによる福音書第八章 |
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四〇 イエスが帰ってこられると、群衆は喜び迎えた。みんながイエスを待ちうけていたのである。 |
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四一 するとそこに、ヤイロという名の人がきた。この人は会堂司であった。イエスの足もとにひれ伏して、自分の家においでくださるようにと、しきりに願った。 |
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四二 彼に十二歳ばかりになるひとり娘があったが、死にかけていた。ところが、イエスが出て行かれる途中、群衆が押し迫ってきた。 |
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四三 ここに、十二年間も長血をわずらっていて、医者のために自分の身代をみな使い果してしまったが、だれにもなおしてもらえなかった女がいた。 |
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四四 この女がうしろから近寄ってみ衣のふさにさわったところ、その長血がたちまち止まってしまった。 |
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四五 イエスは言われた、「わたしにさわったのは、だれか」。人々はみな自分ではないと言ったので、ペテロが「先生、群衆があなたを取り囲んで、ひしめき合っているのです」と答えた。 |
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四六 しかしイエスは言われた、「だれかがわたしにさわった。力がわたしから出て行ったのを感じたのだ」。 |
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四七 女は隠しきれないのを知って、震えながら進み出て、みまえにひれ伏し、イエスにさわった訳と、さわるとたちまちなおったこととを、みんなの前で話した。 |
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四八 そこでイエスが女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。 |
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四九 イエスがまだ話しておられるうちに、会堂司の家から人がきて、「お嬢さんはなくなられました。この上、先生を煩わすには及びません」と言った。 |
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五〇 しかしイエスはこれを聞いて会堂司にむかって言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい。娘は助かるのだ」。 |
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五一 それから家にはいられるとき、ペテロ、ヨハネ、ヤコブおよびその子の父母のほかは、だれも一緒にはいって来ることをお許しにならなかった。 |
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五二 人々はみな、娘のために泣き悲しんでいた。イエスは言われた、「泣くな、娘は死んだのではない。眠っているだけである」。 |
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五三 人々は娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑った。 |
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五四 イエスは娘の手を取って、呼びかけて言われた、「娘よ、起きなさい」。 |
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五五 するとその霊がもどってきて、娘は即座に立ち上がった。イエスは何か食べ物を与えるように、さしずをされた。 |
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五六 両親は驚いてしまった。イエスはこの出来事をだれにも話さないようにと、彼らに命じられた。 |
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Office Murakami |