四つの福音書による一つのイエス物語84
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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084
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「私の母とは誰か」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
3;31〜35 12;46〜50 8;19〜21 2;1〜5
第三章三一〜三五節 第一二章四六〜五〇節 第八章一九〜二一節 第二章一〜五節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第三章
三一 その兄弟と母と來りて外にたち人を遣してイエスを呼しむ
三二 多の人イエスを環て坐したりしが彼に曰けるはよ爾の母と兄弟外に在て爾を尋ぬ
三三 イエス答て曰けるは我母わが兄弟は誰ぞや
三四 斯て側に坐する人を環して曰けるは我母わが兄弟を見よ
三五 それ~の旨に從ふは是わが兄弟わが妹わが母なり
馬太傳iケ書第一二章
四六 イエス人に語をる時その母と兄弟かれに言はんとて外に立ければ
四七 或人イエスに曰けるは爾の母と兄弟なんぢに言はんとして外に立り
四八 イエスに答て曰けるは我母は誰ぞ我兄弟は誰ぞや
四九 手を伸その弟子を指て曰けるは是わが母わが兄弟なり
五十 蓋すべて我が天に在す父の旨を行ふは是わが兄弟わが妹わが母なれば也
路加傳iケ書第八章
十九 此時イエスの母と兄弟きたりけれど群集に因て近くこと能ざりしかば
二十 或人これをイエスにて曰けるは爾が母と兄弟なんぢに遇んとて外に立り
二一 イエス答て曰けるは~の道を聽て之を行ふは乃ち我母わが兄弟なり
約翰傳iケ書第二章
一 第三日にガリラヤのカナにて婚筵ありしがイエスの母も此に居り
二 イエスと其弟子も婚筵に請る
三 葡萄酒ければ母イエスに曰けるは彼等に葡萄酒なし
四 イエス彼に曰けるは婦よ爾と我と何の與あらんや我時は未だ至ず
五 その母僕等に向て彼が爾曹に命ずる所の事を行よと曰おけり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第三章
三一 爰にイエスの母と兄弟と來りて外に立ち、人を遣してイエスを呼ばしむ。
三二 群衆イエスを環りて坐したりしが、或いふ『よ、なんぢの母と兄弟・姊妹と外にありて汝を尋ぬ』
三三 イエス答へて言ひ給ふ『わが母、わが兄弟とは誰ぞ』
三四 斯て周圍に坐する人を見して言ひたまふ『よ、これは我が母、わが兄弟なり。
三五 誰にても~の御意を行ふものは、是わが兄弟、わが妹、わが母なり』
マタイ傳iケ書第一二章
四六 イエスなほ群衆にかたり居給ふとき、よ、その母と兄弟たちと、彼に物言はんとて外に立つ。
四七 或人イエスに言ふ『よ、なんぢの母と兄弟たちと、汝に物言はんとて外に立てり』
四八 イエスげしに答へて言ひたまふ『わが母とは誰ぞ、わが兄弟とは誰ぞ』
四九 斯て手をのべ、弟子たちを指して言ひたまふ『よ、これは我が母、わが兄弟なり。
 誰にても天にいます我が父の御意をおこなふは、ち我が兄弟、わが妹、わが母なり』
ルカ傳iケ書第八章
一九 さてイエスの母と兄弟と來りたれど、群衆によりて近づくこと能はず。
 或人イエスに『なんぢの母と兄弟と汝に逢はんとて外に立つ』とげたれば、
二一 答へて言ひたまふ『わが母、わが兄弟は、~の言を聽き、かつ行ふ此らのなり』
ヨハネ傳iケ書第二章
一 三日めにガリラヤのカナに婚禮ありて、イエスの母そこに居り、
二 イエスも弟子たちと共に婚禮に招かれ給ふ。
三 葡萄酒つきたれば、母、イエスに言ふ『かれらに葡萄酒なし』
四 イエス言ひ給ふ『をんなよ、我と汝となにの關係あらんや、我が時は未だ來らず』
五 母、僕どもに『何にても其の命ずる如くせよ』と言ひおく。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第三章
三一 さて、イエスの母と兄弟たちとがきて、外に立ち、人をやってイエスを呼ばせた。
三二 ときに、群衆はイエスを囲んですわっていたが、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟、姉妹たちが、外であなたを尋ねておられます」と言った。
三三 すると、イエスは彼らに答えて言われた、「わたしの母、わたしの兄弟とは、だれのことか」。
三四 そして、自分をとりかこんで、すわっている人々を見まわして、言われた、「ごらんなさい、ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。
三五 神のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。
マタイによる福音書第一二章
四六 イエスがまだ群衆に話しておられるとき、その母と兄弟たちとが、イエスに話そうと思って外に立っていた。
四七 それで、ある人がイエスに言った、「ごらんなさい。あなたの母上と兄弟がたが、あなたに話そうと思って、外に立っておられます」。
四八 イエスは知らせてくれた者に答えて言われた、「わたしの母とは、だれのことか。わたしの兄弟とは、だれのことか」。
四九 そして、弟子たちの方に手をさし伸べて言われた、「ごらんなさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。
五〇 天にいますわたしの父のみこころを行う者はだれでも、わたしの兄弟、また姉妹、また母なのである」。
ルカによる福音書第八章
一九 さて、イエスの母と兄弟たちとがイエスのところにきたが、群衆のためそば近くに行くことができなかった。
二〇 それで、だれかが「あなたの母上と兄弟がたが、お目にかかろうと思って、外に立っておられます」と取次いだ。
二一 するとイエスは人々にむかって言われた、「神の御言を聞いて行う者こそ、わたしの母、わたしの兄弟なのである」。
ヨハネによる福音書第二章
一 三日目にガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。
二 イエスも弟子たちも、その婚礼に招かれた。
三 ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、「ぶどう酒がなくなってしまいました」。
四 イエスは母に言われた、「婦人よ、あなたは、わたしと、なんの係わりがありますか。わたしの時は、まだきていません」。
五 母は僕たちに言った、「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」。
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