四つの福音書による一つのイエス物語78
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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078
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ベルゼベルと言われたことに答える
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
3;22〜27 12;22〜30 11;17〜23
第三章二二〜二七節 第一二章二二〜三〇節 第一一章一七〜二三節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第三章
二二 又エルサレムより下れる學等も彼はベルゼブルに憑れたり且鬼の王に藉て鬼を逐出すなりと曰り
二三 イエス彼等を召び譬を以て曰けるはサタンは何でサタンを逐出し得んや
二四 もし國おのれに悖て分爭は其國立べからず
二五 また家おのれに悖て分爭は其家立べからず
二六 若サタン己に悖り起て分爭は彼たつ可からず反て終るなるべし
二七 誰にても勇士の家に入て其家具を奪んとせば先勇士を縛らざれば奪ふこと能はじ縛て後その家を奪ふべし
馬太傳iケ書第一二章
二二 爰に鬼に憑たるなるをイエスの所に携來りければ此を醫して言ひ見るやうに爲り
二三 衆人みな奇みて曰けるは此はダビデの裔には非ざる乎
二四 パリサイの人きて曰けるは此人は鬼の王ベルゼブルを役ふに非ざれば鬼を逐出ことなし
二五 イエスその心を知て彼等に曰けるは凡て相爭ふ國は亡び凡て相爭ふ邑や家は立べからず
二六 サタン若サタンを逐出さば自ら相爭ふなり然ば其國いかで立んや
二七 若われベルゼブルに由て惡鬼を逐出さば爾曹の子弟は誰に由て之を逐出すや夫かれらは爾曹の裁判人となるべし
二八 若われ~の靈に由て鬼を逐出しならば~の國はもはや爾曹に至れり
二九 また勇士をまづ縛らざれば如何で其家に入その家具を奪ふことを得んや縛て後に其家を奪ふべし
三十 我と偕ならざるは我に背き我と偕に斂ざるは散すなり
路加傳iケ書第一一章
十七 イエスその意を知て曰けるは互に分爭ふ國は亡び互に分爭ふ家は傾る
十八 若サタンも自ら分爭は其國いかで立んや其なんぢら我を言てベルゼブルに藉て惡鬼を逐出すとせり
十九 若われベルゼブルに藉て惡鬼を逐出さば爾曹の子弟は誰に藉て惡鬼を逐出すや夫かれらは爾曹の裁判人と爲べし
二十 若われ~の指をもて惡鬼を逐出たるならば~の國はや爾曹に來れり
二一 勇鎧をて邸を守るときは其所有安全なり
二二 もし之より勇きたりて其に勝ときは其恃とせる鎧を奪ひ且贓物を分べし
二三 我と偕ならざるは我に叛き我と偕に斂ざるは散すなり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第三章
二二 又エルサレムより下れる學たちも『彼はベルゼブルに憑かれたり』と言ひ、かつ『惡鬼の首によりて惡鬼を逐ひ出すなり』と言ふ。
二三 イエス彼らを呼びよせ、譬にて言ひ給ふ『サタンは、いかでサタンを逐ひ出し得んや。
二四 もし國分れ爭はば、其の國立つこと能はず。
二五 もし家分れ爭はば、其の家立つこと能はざるべし。
二六 若しサタン己に逆ひて分れ爭はば、立つこと能はず、反つて亡び果てん。
二七 誰にても先づ强きを縛らずば、强きの家に入りて其の家財を奪ふこと能はじ、縛りて後その家を奪ふべし。
マタイ傳iケ書第一二章
二二 ここに惡鬼に憑かれたる盲目の啞を御許に連れ來りたれば、之を醫して啞の物言ひ、見ゆるやうに爲したまひぬ。
二三 群衆みな驚きて言ふ『これはダビデの子にあらぬか』
二四 然るにパリサイ人ききて言ふ『この人、惡鬼の首ベルゼブルによらでは惡鬼を逐ひ出すことなし』
二五 イエス彼らの思を知りて言ひ給ふ『すべて分れ爭ふ國はほろび、分れ爭ふ町また家はたたず。
二六 サタンもしサタンを逐ひ出さば、自ら分れ爭ふなり。然らばその國いかで立つべき。
二七 我もしベルゼブルによりて惡鬼を逐ひ出さば、汝らの子は誰によりて之を逐ひ出すか。この故に彼らは汝らの審判人となるべし。
二八 然れど我もし~の靈にょりて惡鬼を逐ひ出さば、~の國は旣に汝らに到れるなり。
二九 人まづ强きを縛らずば、いかで强きの家に入りて、その家財を奪ふことを得ん、縛りて後その家を奪ふべし。
 我と偕ならぬは我にそむき、我とともに集めぬは散すなり。
ルカ傳iケ書第一一章
一七 イエスその思を知りて言ひ給ふ『すべて分れ爭ふ國は亡び、分れ爭ふ家は倒る。
一八 サタンもし分れ爭はば、其の國いかで立つべき。汝等わが惡鬼を逐ひ出すを、ベルゼブルに由ると言へばなり。
一九 我もしベルゼブルによりて、惡鬼を逐ひ出さば、汝らの子は誰によりて之を逐ひ出すか。この故に彼らは汝らの審判人となるべし。
 然れど我もし~の指によりて、惡鬼を逐ひ出さば、~の國は旣に汝らに到れるなり。
二一 强きもの武具をよろひて己が屋敷を守るときは、其の所有、安全なり。
二二 然れど更に强きもの來りて、之に勝つときは、恃とする武具をことごとく奪ひて、分捕物を分たん。
二三 我と偕ならぬは我にそむき、我と共に集めぬは散らすなり。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第三章
二二 また、エルサレムから下ってきた律法学者たちも、「彼はベルゼブルにとりつかれている」と言い、「悪霊どものかしらによって、悪霊どもを追い出しているのだ」とも言った。
二三 そこでイエスは彼らを呼び寄せ、譬をもって言われた、「どうして、サタンがサタンを追い出すことができようか。
二四 もし国が内部で分れ争うなら、その国は立ち行かない。
二五 また、もし家が内わで分れ争うなら、その家は立ち行かないであろう。
二六 もしサタンが内部で対立し分争するなら、彼は立ち行けず、滅んでしまう。
二七 だれでも、まず強い人を縛りあげなければ、その人の家に押し入って家財を奪い取ることはできない。縛ってからはじめて、その家を略奪することができる。
マタイによる福音書第一二章
二二 そのとき、人々が悪霊につかれた盲人で口のきけない人を連れてきたので、イエスは彼をいやして、物を言い、また目が見えるようにされた。
二三 すると群衆はみな驚いて言った、「この人が、あるいはダビデの子ではあるまいか」。
二四 しかし、パリサイ人たちは、これを聞いて言った、「この人が悪霊を追い出しているのは、まったく悪霊のかしらベルゼブルによるのだ」。
二五 イエスは彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ、内部で分れ争う国は自滅し、内わで分れ争う町や家は立ち行かない。
二六 もしサタンがサタンを追い出すならば、それは内わで分れ争うことになる。それでは、その国はどうして立ち行けよう。
二七 もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。
二八 しかし、わたしが神の霊によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。
二九 まただれでも、まず強い人を縛りあげなければ、どうして、その人の家に押し入って家財を奪い取ることができようか。縛ってから、はじめてその家を掠奪することができる。
三〇 わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。
ルカによる福音書第一一章
一七 しかしイエスは、彼らの思いを見抜いて言われた、「おおよそ国が内部で分裂すれば自滅してしまい、また家が分れ争えば倒れてしまう。
一八 そこでサタンも内部で分裂すれば、その国はどうして立ち行けよう。あなたがたはわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出していると言うが、
一九 もしわたしがベルゼブルによって悪霊を追い出すとすれば、あなたがたの仲間はだれによって追い出すのであろうか。だから、彼らがあなたがたをさばく者となるであろう。
二〇 しかし、わたしが神の指によって悪霊を追い出しているのなら、神の国はすでにあなたがたのところにきたのである。
二一 強い人が十分に武装して自分の邸宅を守っている限り、その持ち物は安全である。
二二 しかし、もっと強い者が襲ってきて彼に打ち勝てば、その頼みにしていた武具を奪って、その分捕品を分けるのである。
二三 わたしの味方でない者は、わたしに反対するものであり、わたしと共に集めない者は、散らすものである。
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