四つの福音書による一つのイエス物語72
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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072
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「狭い門から入れ」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
7;13〜14 13;22〜29
第七章一三〜一四節 第一三章二二〜二九節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬太傳iケ書第七章
十三 窄き門より入よ沈淪に至る路はその門は大なり此より入もの多し
十四 命に至る路は窄その門は少し其路を得もの少なり
路加傳iケ書第一三章
二二 イエス各城各クを過エルサレムに向て旅行り
二三 或人いひけるは主よ救るるは少き乎
二四 イエス彼等に曰けるは窄門に入ために力を盡せ我なんぢらにん入ん事を求て能ざるおほし
二五 家の主人おきて門を閉し後に爾曹外にたち門を叩て主よ主よ我に啓と曰んに主人こたへて我なんぢらは伺處より來しか知ずと曰ん
二六 然る時に我は爾の前に食飮し爾また我の衢にたりしと言出さんに
二七 主人こたへて我なんぢらにん何處より來しか知ず皆惡を爲すよ我を去と曰ん
二八 爾曹アブラハム イサク ヤコブ及び凡の預言~の國に在て爾曹は外に投出さるを見ん時に哀哭切齒すること有べし
二九 また人西や東北や南より來りて~の國に坐するならん
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マタイ傳iケ書第七章
一三 狹き門より入れ、滅にいたる門は大きく、その路は廣く、之より入るおほし。
一四 生命にいたる門は狹く、その路は細く、之を見出すもの少なし。
ルカ傳iケ書第一三章
二二 イエスヘへつつ町を過ぎて、エルサレムに旅し給ふとき、
二三 或人いふ『主よ、救はるるは少きか』
二四 イエス人に言ひたまふ『力を盡して狹き門より入れ。我なんぢらにぐ、人らん事を求めて入り能はぬおほからん。
二五 家主おきて門を閉ぢたる後、なんぢら外に立ちて「主よ我らに開き給へ」と言ひつつ門を叩き始めんに、主人こたへて「われ汝らが何處のなるかを知らず」と言はん。
二六 その時「われらは御前にて飮食し、なんぢは我らの町の大路にてヘへ給へり」と言ひ出でんに、
二七 主人こたへて「われ汝らが何處のなるかを知らず、惡をなすどもよ、皆われを離れ去れ」と言はん。
二八 汝らアブラハム、イサク、ヤコブ及び凡ての預言の、~の國に居り、己らの逐ひ出さるるを見ば、其處にて哀哭切齒する事あらん。
二九 また人、東より西より南より北より來りて、~の國の宴に就くべし。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マタイによる福音書第七章
一三 狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きく、その道は広い。そして、そこからはいって行く者が多い。
一四 命にいたる門は狭く、その道は細い。そして、それを見いだす者が少ない。
ルカによる福音書第一三章
二二 さてイエスは教えながら町々村々を通り過ぎ、エルサレムへと旅を続けられた。
二三 すると、ある人がイエスに、「主よ、救われる人は少ないのですか」と尋ねた。
二四 そこでイエスは人々にむかって言われた、「狭い戸口からはいるように努めなさい。事実、はいろうとしても、はいれない人が多いのだから。
二五 家の主人が立って戸を閉じてしまってから、あなたがたが外に立ち戸をたたき始めて、『ご主人様、どうぞあけてください』と言っても、主人はそれに答えて、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない』と言うであろう。
二六 そのとき、『わたしたちはあなたとご一緒に飲み食いしました。また、あなたはわたしたちの大通りで教えてくださいました』と言い出しても、
二七 彼は、『あなたがたがどこからきた人なのか、わたしは知らない。悪事を働く者どもよ、みんな行ってしまえ』と言うであろう。
二八 あなたがたは、アブラハム、イサク、ヤコブやすべての預言者たちが、神の国にはいっているのに、自分たちは外に投げ出されることになれば、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう。
二九 それから人々が、東から西から、また南から北からきて、神の国で宴会の席につくであろう。
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