四つの福音書による一つのイエス物語67
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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「何を食べようか何を着ようか思い煩うな」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
6;25〜34 12;22〜31
第六章二五〜三四節 第一二章二二〜三一節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬太傳iケ書第六章
二五 是故に我なんぢらにん生命の爲に何を食ひ何を飮また身體の爲に何を衣んと憂慮こと勿れ生命は糧より優り身體は衣よりも優れるならず乎
二六 なんぢら天空の鳥を見よ稼ことなく穡ことを爲ず倉に蓄ふることなし然るに爾曹の天の父は之を養ひ給へり爾曹之よりも大に勝るゝ者ならず乎
二七 爾曹のうち誰か能おもひ煩ひて其生命を寸陰も延得んや
二八 また何故に衣のことを思わづらふや野の百合花は如何して長かを思へ勞ず紡がざる也
二九 われ爾曹にんソロモンの榮華の極の時だにも其この花の一に及ざりき
三十 ~は今日野に在て明日爐に投入らる草をも如此よそはせ給へばて爾曹をや嗚呼信仰うすき
三一 然ば何を食ひ何を飮なにを衣んとて思わづらふ勿れ
三二 此みな異邦人の求るなり爾曹の天の父は凡て此等のもの必需ことを知たまへり
三三 爾曹まづ~の國と其義とを求よ然ば此等のものは皆なんぢらに加らるべし
三四 是故に明日の事を憂慮なかれ明日は明日の事を思わづらへ一日の苦勞は一日にて足り
路加傳iケ書第一二章
二二 イエスその弟子に曰けるは故に我なんぢらにん爾曹生命の爲に何を食ひ身體の爲に何を着んとて思ひ煩ふ勿れ
二三 生命は糧より優り身體は衣よりも優れり
二四 鴉を思見よ稼ず穡ず倉をも納屋をも有ず然ども~はなほ此等を養ふて爾曹は鳥よりも貴きこと幾何ぞや
二五 爾曹のうち誰かよく思ひ煩ひて其生命を寸陰も延得んや
二六 然ば最小事すら能ざるに何ぞ其他を思ひ煩ふや
二七 百合花は如何して生長かを思へ勞ず紡がざる也我爾曹にんソロモンの榮華の極の時だにも其この花の一に及ざりき
二八 ~は今日野に在て明日爐に投入らる草をも如此よそはせ給へばて爾曹をや信仰うすき
二九 爾曹何を食ひ何を飮んと求むる勿また思ひ惑ふこと勿れ
三十 凡て是等の物は世界の邦人の求るもの也なんぢらの父は是等の物は爾曹に無てぬ事を知
三一 たゞ~の國を求めよ然ば是等の物は爾曹に加らるべし
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マタイ傳iケ書第六章
二五 この故に我なんぢらにぐ、何を食ひ、何を飮まんと生命のことを思ひ煩ひ、何をんと體のことを思ひ煩ふな。生命は糧にまさり、體は衣に勝るならずや。
二六 空の鳥を見よ、播かず、刈らず、倉に收めず、然るに汝らの天の父は、これを養ひたまふ。汝らは之よりも遙に優るるならずや。
二七 汝らの中たれか思ひ煩ひて身の長一尺を加へ得んや。
二八 又なにゆゑ衣のことを思ひ煩ふや。野の百合は如何して育つかを思へ、勞せず、紡がざるなり。
二九 然れど我なんぢらにぐ、榮華を極めたるソロモンだに、その服裝この花の一つにも及かざりき。
 今日ありて明日、爐に投げ入れらるる野の草をも、~はかく裝ひ給へば、まして汝らをや、ああ信仰うすきよ。
三一 さらば何を食ひ、何を飮み、何をんとて思ひ煩ふな。
三二 是みな異邦人の切に求むる所なり。汝らの天の父は凡てこれらの物の汝らに必要なるを知り給ふなり。
三三 まづ~の國と~の義とを求めよ、然らば凡てこれらの物は汝らに加へらるべし。
三四 この故に明日のことを思ひ煩ふな、明日は明日みづから思ひ煩はん。一日の苦勞は一日にて足れり。
ルカ傳iケ書第一二章
二二 また弟子たちに言ひ給ふ『この故に、われ汝らにぐ、何を食はんと生命のことを思ひ煩ひ、何をんと體のことを思ひ煩ふな。
二三 生命は糧にまさり、體は衣に勝るなり。
二四 鴉を思ひ見よ、播かず、刈らず、納屋も倉もなし。然るに~は之を養ひたまふ、汝ら鳥に優るること幾許ぞや。
二五 汝らの中たれか思ひ煩ひて、身の長一尺を加へ得んや。
二六 然れば最小き事すら能はぬに、何ぞ他のことを思ひ煩ふか。
二七 百合を思ひ見よ、紡がず、織らざるなり。然れど我なんぢらにぐ、榮華を極めたるソロモンだに其の服裝この花の一つにも及かざりき。
二八 今日ありて、明日爐に投げ入れらるる野の草をも、~は斯く裝ひ給へば、て汝らをや、ああ信仰うすきよ。
二九 なんぢら何を食ひ、何を飮まんと求むな、また心を動かすな。
 是みな世の異邦人の切に求むる所なれど、汝らの父は此等の物の、なんぢらに必要なるを知り給へばなり。
三一 ただ父の御國を求めよ。さらば此等の物は、なんぢらに加へらるべし。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マタイによる福音書第六章
二五 それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。
二六 空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。
二七 あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。
二八 また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。
二九 しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
三〇 きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。
三一 だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。
三二 これらのものはみな、異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。
三三 まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。
三四 だから、あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。
ルカによる福音書第一二章
二二 それから弟子たちに言われた、「それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようかと、命のことで思いわずらい、何を着ようかとからだのことで思いわずらうな。
二三 命は食物にまさり、からだは着物にまさっている。
二四 からすのことを考えて見よ。まくことも、刈ることもせず、また、納屋もなく倉もない。それだのに、神は彼らを養っていて下さる。あなたがたは鳥よりも、はるかにすぐれているではないか。
二五 あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。
二六 そんな小さな事さえできないのに、どうしてほかのことを思いわずらうのか。
二七 野の花のことを考えて見るがよい。紡ぎもせず、織りもしない。しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
二八 きょうは野にあって、あすは炉に投げ入れられる草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。
二九 あなたがたも、何を食べ、何を飲もうかと、あくせくするな、また気を使うな。
三〇 これらのものは皆、この世の異邦人が切に求めているものである。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要であることを、ご存じである。
三一 ただ、御国を求めなさい。そうすれば、これらのものは添えて与えられるであろう。
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