四つの福音書による一つのイエス物語66
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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066
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愚かな金持の譬を語る
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
12;16〜21
第一二章一六〜二一節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
路加傳iケ書第一二章
十六 また譬を彼等に語て曰けるは或富人その田畑よくければ
十七 自ら忖いひけるは我が作物を藏る所なきを如何せん
十八 又曰けるは我かく爲ん我倉を毁ち更に大なるを建すべて我が作物と貨を其所に藏べし
十九 斯て靈魂に對ひ靈魂よ多年を過ほどの許多の貨物を有たれば安心して食飮樂めよと言んとす
二十 然るに~これに曰けるは無知なる者よ今夜なんぢが靈魂とらること有べし然ば爾の備し物は誰が有になる乎
二一 凡そ己の爲に財を積へ~に就て富ざるは此の如なり
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
ルカ傳iケ書第一二章
一六 また譬を語りて言ひ給ふ『ある富める人、その畑に實りたれば、
一七 心の中に議りて言ふ「われ如何にせん、我が作物を藏めおく處なし」
一八 遂に言ふ「われ斯く爲さん、わが倉をち、更に大なるものを建てて、其處にわが物および善き物をことごとく藏めん。
一九 斯てわが靈魂に言はん、靈魂よ、多年を過すに足る多くの善き物を貯へたれば、安んぜよ、飮食せよ、樂しめよ」
 然るに~かれに「愚なるよ、今宵なんぢの靈魂とらるべし、然らば汝の備へたる物は、誰がものとなるべきぞ」と言ひ給へり。
二一 己のために財を貯へ、~に對して富まぬは、斯のごとし』
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
ルカによる福音書第一二章
一六 そこで一つの譬を語られた、「ある金持の畑が豊作であった。
一七 そこで彼は心の中で、『どうしようか、わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして
一八 言った、『こうしよう。わたしの倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。
一九 そして自分の魂に言おう。たましいよ、おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ、食え、飲め、楽しめ』。
二〇 すると神が彼に言われた、『愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら、あなたが用意した物は、だれのものになるのか』。
二一 自分のために宝を積んで神に対して富まない者は、これと同じである」。
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