四つの福音書による一つのイエス物語53
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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053
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「頬を打つ者に他の頬も向けよ」
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
5;38〜42 6;29〜30
第五章三八〜四二節 第六章二九〜三〇節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬太傳iケ書第五章
三八 目にて目を償ひ齒にて齒を償へと言ること有は爾曹が聞し所なり
三九 然ど我なんぢらにん惡に敵すること勿れ人なんぢの右の頰を批ば亦ほかの頰をも轉して之に向よ
四十 爾を訟て裏衣を取んとするには外衣をも亦とらせよ
四一 人なんぢに一里の公役を强なば之と偕に二里ゆけ
四二 爾に求るには予へ借んとするくる勿れ
路加傳iケ書第六章
二九 人なんぢの頰の右方を擊ば亦左方の頰を向よ爾の外服を奪ば裏衣をも禁ざれ
三十 凡て爾に求ば之に與へ爾の物を奪ば其をまた索る勿れ
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マタイ傳iケ書第五章
三八 「目には目を、齒には齒を」と云へることあるを汝ら聞けり。
三九 されど我は汝らにぐ、惡しきに抵抗ふな。人もし汝の右の頰をうたば、左をも向けよ。
 なんぢを訟へて下衣を取らんとするには、上衣をも取らせよ。
四一 人もし汝に一里ゆくことを强ひなば、共に二里ゆけ。
四二 なんぢに請ふにあたへ、借らんとするを拒むな。
ルカ傳iケ書第六章
二九 なんぢのを打つには、他のをも向けよ。なんぢの上衣を取るには下衣をも拒むな。
 すべて求むるに與へ、なんぢの物を奪ふに復索むな。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マタイによる福音書第五章
三八 『目には目を、歯には歯を』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。
三九 しかし、わたしはあなたがたに言う。悪人に手向かうな。もし、だれかがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。
四〇 あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい。
四一 もし、だれかが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人と共に二マイル行きなさい。
四二 求める者には与え、借りようとする者を断るな。
ルカによる福音書第六章
二九 あなたの頬を打つ者にはほかの頬をも向けてやり、あなたの上着を奪い取る者には下着をも拒むな。
三〇 あなたに求める者には与えてやり、あなたの持ち物を奪う者からは取りもどそうとするな。
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