四つの福音書による一つのイエス物語44
マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書を一つのイエス物語に纏めました
マルコ→マタイ→ルカ→ヨハネの順にイエス物語は発展していきます
物語の初めから終りまでを331の話に分け話の一つ一つを四福音書の日本語訳を並べる形で紹介しています
福音書の日本語訳は英国聖書會社「新約全書」(明治三十九年発行)、日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)、日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)を並べて比較できるようにしました
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044
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集まって来た大勢の人の病いを癒す
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上の言葉が四福音書の中でどう記されているか、記されていないか
ΚΑΤΑ ΜΑΡΚΟΝ  ΚΑΤΑ ΜΑΤΘΑΙΟΝ ΚΑΤΑ ΛΟΥΚΑΝ ΚΑΤΑ ΙΩΑΝΝΗΝ
馬可傳iケ書 馬太傳iケ書 路加傳iケ書 約翰傳iケ書
マルコ傳iケ書 マタイ傳iケ書 ルカ傳iケ書 ヨハネ傳iケ書
マルコによる福音書 マタイによる福音書 ルカによる福音書 ヨハネによる福音書
3;7〜12 12;15〜21 6;17〜19
第三章七〜一二節 第一二章一五〜二一節 第六章一七〜一九節
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英国聖書會社「舊新約全書」(明治三十九年発行)の「新約全書」で見てみましょう
馬可傳iケ書第三章
七 イエスその弟子と共に邊に退しに多の人ガリラヤより彼に從へり又ユダヤ
八 エルサレム イドマヤ ヨルダンの外またツロとシドンの邊より多の人イエスの行し事を聞て彼に群り來る
九 イエス人の群集に因て擁なやまさる事なからん爲に小舟を我に備おけと其弟子に曰り
十 是イエス數多の人を愈しに因て凡て疾ある人手にて彼にんとて擁逼しが故なり
十一 また汚たる鬼かれを見て某前に俯伏さけびて爾は~の子なりと曰しを
十二 イエス彼等に我を揚すこと勿れと嚴く戒めたり
馬太傳iケ書第一二章
十五 イエス之を知て此を去しに多の人これに從ふ凡て疾病あるをみな愈し
十六 我を人に露すこと勿れと戒たり
十七 これ預言イザヤの云し言に
十八 よ我が選し我僕すなはち我心に適たる我が愛むわれ之に我靈を賦ん彼異邦人に審判を示すべし
十九 彼は競ことなく喧ことなし人街に於て其聲を聞ことなし
二十 審判をして勝とげしむるまでは傷る葦を折ことなく煙れる麻を熄ことなし
二一 異邦人も亦その名にョべしと有に應せん爲なり
路加傳iケ書第六章
十七 イエス是等と共に下て平かなる地に立しに許多の弟子としき人ユダヤの四方またエルサレム及ツロ シドンの海邊より來集りて或は其を聽んとし或は病を醫されん事を冀へり
十八 又惡鬼にされたるあり咸く醫されたり
十九 衆みなイエスにらんとせり是能力の其身より出て彼等を咸く醫せば也
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日本聖書協會「新約聖書」改譯(大正六年)で見てみましょう
マルコ傳iケ書第三章
七 イエスその弟子とともに、邊に退き給ひしに、ガリラヤより來れる多しき民衆も從ふ。又ユダヤ、
八 エルサレム、イドマヤ、ヨルダンの向の地およびツロ、シドンの邊より多しき民衆その爲し給へる事を聞きて、御許に來る。
九 イエス群衆のおしなやますを逃れんとて、小舟を備へ置くことを弟子に命じ給ふ。
 これ多くの人を醫し給ひたれば、凡て病に苦しむもの、御體に觸らんとて押迫る故なり。
一一 また穢れし靈イエスを見る每に、御前に平伏し、叫びて『なんぢは~の子なり』と言ひたれば、
一二 我を顯すなとて、嚴しく戒め給ふ。
マタイ傳iケ書第一二章
一五 イエス之を知りて此處を去りたまふ。多くの人、したがひ來りたれば、ことごとく之を醫し、
一六 かつ我を人に知らすなと戒め給へり。
一七 これ預言イザヤによりて云はれたる言の成就せんためなり。曰く、
一八 『よ、わが選びたる我が僕、わが心のスぶ我が愛しむ、我わが靈を彼に與へん、彼は異邦人に正義をげ示さん。
一九 彼は爭はず、叫ばず、その聲を大路にて聞くなからん。
 正義をして勝遂げしむるまでは、傷へる葦を折ることなく、煙れる亞麻を消すことなからん。
二一 異邦人も彼の名に望をおかん』
ルカ傳iケ書第六章
一七 イエス此等とともに下りて、平かなる處に立ち給ひしに、弟子の大なる群衆およびユダヤ全國、エルサレム又ツロ、シドンの邊より來りて或はヘを聽かんとし、或は病を醫されんとする民の大なる群も、そこにあり。
一八 穢れし靈に惱されたるも醫さる。
一九 能力イエスより出でて、凡ての人を醫せば、群衆みなイエスに觸らん事を求む。
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日本聖書協会「新約聖書」口語訳(昭和二十九年)で見てみましょう
マルコによる福音書第三章
七 それから、イエスは弟子たちと共に海べに退かれたが、ガリラヤからきたおびただしい群衆がついて行った。またユダヤから、
八 エルサレムから、イドマヤから、更にヨルダンの向こうから、ツロ、シドンのあたりからも、おびただしい群衆が、そのなさっていることを聞いて、みもとにきた。
九 イエスは群衆が自分に押し迫るのを避けるために、小舟を用意しておけと、弟子たちに命じられた。
一〇 それは、多くの人をいやされたので、病苦に悩む者は皆イエスにさわろうとして、押し寄せてきたからである。
一一 また、けがれた霊どもはイエスを見るごとに、みまえにひれ伏し、叫んで、「あなたこそ神の子です」と言った。
一二 イエスは御自身のことを人にあらわさないようにと、彼らをきびしく戒められた。
マタイによる福音書第一二章
一五 イエスはこれを知って、そこを去って行かれた。ところが多くの人々がついてきたので、彼らを皆いやし、
一六 そして自分のことを人々にあらわさないようにと、彼らを戒められた。
一七 これは預言者イザヤの言った言葉が、成就するためである、
一八 「見よ、わたしが選んだ僕、わたしの心にかなう、愛する者。わたしは彼にわたしの霊を授け、そして彼は正義を異邦人に宣べ伝えるであろう。
一九 彼は争わず、叫ばず、またその声を大路で聞く者はない。
二〇 彼が正義に勝ちを得させる時まで、いためられた葦を折ることがなく、煙っている燈心を消すこともない。
二一 異邦人は彼の名に望みを置くであろう」。
ルカによる福音書第六章
一七 そして、イエスは彼らと一緒に山を下って平地に立たれたが、大ぜいの弟子たちや、ユダヤ全土、エルサレム、ツロとシドンの海岸地方などからの大群衆が、
一八 教を聞こうとし、また病気をなおしてもらおうとして、そこにきていた。そして汚れた霊に悩まされている者たちも、いやされた。
一九 また群衆はイエスにさわろうと努めた。それは力がイエスの内から出て、みんなの者を次々にいやしたからである。
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